ラルくん 50

2022-02-07 08:59:00 | 日記
「では、くじ引きを!」

まずは、S子。

次に、M子。

次々と、順番に引き終わると、くじを広げる。

「『1番』は、誰?」




ーーー静かに手を上げたのは、M子だ。

思わず皆がザワッとなってしまった。

指導者も、私たちの顔を見た。

「あ、唯一の勝利者は、M子さんなのね。」

指導者も、ワケのわからない発言をしてしまった。

そして、エチュードの発表。

もちろん、M子のエチュードは非の打ち所無く、満点だった。




「……どうして?」

稽古終了後、近くのカフェで先輩たちは、深刻な顔で話し合っていた。

「いや、本当にくじ運がいいだけなんじゃない?」

「うん…、そうだよね…。そうとしか言えない…。」

「…だけど、何となくしっくり来ない…。」

「…うん…。」

「私たちには気づけない、当たりくじへの"記し"もあるのかも…」

「そうなのかな…。」

「私も、ちゃんと確認したけど、記しらしきものは無かったよ」

「それに、M子、くじ引きの箱の中を覗き込まなかったよ。記しを付けたなら、ちゃんと記しを確認して引かないと無理だし…。」

「そうだよね。」

「さっきのくじ、見せて…。」

念のため、皆がひいたくじを返して貰っていた。

もう一度、くじ引きのくじを確認する。

「うん…記しとか何も無い…。」

「それじゃ、運の良さも実力なんだね…」

「…そうなんだね…💦」