ラルくん 63

2022-02-22 09:25:24 | 日記
「ちょっと待って!どうしてそんなことまで言われなきゃならないの?」

M子が悲痛な声をあげた。

大好きなラルくん参戦、しかも、Y子の味方…という思いがけない展開に、どうしたらいいのかわからなくなったM子は、ポロポロと涙を流した。


「…ごめん、言いすぎた…💦」

ラルくんは、あわてて声をひそめた。

M子のやりたい放題に、周りの皆も違和感を感じていたので、なんとなくM子ひとりが孤立したような空気になってしまっていた。

居たたまれなくなったM子は、荷物をまとめて、稽古場を出ていった。

「…言いすぎたかな…」

「…仕方ないよ。あのままだと、Y子が萎縮しちゃって、いい演技が出来ないし…」



ーーいろいろあって、やっと本番を迎えることになった。


これが終われば、今度は先輩チームの公演が待っている。


後輩チームは、とにかく初めての公演ということもあって、バタバタとしている。


それぞれ、楽屋では、セリフと衣装や小道具の最終確認に余念がない。

とにかくこのまま無事に公演が終わることを祈るばかり。