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バーボングラス片手のロックな毎日

池波正太郎 鬼平犯科帳

2016-09-17 00:57:29 | BOOK/COMICS
子供の頃は時代劇をなんとなく見てた。
親が観るから仕方なしって感じ。テレビは一家に一台の頃だからね。
遠山の金さん、大岡越前、銭形平次、大江戸捜査網、必殺仕事人、水戸黄門、桃太郎侍・・・。
ほぼ一話完結のわかりやすい勧善懲悪モノ。悪代官とか越後屋とか悪い奴がいて、町民が事件に巻き込まれ、事件解決や仇を取る。
最後はチャンバラ、入れ墨見せたりお金を投げたり印籠見せたり白州で裁きしたり。

まさか自分がそんな時代劇にはまるとは、当時は想像つかなかったんだが、最近は時代小説にはまっている。
夏にダウンして寝込んでたところに、グッドタイミングで届いたお客様が貸してくれた本。
池波正太郎の鬼平犯科帳。文庫本版1-24巻全巻セット。

実はこの鬼平犯科帳はTVでもすごい人気なんだそうだが一度も見たことがない。
長谷川平蔵とか、火付盗賊改とかの名前は知ってるよ。
面白いから是非読んでみてって貸してくれた。
戦国時代や明治維新ものは好きなんだが、捕物帳や江戸庶民ものはなぁって思ってたがこの機会に読んでみた。

短編(だいたい一冊に5−6編収録)で勧善懲悪。悪い奴は徹底的にやっつける(捕まえるor殺す)、見込みある奴は更生(または部下にする)さす。
ストーリー展開も毎回面白い。息をつかせぬ展開で進む回もあれば、じっと我慢の尾行や偵察の回もある。
前回や以前出てきた人間が次々と登場してくる。キャラクター描写もいい。そしてさりげなく当時の暮らしや地理を今の時代と比較して説明してたりする。
どんどんテンポ良く描かれる池波正太郎ワールド。やばいくらい一気読み。

そしてなんといっても食の描写がたまらなく上手い。
こちとら食欲なくてダウンしてるのに読むと味噌汁やおにぎり(にぎりめし)、漬物などが無性に食いたくなる。
おかげで食欲が出て、飯だけはなんとか食えた。
夏で良かった。これが冬なら作中に何度も登場してくる鳥鍋が食べたくなるところだ。
困ったのが飲酒シーン。
江戸時代は水より酒。とにかく鬼平登場人物は昼間だろうが深夜だろうが酒を茶碗で飲む。ひや酒でも熱燗でも美味そうに飲むシーン多い。
こちとら禁酒中なので茶で我慢。

DVDを借りてきて過去のテレビドラマシリーズ一気読みしようかしら。
調べたら149回分だと。それはちょっときついなぁ。

今度のスペシャル版前後編のTV放映、通算150回でもうドラマ化は終了らしい。
人間国宝となった歌舞伎俳優の中村吉右衛門が高齢のためかなって思ったが、実は池波正太郎の遺言で「原作にないものは描かないくれ」ということで、ネタ切れが本音みたいだ。
そりゃ作者もうお亡くなりに習えてるんだから仕方がない。もう新作がないんだもんね。

と思ったら今度は初のテレビアニメ化が決定したらしい。
鬼平犯科帳はさいとう・たかをプロで漫画化されてるから、その絵でかなと思ったあ大きな間違い。
婦女子が喜びそうなイケメン8頭身の鬼平だ。

テレビアニメ化を担当するプロデューサーは、映画「時をかける少女」「サマーウォーズ」など200本以上のアニメ作品を手がけてきた丸山正雄。
長身でスタイリッシュな現代風のルックスの鬼平。旧ドラマや原作ファンに受けるかどうかは別にして、クールな色気を感じさせる鬼平も悪くないような気がする。

とりあえず最後のドラマはちゃんと見ようと。
娘婿尾上菊之助との共演もあるらしい。