GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

バケモノの子とMr.Childrenの曲

2016-05-08 03:25:19 | MUSIC/TV/MOVIE
久々にアニメ映画を借りて観る。
バケモノの子。
『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』などの細田守監督が、人間界とバケモノ界がパラレルに存在する世界を舞台に描いたアニメ。

今回も映像が綺麗ね。
「1コンテにどんだけ手間ひまかけてるねん」って突っ込みたくなるくらい丁寧で綺麗。
水色など青の使い方がとても印象的で、青空と入道雲のコントラストは吸い込まれそうな錯覚さえ感じる。
鈴木英人のグラフィックポスターみたいだ。



ストーリーや構成は「もうちょっとゆっくり」とか「丁寧に」って思ってしまうほど乱雑なのだ。
題名に「の」をつけないと気が済まない宮崎駿・ジブリや、なんか説教・宗教色の見え隠れするディズニーは嫌いで、しかもアニオタではないので、他の作品と比べてどうこうとかは言えないんだが、とにかく途中何箇所か急ぎすぎ。
「何故そうなる?」「あれ?なんで?」をすっ飛ばして「わからない奴は置いてくぜ」ってノリ。
観客に喧嘩を売ってるのかもしれない。
「黙って最後まで見てろ。あとでわかるから」って、イヤイヤ最後までわからんところ結構多いぞ。

したがって、この映画は想像力をかなり使って観なければいけない。
それでも「修行の旅をはしょりすぎでは?」とか「異世界に迷い込んだ主人公が何故行き来できるようになったの?」とか「どうやって現世界でお互い見つけられた」とか「白鯨読んでなかったら意味わかるかい!」とか突っ込みどころはいっぱい。
でも、『そんな細かいことはいいんだよ』って一言で片付けられそう。

「だってこれはファンタジーだもの」と怒られそうだ。だから黙ってよっと。

誰にでも起こりそうで起きない物語。
鏡に映ったおまえは誰なんだ。
答えに正解はあるのか。
強さとか弱さとか、測る基準は何だ。
限りない欲望。窮屈な現実。そして人は心の中に闇を持つ。

この複雑な映画の世界を、桜井和寿は見事に音楽で表現している。
エンディングで流れるMr.Childrenの曲【Starting Over】があってこそ、この映画は完成すると言って過言でない。
映画館でエンドロールの際に流れるこの曲を聴かずに席を立って帰った人は、めっちゃもったいない。デザートで完成するコース料理の最後のパティシエ渾身のケーキを食わずに帰ってしまったようなもんだ。
それぐらいこの曲は良い。歌詞が良い。切なくそして激しく歌う桜井和寿が良い。

僕だけが行ける世界で銃声が轟く
眩い 儚い 閃光が駆けていった
「何かが終わり また何かが始まるんだ」
そう きっとその光は僕にそう叫んでる

この曲はミスチルのアルバムCD[REFRECTIONS]に収録されてるので、映画を観て無い人も是非聴いてほしい。