物件 22

2021-11-19 10:46:24 | 日記
勝手に教えてまずいかな…と思いながらも、もしも、何かしらの"コワイもの"が彼女を連れていってしまったら大変なので、とりあえず、枝美ちゃんの住所を教えた。

そして、枝美ちゃんとお寺の次男さんを会わせる段取りだけど…。

…どうしよう…と思った。

事情を話したら絶対会わないと思う…。

だけど、嘘をついたとしても…会ってくれるだろうか?



「父に相談してみます」

と言い残して帰って行った頼れる次男さんは、

思った以上に深刻そうな状態をなんと相談したんだろう…そして、解決法はあるんだろうか…。

しばらくして、次男さんを呼んでくれた友人を交えて、枝美ちゃんと飲むことになった。

「ちょっと電話してくるね~」

枝美ちゃんと私を残して友人が席を立った。

そして、しばらくすると、次男さんを連れて戻ってきた。

「え?」

急なことで私も驚いたが、
友達は、見知らぬ二人を会わせるなんてなかなか思うように行かないし、こんな風な強行突破しかないと思っていたようだ。

「私の友達なの。たまたま偶然、お店に入ってきて!一緒に座ってもいいかな?」

…少し無理があるような気がしたが仕方がない💦

たまたまお店に入ってきたわりには、次男さんは下戸でお酒が飲めないらしい…💦
そんな不思議なシチュエーションに枝美ちゃんが疑問を持たなければいいけど…と、思った頃…。

「まりちゃんがね~!」

枝美ちゃんは、酔い初めていて、家鳴りの主、謎の同居人のことを楽しそうに語りはじめた。



物件 21

2021-11-18 10:02:58 | 日記
お寺の息子さんだと言う人に会った。

…頭は髪の毛あるのかな?

なんて思っていたら、

「兄が寺を継いでいます」

と、ふさふさの、しかも長髪だった😁

長髪次男さんに会うことは、枝美ちゃんには内緒だ。


「そりゃ、まずいな…!」


彼は、眉をひそめた。


「このままだと、もってかれる」


「もってかれる…って?え?連れていかれるってこと?」

「そういうことだ。その家鳴りの主は、淋しいんだろう。彼女、枝美さんを理解者だと思って頼って来ている」

「どうしたらいい?」

「まず、そこに住まない方がいいんだけど…無理だよな…。」

次男さんは、頭を抱えてしまった。

「とりあえず、住所を教えてくれますか?それと、枝美さんに会えるように段取りをして欲しいんです。まず、どうしたらいいのか、父に相談してみます」

頼れる次男さんは、頭を抱え込んだまま、その日は帰って行った。

思った以上に深刻なのかも…。







物件 20

2021-11-17 09:22:33 | 日記
「まりちゃんがね…!」

「まりちゃんとね…!

枝美ちゃんの会話は、まりちゃんの話題が多くなった。

まるで本当に同居人のことを話しているみたいだ…。

そして、日々やつれていくような気がする枝美ちゃんの顔を見るたび、不安で仕方がない。

とにかく、色々なことが起こり過ぎていてひとりでは抱えきれなくなっていた私は、仲間のひとりで、時々お酒を飲むことがある気心が知れた仲間に相談してみた。

「え?…それ、まずくない💦💦」

「…だよね💦
私は、枝美ちゃんちに行ったのは一度きりで、あまり詳しいことはわからないし、枝美ちゃんから聞いただけの話しなんだけど…」

「何より、痩せてきているとか…ヤバいよね…。私の知り合いで、お寺の息子だと言う人がいるの。ちょっと相談してみる!」





物件 19

2021-11-16 10:04:55 | 日記
げっそりしている枝美ちゃんの顔を見て、急に心配になった。

会わなかったのは、ほんの1ヶ月程度なのに、一気に老け込んだ感じがする。

「枝美ちゃん、ヤバいんじゃない?」

「なんで?」

「体重、減ってるでしょ?」

「うん。ダイエットもしてるからね」

「ダイエットのせいだけじゃなくて、目の下にクマもあるし…。あの部屋、良くないんじゃない?その…家鳴りの主、気を付けないと…」

「大丈夫だよ~!まりちゃんにそんな力ないよ!

「まりちゃん?」

「うん、交信をしてね、名前も聞き出したの」

「…そ、そうなんだ…。まりちゃんって言うんだ…」

「まりちゃん、失恋したんですって。結婚したい人にふられてしまって…、それで、メンタル的に病んでしまって…」

「そんなに詳しく聞いたんだ…」

なんだか、急に不安になってきた。

物件 18

2021-11-15 11:02:38 | 日記
それから、しばらく、私が他の用事が増えてしまって、枝美ちゃんに会うことが出来ずにいた。

枝美ちゃんとは、ある劇団&プロダクションの仲間。当時週に1~2度、レッスンなどで会う。

私は、少し仕事らしきものをもらったので、しばらくレッスンには行っていなかった。

1ヶ月ぶりくらいのレッスン。

いつも元気に「アンコおはよ~!」

と、私より先に来ている…のに、今日はまだ来ていない。

どうしたんだろう…。何かあったのかな?
レッスンが終わったら電話してみよう…。

「遅れました…」

レッスンが始まってギリギリに枝美ちゃんは入って来た。

え?枝美ちゃん…?

1ヶ月ぶりに見た枝美ちゃんは、目の下にクマをつくり、痩せている。

それに、何より、元気が無い…。

レッスンが終わって、真っ先に枝美ちゃんの元に駆け寄った。

「枝美ちゃん…!大丈夫?」

「え?何が?」

「少し会ってない間に痩せたし…やつれたね…」

「そう?そんなことないよ。」

「仕事、大変なの?」

「ううん、むしろ、先日、仕事辞めたから、のんびりしてるよ。」

枝美ちゃんの口調もパワーが無い…。