
数々の紆余曲折と試行錯誤を重ね、予定よりも大幅に日数を費やして、なんとか完成にこぎつけたM3中戦車リーです。このキットがそれまでの私の作品と違う点は、インテリアを完全に作ったということの他に、もう一つあります。

それは、最初の記事でテーマの一つに挙げたように、ドアやハッチなどの可動部分は全て動くようにする、という点です。それを簡単な方法で実現出来ないかと考え、模型雑誌で見かけた「PITMULTI-2 による可動再現方法」を試してみました。
PITMULTI-2 は、文具メーカーのトンボ鉛筆が販売している接着用糊の一種です。公式サイトの案内情報はこちら。塗って乾燥させると、貼り付けたり剥がせたり出来るというもので、キットのハッチなどを開閉するには適したアイテムとして、プロのモデラーさんが紹介したりしています。

今回は、このPITMULTI-2 を使い、5ヶ所のハッチの軸部に塗って5分ほど置いて乾燥させ、その後にハッチを全て取り付けました。一回剥がして、開いた状態にすることが出来ます。上画像のように、取り付ける角度を自由に変えられるので、5ヶ所のハッチが開放されたシーンを表現することが出来ます。

改めて、5ヶ所のハッチを全て閉じた状態にしました。劇中の試合中のM3中戦車リーはこの状態で臨むわけです。

再び、全てのハッチを開いた状態にしました。操縦席のハッチは上に開き、左右の側面ハッチは90度開放し、右側上部のハッチは全開、砲塔キューポラ上のハッチは観音開きになりました。それぞれの開口部から内部をのぞくことも出来ます。
この状態が、劇中ラストの優勝凱旋パレードの姿になります。ウサギさんチームの6人の1/35スケールフィギュアがあれば、あの感動の名シーンをリアルに再現出来るわけです。コムラクラフトさんのフィギュアセットを市販化してほしいですね。

そして、車体は着脱式としましたから、副砲砲塔、車体上部、車体下部の三つのパーツに分割出来ます。

分割した場合には、車内の状況を見て楽しむことも出来ます。ウサギさんチームの6人の1/35スケールフィギュアを配置すればもっと楽しいはずです。

最後の仕上げとして、デカールを貼りました。モデルカステンの「ガールズ&パンツァー デカールセットVol.1」に含まれるウサギさんマーク三つと大洗女子学園校章二つを使用しました。デカールを貼った翌日に、つや消しクリアーを吹き付けました。

ウサギさんチームのM3中戦車リーは、他チームの戦車と違って、大洗女子学園校章が左右対称の位置にありませんので注意が必要です。側面の大洗女子学園校章は、左側にのみあって右側にはありませんので、上画像のような姿になります。

ですが、ウサギさんマークは副砲砲塔の左右に対称にマーキングされています。モデルカステンのデカールは、劇中のよりも僅かにサイズが大きいですが、縮小するわけにもいかないので、そのまま使用しました。

再び左側面の姿です。こちらには大洗女子学園校章がついていますので、ガルパン戦車の雰囲気も濃厚です。

正面から見ますと、前面装甲の左側にマーキングされたウサギさんマークのみが目立ちます。

背後からの姿です。砲塔背面の大洗女子学園校章は、あんこうチームのⅣ号戦車D型のように真後ろではなく、中軸線よりも左側にオフセットされています。その部分がフラットになっているので、キットの砲塔パーツの微妙な起伏や周縁部の出っ張りを苦労して削ったりパテで整形したりしたわけです。

上画像のように斜め左後方からのアングルが、大洗女子学園ウサギさんチームの搭乗車としての雰囲気をよく見せてくれます。道具箱はもちろん、ボルトの配置や後部装甲板の延長部、車体周囲の小さな張り出し部分なども忠実に再現しましたので、劇中のシーンをも彷彿とさせてくれます。ずっと見ていても飽きないですね。

正面上から見下ろしてみました。前部装甲板上のウサギさんマークに汚れがあるように見えますが、これはキットのパーツにもともとあった前部連装機銃のモールドを埋めて消した痕跡がかすかに浮き出ている状態です。この部分ももっと念入りにペーパーがけをしておくべきだった、と反省しています。

背面上から見下ろしてみました。こちらは、特に指摘すべき反省点は見当たりませんが、保存上の観点からアンテナ線を省略していることを付記しておきます。

苦労した前部フェンダー上の整形作業も、なんとかまとまった外見に繋がってくれたようで、ホッとしています。

このようなアングルから眺めると、車体周囲の小さな鰭状の張り出し部分が意外にも大きなインパクトを持っていることに気付かされます。劇中では見られるものの、ネット上で見かける先行キット完成品のいずれにも再現されていなかった部分であるので、これを実現出来ただけでも個人的には大満足です。

以上で、ウサギさんチームの搭乗車が完成しました。製作期間は、2月12日から3月29日までの46日間ですが、諸用事や出張や引っ越しなどで三週間近く中断していたので、実際にキットを製作していた日数は27日、約四週間でした。あんこうチームのⅣ号戦車D型の製作日数が28日であったことを考えると、インテリア付きで難度の高かったわりにはかなり早いペースで作っていたと言えましょう。
色々難しくて大変でしたが、インテリアにも外装にも、ウサギさんチームの6人の動きや雰囲気を感じて楽しかったです。他の戦車キットでもインテリアを作ってみたいな、という気分にさせられます。ガルパン仕様に可能な限り近づけることが出来たのも、良い経験になりました。
しかし、操縦席天蓋上のペリスコープをまだ再現出来ていないので、ここでは仮の完成としておきます。いずれ適当なパーツによってペリスコープを追加した時点を、このキットの本当の完成と位置づけることにします。