ラルくん 58

2022-02-15 10:11:01 | 日記
ますます、M子のY子への当たりが強くなった。

何を話しても喧嘩腰に聞こえる。

Y子は、どんどん萎縮していくように見える。

才能豊かでエネルギッシュなY子の面影が消えそうだ。

私たち先輩グループも、心配になった。

そして、相変わらず、『ストーカー扱い』してしまった罪悪感から、先輩たちは、M子には強く言えない。



そして、また、二人のバトルシーンの稽古。

Y子は、萎縮している。

「痛いっ!」

「あ、ごめんなさい💦」

その日は、指導者がいなかったせいもあって、さらにM子のY子攻撃が強くなる。

「ね、そんなんじゃ、このシーンは、いつまでも完成しないよ!」

先輩たちのひとりが見るに見かねて意見した。

「…そうだよ。Y子はとにかく真面目に稽古したいだけなんだから!」

「…すみません。本当に痛かったんです」

「あなたの本当の目的はなんなの?」

「え?」

先輩グループのひとり、特に正義感の強い仲間が、冷静な口調で続けた。

「Y子がラルくんの相手役に選ばれたのが、そんなに気に入らないの?」

「…やめなよ…」

「どういう意味ですか?私が何かしました?とにかく良いものを作ろうとしているだけですけど…」

皆は黙ってしまった。