物件 26

2021-11-25 10:01:57 | 日記
「まりちゃんの話しをしても、心当たりが無いような言い方でしたね…💦」

枝美ちゃんが帰ってから、次男さんに話しかけた。

「どうやらまりちゃんを本当に同居人として見ているのかも知れませんね」

「え?!まずいじゃないですか?かなり深刻ですよね💦💦」

「確かに…まずいですね…。

「さっき、…そのまりちゃん、見えたんですね。枝美ちゃんについて来てたんですか?」

「私は本当は霊感なんて無いんです。お寺の息子、住職だから必ずしも霊感があるわけではないんです。父は今、体調を崩しているので、この件を相談出来ずにいます。」

「お父さん、大丈夫ですか?!」

「はい。ちょっとごたごたがあって、心労です。」

「…なら、尚更相談できませんね。すみません、こんなタイミングで…💦」

「私の知り合いに、まさに霊媒師を生業にしている人がいます。その人に相談してみます

「ありがとうございます」

「ただ、その人、今海外に行ってるので、来月の末にしか会えないんだけど…。それまで大丈夫かな?💦」

「だ、大丈夫でしょうか?💦」

「とにかく、彼女に変わったことがあったら必ず報告してください。」

「わかりました。ありがとうございます」

物件 25

2021-11-24 09:44:06 | 日記
それから一週間後、「話しがあるから…」と、枝美ちゃんを呼び出した。次男さんに引っ越しの説得をお願いするためだ。

今度はお酒ではなく、お休みの日の昼間に喫茶店での待ち合わせだ。

次男さんが来ていることは言っていないが、待ち合わせの場所に彼がいても、知り合いになっているので、警戒はしないだろう…。

「こんにちは!」

笑顔で現れた枝美ちゃんだが、やっぱり窶れた感じは進行している。

「あ、先日の…。先日、車で送ってくださってありがとうございました。」

…良かった…次男さんのことは覚えていたようだ。

「先日、大丈夫でしたか?かなり酔っていたように見えましたけど…」

「そんなに飲んでないんですよ。…なのに、どうしちゃったんだろう…」

「今日は、ちょっと、枝美さんが心配になって来てみました」

「え?私が?…どうして?」

「私、実は霊感がありまして…、枝美さんの後ろに女の人がいます。」

「え?女の人?!」

「思い当たること、ありますよね」

「…いいえ。」

え?!思い当たることが…無い?!

「…そうですか…」

「枝美ちゃん…、思い当たること、あるでしょ!」

「アンコさん、ちょっと待って…!」

次男さんは、私を制した。

そのあとは、当たり障りの無い仕事の話しや趣味の話しをして、解散。

「私、買い物があるから、先に帰るね!」

枝美ちゃんは、笑顔で去っていった。





物件 24

2021-11-22 10:48:55 | 日記
「今日は、帰りましょう」

次男さんが立ち上がった。



次男さんの車で送ってもらうことに。

後部座席に乗り込んだ私と枝美ちゃん。

枝美ちゃんは、そんなに飲んでいないのに、酔っている様子で、すぐにうとうととし始めた。

「枝美ちゃん、大丈夫?そんなに飲んでないのに…」

「寝不足なんでしょう」

次男さんが運転しながら答える。

「今のような現象が起きているなら、熟睡できていないと思いますよ」

「………まり…」

『まりちゃん…』は、枝美ちゃんの夢の中にも現れているようだ。

「とりあえず、引っ越しをした方が良さそうですね」

「…そうですか…。だけど、この状態だと、引っ越しは無理なんじゃないでしょうか?」

「枝美さんは、もともとまりちゃんの住んでるところに後から入った…と、言っていたので、今居る家は、もともとはまりちゃんの住まい…と思っているかも知れません。もしも、また会える時があれば、僕が説得します。今日で、知り合いになったから、話しやすいと思います。」

…助かる!!

頼れる次男さんに感謝!!




物件 23

2021-11-20 08:02:25 | 日記
「まりちゃんがね~」

枝美ちゃんは酔っている。

次男さんは、烏龍茶を飲みながら、深刻な顔をして枝美ちゃんを見ている。

「まりさんとは…?同居している人ですか?」

次男さんは、知っているのにわざと質問した。

「そうなの。失恋したらしくて、ひとりで居たくない…って言ってて、かわいそうなの。」

「そのまりさんは、どうして失恋したんですか?」

次男さんは、グイグイと質問してくる。

「彼氏に浮気されたんですって。しかも、浮気の相手は、まりちゃんの友達。ひどい男だよね~!そのあと、まりちゃんは、メンタルの病気が悪化して…。」

「まりさんは、ずっと枝美さんの家に居る予定ですか?」

「わからない。たぶんそうだと思いますよ。だって、もともとまりちゃんが住んでたところに私が後から入ったんだし…、私が決められないことですよね。

枝美ちゃんは、酔いながらも、淡々と答えていく。

「まりさんが住んでいるところに枝美さんが後から入ったなら、枝美さんは、出た方がいいですよ。」

「う~ん…。」

枝美ちゃんは、眠そうだ…。

「もう、今日は帰りましょう。」

次男さんが立ち上がった。