今クールは医療ドラマ大人気である。
当たるとシリーズ化するほど人気になるが、こけるとこれほど厄介なジャンルはない。
「ドクターX」とか「ブラックペアン」のように、優秀な医者が天衣無縫にメスを振るうっていうパターンは描くのがなかなか難しい。だから大抵はなんか病院や医局の経営や組織に、軋轢とか思惑があってナンチャラカンチャラってのが描かれるのだが、そういうのっていつ患者になるかわからん立場の1視聴者からすりゃ、見たいか?って。
これからの高齢化社会を見据えたってわけではなさそうだ。それぞれターゲット視聴者層が今回バラバラだもの。
松下奈緒と木村佳乃の「アライブ ガン専門医のカルテ」
これは最初から見るのをやめた。だって暗そうなんだもの。なんか見てるだけで、「これってガンの兆候?」とか「ひょっとしたら」って疑心暗鬼になりそうだ。だからバラエティでも「本当は怖いなんちゃら」とか病気なんかをテーマにしたものは見ない。なんか当てじゃまったりしたら気になってしまうもの。熱があっても体温計で計るまでは「熱はない」って思い込む俺には危険なのだ。
しかも医療ドラマってのはガンで両親を亡くして以来苦手だったのだ。だから「ER」とか「救命病棟24時」とか「チーム・バチスタ」などなど過去の医療ドラマはほとんど見ていない。それが「白い巨塔」(唐沢寿明リメイク版)の誘惑にはまってみてしまってから、「ドクターコトー」以降なんとか見れるようなった。だけど相変わらずあの心電図の警告音と、病気で苦しむ人を見るのだけは苦手だ。ましてやガンがテーマのようなこのドラマは、ちょっと見る気が出ないのよ。
佐藤健の「恋はつづくよどこまでも」
これも最初から見ていない。医療ドラマというより医者とナースのドタバタ劇って感じなのは予告でわかるのだが、まぁそれなら余計に見なくてもいいかなと。クールな佐藤健っていうのは興味あるのだが、それは映画「るろうに剣心」の公開まで待ってようかなと。
未だに上白石姉妹がどっちがどっちかよくわからん。今回の佐藤健の相手役は萌音だよね。「義母むす」で佐藤健と絡んでたのは萌歌?「3年A組」にでてたのはどっちだ?まぁ、石田ゆり子と石田ひかりも未だにどっちがどっちかよくわかってないからな。姉妹じゃなくても石川ひとみと石川秀美の違い分かってなかったし、水野美紀と水野真紀とかもね。みちょぱとゆきぽよもパッと見たら未だに見分けがつかない・・・。
伊藤英明の「病室で念仏は唱えないでください」
これは原作漫画を読んでたからちょっと期待してみたのだけど、うーん。微妙。多分これから面白くなるんだろうけど、俺は第一回目でもういいや。
ムロツヨシの無駄使い。彼にはもっとおとぼけの役をさせてほしい。
後、片寄涼太。彼は全然演技がうまくならないのだが、いいのかこのままでっていらぬ心配してしまう。今時のゆとり(悟り?)世代を演じてるんだろうけど、彼は他の人が演技してる時に演技をしていない(自分の台詞の番を待ってるのか?)ので浮いてしまってる。
天海祐希主演の「トップナイフ」
「ドクターX」の米倉涼子に対抗したような天才脳外科医を演じるのかって思ったら違った。脳外科医局のチームの話。三浦友和の飄々さ、椎名桔平の怪しさは天下一品だな。永山絢斗の根拠のない自信もいい。
しかしさぁ、天海祐希をはじめ椎名も永山も過去になんかトラウマがあってって脚本はどうなの。やたら過去や記憶にフラッシュバックするから全然「今(現在)」のストーリーが入ってこない。
そして欲張りすぎ。
発病前は家族にDVをふるってて、発症してから穏やかになったが治ったらまた元に戻るのではないかと家族が怯える患者。この病院の先生にスーキングされて困ってるという患者。そして顔を洗うこともできないくらいの痛みがあるがどこの病院も信じてくれないという自殺未遂の患者。この3患者の話を一話に詰め込む強引さ。更にそこに3医者の過去のトラウマが絡んでくるから、もう何が何だか。
そこに追い討ちをかけるように広瀬アリスのポンコツさ。
シリアスドラマの唯一のコメディ部門を担ってるんだろうけど、広瀬アリスだぞ。妹のすずじゃないんだぞ(この違いはわかる)。「釣りバカ日誌」「ラジエーションハウス」など過去の作品でどれもこれも浮きまくりハズシまくりの彼女に、そりゃ無茶ってもんだ。彼女のコメディアンヌは濱田岳と西田敏行のコンビでさえカバーしきれない。「ハラスメントゲーム」での唐沢寿明や「探偵が早すぎる」滝藤賢一などの苦労が画面からヒシヒシと伝わって来る。
多分(想像だが)天海祐希はドラマ内で広瀬アリスに呆れたり怒ったりしてるけど、本音でやってるんじゃないか?「ただでさえ厄介な役柄なのに、あんたまで構ってられんわ」ってところじゃないか。あくまでも想像だが。
広瀬アリス、このままだと最後まで浮いてしまうぞ。これだけのメンバーで視聴率が悪かったら、それは脚本と広瀬アリスのせいだぞ。
小泉孝太郎の「病院の治し方〜ドクター有原の挑戦〜」
テレビ東京の硬派ドラマ枠「ドラマBiz」。過去に江口洋介主演の「ヘッドハンター」、仲村トオル主演の「ラストチャンス 再生請負人」、前出の唐沢寿明主演「ハラスメントゲーム」と、働く男の熱いドラマを描いてきた。12019年は真木よう子や中谷美紀が主演のものもあったが、玉木宏主演「スパイラル」で町工場再生、反町隆史主演「リーガル・ハート」で弱小企業の味方の弁腰を描いてきた。
そして今回は病院再生。小泉孝太郎の白衣姿は「ブラックペアン」以来だが、似合ってる。この人は政治家にならなくてよかったな。父(大和田伸也)が倒れたのをきっかけに地元(長野)に戻り、エリートドクターの道を捨てて実家が経営する病院の負債返済〜再生を目指す。だから医療ドラマというよりは企業再生ドラマ。
実はこのドラマ、平昌五輪で金メダルに輝いた小平奈緒選手を支え続けてきた相澤病院がモデルなんだそうだ。あの話は感動だったな。東京2020だ、インバウンドだ、猛暑対策が、厚底がどうしたって前に、選手が練習に打ち込める環境やお金、補助やサポートしてあげてくれよ。それもしないで勝手に日の丸背負わせて、IOCの都合で会場変えて、ルールまで変えて。
小泉孝太郎演じる主役は、どこか「警視庁ゼロ係」の小早川冬彦に似ているくらい周りの空気を読まないやつだが、憎めないキャラだ。高嶋政伸が演じる銀行員は、今後事務方として病院に移って来るのかな。
特筆すべきは小泉孝太郎の奥さん役の小西真奈美。可愛い。ファブリーズ感満載で爽やかだ。彼女みたいな奥様がいてくれたら、そりゃぁ苦難も頑張ろうって気にもなるさ。早く焼き鳥屋さんに連れてってあげてくれ(見てない人にはわからないな)。
今回、医療関連ドラマ多くあるけれど、面白そうなのはこの「病院の治し方〜ドクター有原の挑戦〜」だけだ。
医者を中心としたドラマなら、ブラックジャックや大門未知子のように、組織や周りに忖度されず、患者をズバッとスピーディーに的確に治療してくれるだけでいいや。病院のドロドロ、医者と看護師のどうたらこうたら、医局の人間関係とかそんなもの見せられても気が滅入るだけだもん。
病院に行かない人生が一番幸せかもしれない。