寓居人の独言

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STAP細胞変事(20140402)

2014年04月02日 14時34分09秒 | 日記・エッセイ・コラム

 理化学研究所の若い女性研究者がSTAP細胞をかなり簡単に作成することが出来たと発表した。そしてマスメデイアに大きく報道された。多くの人々がノーベル賞へつながるかも知れないと大きな期待を持った。もし将来ノーベル賞受賞と言うことになれば、日本の女性研究者にとってこんな朗報はないだろう。とかく冷遇されがちな我が国の女性研究者の未来に明るい光になると私も期待した。
  研究者にとって研究成果を発表することは大変重要なことであることは誰でも知っていることである。理工系の研究の大変さは並大抵ではない。その一例を示すと、
 はじめに、研究テーマを選ぶために膨大な過去のデータを調べます。内容が自分のテーマに抵触しないことの確認をするためです。

 次に研究計画を作成する。研究協力者を探してその方の業績や時間の余裕を調べる。
 研究遂行に必要な研究費を獲得する(スポンサー探し)。
 必要な器具装置を使えるように予定を組む。
 もちろんこの間にもデータ検索を継続します。
 研究者間での研究に関する議論、そして研究結果を得る。もちろん結果についても十分な議論をする。
 アメリカなどの研究者はここで特許申請をするのが常識のようです。
 研究結果について通常では再現性試験をします。ここで結果が確定したら論文にまとめます。引用した論文には必ず引用先の書誌を明確にします。

 適切な論文誌に投稿します。

 
 論文誌の編集者はデータの信憑性を確認するため等の目的で同分野の研究をしている数人の査読者を選び論文を雑誌(論文誌)に掲載する価値があるかどうかを検討してもらいます。不審な点が指摘されると著者に質問し、必要ならば訂正を要求される。論文誌の編集者との議論が行われます。これには長い時間がかかることがあります。
 こうして初めて論文として掲載され、業績に登録される。計画してから長い場合には5年以上かかることは常識です。
  以上はほんの一例であるが、口頭発表してから論文にする作業になる場合もある。
 今度のSTAP細胞作成に関する報道によると、上記の過程の幾つかが脱落していたように思える。研究の内容に関して云々するほどの知識がないが、共同研究者間の議論が徹底されなかったのがこの問題が大事になった最大の原因ではないかと思う。
 理化学研究所の対応も少し不満がある。表面的な(論文のデータ捏造と指摘した)調査ではなく内容に関する検討もして欲しいと思う。つまり再現性実験を是非やって欲しいと思う。
 そして小保方氏は、研究の基本についてもっと勉強して欲しいと思う。一度発表されたデータは、引用したことを明記しないで使用すれば盗作になる可能性がある。データを間違えて発表すれば、直ぐに訂正等の処理をしなければ発表者のデータと判断される。これらのことは基本問題であり、怠れば研究者として認められないことになる可能性がある。
 可能ならば速やかに訂正論文を発表して欲しいものである。 再現性実験は誰が実験しても大差のないデータがえられる。これがその方法が普遍性を持つという重要な証明であることを肝に銘じて欲しい。そうでなければそのデータはたまたま何かの偶然でえられたと考えられても仕方がないことになる。
   小保方氏は自己改善すべき所は改善し、今後も研究者として力量を発揮して欲しいものである。多くの女性研究者があなたに大きな期待を持っていると思いますよ。