GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

グランメゾン東京 面白いぞ!

2019-10-23 11:17:47 | MUSIC/TV/MOVIE

さすがキムタク。

そう思わせるドラマだ。

あっ、今回は完全にネタバレの内容ですので、まだ第1話を録画しただけで見ていない、これからTVerや見逃し配信でみようと思ってる人は読まないでください。(あとキムタクアンチもね)

 

【グランメゾン東京】は王道の挫折した男が仲間と共に再起を図るってパターン。

前評判や番宣で「豪華メンバーだけど面白くないんじゃないか?」なんて危惧してたんだが、めっちゃ面白いぞ。見ないと損するぞ。

 

ミシュランの星を何年もとってるパリのレストラン「エスコフィユ」でシェフだった木村拓哉。天性の才能を持ってる役は木村拓哉の十八番だが、それくらい彼は何の役でもできる。もはや何を演じてもキムタクって言われるが、やっぱりうまいのよ。ビストロスマップで何年も料理作ってたってのもあるだろうけど、日本人発の三ツ星シェフになれるか?ってくらい期待されてたシェフを演じる彼の手際の良さはまるでプロの料理人。ドラマ中で作られる料理も美味そう。いや、実際美味いんだろう。フレンチなんてバブル以降あんまり食う機会ないけどさ。

 

彼の料理を食べ、自分の才能の限界を感じた鈴木京香。彼女の夢であるミシュランから星をもらえるレストランを作るって話なんだが、テンポがいい。特にいろんな台詞・言葉の掛け合いがうまい。この人は自分以外の他の役者の台詞まで覚えてるのか?他の出演者の人物像まで研究してるのか?台詞はこう言いこういう仕草、動作はこうするからってくらい読んでるきがする。だからまるで現実(実生活)のように違和感なく演じる。

 

ロンバケの山口智子から以降、キムタクと主演女優の掛け合いは見どころの一つ。【眠れる森】の中山美穂、【ビューティフルライフ】の常盤貴子、【HERO】の松たか子(北川景子もね)、【GOOD LUCK】の柴咲コウ。それらと同じくらい鈴木京香との会話の掛け合いは安心して見れる。空港のキャッシュディスペンサーでお金をおろしてキムタクに貸す時に、あれ?久々に名コンビになるんじゃない?って思った。ここ最近のキムタクドラマだと女優がついていけてないなぁって思ってたからね。【A LIFE〜】では竹内結子より木村文乃の方がうまかったくらいだ。

鈴木京香は食べただけで材料や調理法を分析できる舌を持つのだが、これを上手く演出してるところも制作側が上手いなぁと思った。最近のドラマだとやたらと説明台詞がいっぱいでうんざりするのだが、今回のドラマはこれだけ豪華なメンバーだもの、下手な演出や過度な演出はいらないよね。脚本もいいぞ。

 

沢村一樹もいい。最高のレストランを作るためには、どうしても昔一緒に働いてた(共同経営者?)ギャルソンの沢村が必要だという木村。過去の店で木村と沢村はミシュランから星をもらえる店を作り上げたが、大統領を招いた食事会でアレルギー物質が混入してたせいで共に全てを失う。さらにその時の後始末での借金のせいで、今沢村は手塚とおるが経営するレストランで働いてる。

ここでシェフを務める尾上菊之助と木村拓哉がまだ料理人だった頃にいた店に入ってきて、彼も又、二人の才能においやられるように料理人を諦めた過去がある。ここをさりげなく第1話で描くことによって、鈴木京香と共通点を出す演出は見事。彼を説得するために鈴木京香が、1千万円を手塚とおるに突きつけるところは見どころの一つだ。

 

以前「エスコフィユ」で一緒に働いてた及川光博が、今、日本でWEB料理研究家やってるってのもいい。彼が今後一緒に働いてくれるのかどうかだが、次回予告ではどうも子供がいてその時間を大切にしたいってなこと言ってるからどうだろう。王道パターンなら子供が「料理作ってるパパが好き」とか言ってレストランシェフに戻ってくるんだろうけど、どうだろう。

 

同じく「エスコフィユ」で木村拓哉の下で働いてた玉森裕太もいい。彼も【信長のシェフ】で戦国時代にタイムスリップしてしまったフレンチシェフを演じてたくらいだから、料理の手際がいい。今はホテルレストランのシェフとして活躍してるが、自分の思い描く料理は否定され作らさせてもらえない。同棲してる朝倉あきと共に番外編が作られてるが、こういう手法もいいね。豪華メンバードラマでよくある、やたら一人一人の人物像をドラマに盛り込みすぎて何が何だかってなっちゃうの防げるもんね。番外編で一人一人丁寧に描かれるといいな。玉森くんだけかな。沢村一樹や及川光博なんかの番外編もあるのかな。

 

玉森くんと一緒に働いてるパティシエを演じる吉谷彩子もいいね。彼女のことは知らなかったんだが、今時の女の子って感じで演出されてる。料理人(職人)の世界で当たり前のようにある、勤務時間外労働。準備や掃除は始業時間前や閉店後にって通例を否定。これが鈴木京香の「女だからって言われないように誰よりも働き、稼いだ金は全て料理勉強に注ぎ(それなのに1千万円溜めれたの?)、休みの日もいろんな店を食べ歩きしてた」ってのと対極になってる。さらにちょこっと映ったデザート、フルーツカッティングが見事。これだけで彼女が非凡な才能を持ってるのがわかるところも上手いなぁと思う。彼女もキムタクの新しい店に来るのだろうか。

 

同じく今時の若者を演じる寛一郎。従業員募集を見て応募してきた彼は料理経験は居酒屋で半年のみ。「話にならない」と呆れる鈴木京香を尻目に木村拓哉は「採用」って。これも経験はないが「料理人になりたい」って寛一郎の情熱と、「星付きレストランで働きたい」と単身紹介状もなしにパリの三ツ星レストランに面接にまで行った鈴木京香と通じるものがある。面接のとき彼女は他の面接受ける料理人に自分の熱い思いを笑われるが、シェフは「人の夢を笑う奴に料理人の資格はない」と彼らを落とし鈴木京香に料理を作らせ試験する。

最近では何かに夢中になったり、夢を語ったりすることがなんかカッコ悪いみたいだけどさ。「有言実行」ってのはちょっと違うかもしれないけど、言い続けることによって実現することもあるからね。「好きこそ物の上手なれ」とも言うしね。

今回のドラマが面白いなって思うのは、今夢を見てる者、夢を諦め別の道を選んだ者、夢を諦めず突き進もうとする者、そして今度は人のために再起を図る者。

木村拓哉の「あんたに星を取らせてやるよ」って台詞がこのドラマを象徴してるね。

 

ナッツアレルギーの大統領の料理に、誰が混入させたのか、ただのミスか、それとも・・・ってサスペンス的な要素も今回のドラマの見どころ。尾上菊五郎が一番怪しいが、ウニの中身を全部出して手抜きしようとしてキムタクに「出てけ!」とクビになったやつも怪しいし、盛り付けを任された玉森裕太が気づかず使ってしまったのかもしれない(途中でソース(?)オイル(?)が足りなくなってる)。

食物アレルギーは怖いよね。以前エビアレルギーのやつが、自分の彼女が作ったおにぎりを食べて呼吸困難になったのを目の当たりにしたことがある。ふりかけに入ってたみたい。小麦粉アレルギー、甲殻類アレルギー、牛乳がダメな人もいれば肉がダメな人もいる。生まれつきもあれば今まで大丈夫だったのにある時を境に発症する場合もある。アナフラキーショック起こしたら本当にやばいもんね。ちなみにピーナッツは名前こそナッツってついてるけどナッツではない。でもナッツアレルギーの方は気をつけてね。

 

日本ではただの食べ物屋ガイド的な扱いをされてるけど、ミシュランで星を取るとかっていうのは、フランスでは重要。星を取ることでグレードが上がり、店の経営まで左右する。星を失ってしまうとシェフが辞めさせられたり、自殺したりする場合もある。日本で「あまから手帖」に載った載らないでそんなことになることないし、ぐるなびや食べログの星がってのもそんなに価値がない。口コミがやらせだったとか、有料会員になるとどうたらってのが揉めたりしてるけど、実際自分が食べないとね。

 

よく「外人に日本の味がわかるのか」なんて日本料理店を格付けするミシュラン調査員を否定したりするけど、これは的外れだと思う。ミシュランガイドは彼らが味や接客、店のしつらえや雰囲気を総合的に判断して「ここはわざわざ行くべき価値がある店だ」とか「ぜひ行ってみたらいいぞ」って基準で選んでるんだから。

だから逆に日本のフランス料理店の方が審査基準のハードルが高いかもしれない。だってフランス人にとってフランス料理を判断するのを、フランスの名店の味を知ってる調査員がするんでしょ。これを逆に言えば海外にある日本料理店の審査を、日本の料亭を食べ慣れた人が審査するようなもんだもの。

しかも先入観もある。

インド人が作ってないカレーも、イタリア人が作ってないピザやパスタも、中国人が作ってないチャーハンや餃子だってOKだけど、日本人が作ってない寿司や天ぷらってどう?ましてや割烹とか懐石だと更に厳しくない?どれだけ歌唱力があっても白人が着物着て演歌歌っても本来の評価はしにくい。映画【クロスロード】で主人公(ラルフマッチオ)がブルースギターを習いたいと弟子入りを懇願するのだが「裕福な家庭に育った白人のお前が?」と一蹴されるシーンがある。

それと同じように以前はフランスの料理界もかなり閉鎖的であった。フランス人以外にフレンチが作れるのか?って。白人至上主義は西欧上流社会ではまだあるんじゃないかな。今回のドラマで、ナッツ混入を大統領の側近が犯人探しをするのだが、その際にスタッフに外国人が多いことをよく思ってないシーンがある。「違法入国してるんじゃないか」「移民が増えた」「就労ビザ持ってるのか」。これは「所詮外国人が作ったフレンチだから」っていうのを遠回しに演出してる。

 

つい最近、今年の日本ミシュランガイドが発売された。大阪・京都版では、東京版では、三ツ星が、二つ星が、って。もはや毎年恒例行事のようになってきたな。清水寺の今年の漢字一文字とか、流行語大賞みたいになるのかな。

ミシュランの星獲得店、できればフレンチを食べに行きたいものだ。でも、さすがにお一人様では行けない。誰か一緒に行ってくれないかなぁ。奢ってくれるとなお嬉しい。

 

もう一つ気になったのはキムタクが使ってる包丁(ナイフ)。

あれ、特注かなぁ。彼はビューテフルライフで美容師演じた時も、ハサミの最高級品質のハイネッタを使ってたからなぁ。どこのだろ。包丁(ナイフ)一つまで凝ってる、グランメゾン東京。次週も楽しみだ。