資源ごみ持ち去りに規制厳しく 違反者は公表、熊本市改正条例が施行。
熊本市は資源ごみの持ち去りの規制を強化するため条例を改正した。
違反者の氏名を公表するほか、買い取り側への規制を盛り込んだ。
熊本市は2007年、古紙類や缶などの資源ごみを
「ごみステーション」から持ち去ることを条例で禁止。
違反者には20万円以下の罰金が科せられるが、持ち去り行為は後を絶たず、
2019年度は1046件を確認した。
本来回収した資源ごみは売却して市の財源になり、
持ち去りによる被害額は少なくとも年間2600万円に上るとみている。
改正後の条例は、業者が持ち去り資源物を買い取ることを禁止。
疑われる場合は立ち入り調査も行う。
持ち去った人、買い取り業者とも、違反者は市ホームページで氏名を公表する。
政令市の中でも特に厳しい規制という。
(熊日新聞・志賀茉里耶)
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空き缶集めに罰則案、ホームレス「集めないと生きていけない」
6/24(木) 7:32 配信 読売新聞オンライン。
約180人のホームレスが暮らす川崎市。
現在、その“生業”であるアルミ缶集めを禁止する条例改正の動きが進む。
高齢化も進み、路上暮らしがいっそう難しくなる中、ホームレスを巡る「今」を追った。
(読売新聞・村松魁成)
夜になるとまだ肌寒い春、約束した午後9時半に川崎区の稲毛公園に向かうと、
白髪交じりのぼさぼさ髪のタダシさん(47)が待っていた。
寒そうなサンダル履きだ。
すえたにおいを漂わす70リットルの袋を載せた台車を第1京浜沿いから押し、
京急川崎駅周辺へ。
住宅地の路地を抜け、ゴミ集積所や自販機のゴミ箱があると、
慣れた手つきで両手を突っ込みアルミ缶を選んで袋に詰める。
「道路で音を立てると怒られるからね」。つぶすのは公園だ。
歩きながらぽつりぽつりと話す。
市内のホームレスでは若手だが路上歴は10年。
5年ほど前から缶集めで週2回、朝と夜に歩くといい、「ここはペットボトルばかり」
「ここは朝の方がたくさん集まるんだよ」とピンポイントで指さす。
台車が重くなっても、片手で軽やかに動かす。
花見客からもらった缶も合わせ、約1時間半歩いて約30か所で4袋分を集めた。
タダシさんは市内の中学を卒業後、工場など職を転々とした。
一時は民間の福祉施設に入ったが、「縛られて監視される気がしてね。
外にいる方が気ままで楽」と路上生活を選んだ。
市民団体からの差し入れと缶集めで生活しており、
「悪いなぁ、後ろめたいなぁと思う。でも、缶を集めないと生きていけない。
集積所は汚さないし、台車も目立たない場所にとめるし、マナーは考えてやってるよ」。
少しだけ語気を強めた。
後日、集めた缶を買い取る区内の業者を訪ねた。
高値をつけてくれる業者として知る人ぞ知る存在らしい。
この日の買い取り価格は1キロ(350ミリ・リットル缶約70個分)当たり140円。
市内のホームレスの半数ほどが缶集めで生計を立て、多くはここで換金する。
男性社長によると、都内から多摩川を越えて売りに来る人もおり、全体の4割は個人だ。
「どこから持ってくるかは知らないけど、
どんな相手でもきちんとしたものを持ってきたら高く買い取るよ」
話を聞く間にも次々に売りに来て、その中にタダシさんもいた。
アルミ缶の他にフライパンなど小型金属を売って2500円だったといい、
うれしそうな顔で台車を押して帰って行った。
だが、資源ゴミの持ち去りは市には長年の課題だ。
川崎市収集計画課によると、市内のアルミ缶の持ち去りは、
2019年まで過去5年平均で約280トン分(約2000万円相当)に及ぶ。
川崎市は、組織的な持ち去りなどを防ぐ狙いで、
条例改正案を9月に市議会に提案する方針を打ち出している。
しかも、違反者に罰則を科せる条項を付けた。
担当者は「地域的な理由を考えると踏み出せない部分もあった」
と葛藤もあったが、実効性を重視した。
川崎市としては、ホームレスから生業を奪うのでなく、
これを機に路上生活をやめてもらうことを目指している。
「缶を生活の糧にした自立ではなく、福祉を通じた自立の道を進んでほしい」からだ。
だが、条例改正に対する市のパブリックコメントには、
「命綱を奪われ死ねと言われるのと同じ」
「福祉が苦手な人もいる」などと批判的な声も寄せられた。
川崎市内で30年近く支援活動に携わる水嶋陽さん(62)は
「禁止された後に缶を集めたら“悪者”扱いになり、
市民の目が厳しくなる」と危惧する。
「今の政策に限界があるから彼らはいる。
いつか自立をしてもらうにしても、まずは、
社会とのつながりを持てる就労の機会や生きがいを与えてほしい」。
タダシさんは持病があり、時々、体が思うように動かないことがあるという。
「条例ができちゃったら、諦めて生活保護に戻るしかないかな……」とつぶやく。
条例改正は、ホームレスたちが行く末を考える機会になるのは間違いない。
(読売新聞・村松魁成)。