「コップ知らない?」
「Y子のコップ、知らない?」
私も、Y子と一緒に小道具探しをした。
誰かが、何かしらの勘違いをして、移動させてしまったのかも知れない。
「どうしちゃったんだろう…」
コップ探しをしていた先輩チームの仲間たちは、あちこち、思い付く限り探した…が、見つからない…。
「そんなバカな…。小道具だってことは、ここにいる皆が知ってるワケだから、どこかに移動させるハズないよね…。」
気が強い、仲間のひとりが、ため息をつきながら、チラッとM子を見ている…。
「大丈夫だよ。特注品だから、こんな時のために、予備があるから。」
『仲間の証』として…という意味の小道具で、特殊なロゴをプリントしたモノで、人数分以上はある。
「だけど、実はトラブルがあって、すでに一個割ってしまってて、…だから、予備は後一個しかないの…。だから、これ以上何かあると困るから、本番まで大切な小道具は使わないで、他のコップで代用しよう。」
それぞれ、カラーコップやコーヒーカップを用意して、小道具の代用品を持ちよった。
「…Y子のコップ…、いったい…、どこに行っちゃったんだろうね…」
「すみません…」
「いいんだよ。Y子に限って大切な小道具を失くすハズないから…、あなたが謝ることないよ。…なにか、勘違いでどこかに移動してしまった人がいるのかもね…」
前途多難だ…。