STAP細胞論文の切り貼りを問題にした理研調査委員長の井上俊輔上席研究員が過去の自分の論文でデータの切り貼りをしていたことが露見して委員長を辞任したという。理研理事長野依良治氏の苦悩が察せられる。井上氏は自分の論文で切り貼りしたことを認めたがデータに不正はないと主張している。それをどうやって証明するのだろうか。
切り貼りでいろいろ思い出したことがある。私も図表に切り貼りをした経験があった。それは文章の中に誤字脱字を見つけたときのことである。誤字脱字や数字の書き間違いを見つけると文書全体を初めからタイプし直さなければならなかった。それが大変な作業だったので切り貼りをして訂正をした。
半世紀も前のことであるが、昔はワープロとか図表作成ソフトなどはなかった。それで切り貼りした図表をコピーして使用したものであった。しかし明らかに切り貼りしたことが判別できるような”へま?”をすることはなかった。
当時は切り貼りした図表をコピーすると台紙とコピーする用紙との境界に影が出来てしまい切り貼りしたことが歴然となってしまう。それを解消する技術?があった。その方法は簡単で2枚の用紙の境界線上にメンデングテープを貼るのである。そうするとコピーした用紙に影が映らなくなる。めでたしめでたしである。今はこのような方法を使わずにパソコンソフトで切り貼りをするのであるが注意しないと新しく貼った部分ともとの部分との間に色の濃淡が現れることがある。それをわからなくするためには少し違う技術が必要になる。それはここには書かないことにしよう。
本題に戻ろう。井上氏の不正は無いということをどうやって証明するのだろうか。やはり調査委員会を作るのだろうか。それとも研究ノートを公開するのだろうか。
なにごとでも一度信頼を失うとそれを回復することは大変である。日本の科学者の信頼が失墜したとは思いたくはないがこのような状況が続出する状態で科学者に不安を感じるのは私だけではないと思う。