次期政府専用機は777-300ER

 ジャンボ機(747-400)の後を担う次期政府専用機がボーイング777-300ERに決まった模様。防衛省が24日に締め切った後継機の機種や整備委託先の提案募集には日本航空と全日空の2社が応募し、両社とも提案したのはボーイング777-300ERだったとの報道だが、これは不可思議。

 777は1995年6月に運航が開始されているから、既に19年が経過している。大型旅客機は20年程度使用しリプレイスするのが普通で、JALでは本年5月から777の退役が始まっている。退役する777の後継機としてJALはエアバスA350を発注済み(確定31機、オプション25機)だから話はややこしくなる。ちなみにA350は顧客への引き渡し直前の最新鋭機である。

 JALは、2019年から6年程をかけて777からA350へのリプレイスを進めることを昨年10月に発表している。2019年に導入する政府専用機には、その時点で運行開始から25年を経ているボーイング777を勧めておきながら、自社用には最新鋭機であるエアバスA350を導入するこの矛盾をどう説明するのか。

 JALの計画通りに777からA350へのリプレイスが進んだとすると2025年には整備するべき自社の777が無いことになる。つまりだ、ANA にもJALにも既に747-400が無く、機齢の問題と共に、今後長期間整備委託できる航空会社が存在しなから政府専用機をリプレイスしなければならないのだとする現在と同じ状況が2025年以降に生じることになるのだ。もっともANAが現行型777の後継機として開発中の777-8X/-9Xを選択すれば話は別だが。

 そんなこんなを考えれば、次期政府専用機はA350以外に選択の余地はないはずなのだが、政府は、あるいは日米同盟を最重要課題とする政府の意向を斟酌したANAとJALは欧州製のエアバスA350ではなく米国ボーイング社製の777を選んだのである。そうなのだ、日本の旅客機と戦闘機は、技術的要求や経済的要求によってその機種が決まるのではなく、それら航空機の生産国への配慮、あるいは誰かから誰かへ賄賂が贈られたか否か、あるいはその額で決まるものなのである。嗚呼、嘆かわしや。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、これからの季節の花、茄子の花。薄茄子色と黄色の蕊の取り合わせがチャーミング。

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