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秋刀魚不漁なのに東京タワー下でサンマ祭り?

2015-09-24 00:30:19 | FOOD&DRINK
秋と言えばさんま。漢字で秋刀魚と書くように安岐を代表する魚だ。
じっくり焼いてまだ脂がパチパチ言ってるとこにスダチを絞って喰う。大根おろしと醤油をかけてもいい。
皮の裏っかわにビッチリと脂がのってると嬉しくなる。はらわたも旨い。ご飯がすすむ。

そのさんまが今年は不漁だ。正確に言えば数年前から不漁らしいが、今年は特にひどい。
スーパーに並んでる秋刀魚も小ぶりなものが多く、値段も高い。毎年、初物の走り(出始め)の頃は高いんだが、すぐに安定した価格に降りてくる。それなのに今年は高いままだ。例年ならも1匹(1尾?1本?)100円くらいになるのに、今年はまだ170円くらいだし、しかも小振りであんまり美味しそうじゃない。
秋刀魚は冷凍しても焼いて食べる分には味が変わらないから、解凍秋刀魚でもいいんだけど、やっぱりシーズン中は生秋刀魚が食べたい。どばどばっと網からおろされ傷やダメージうけた生秋刀魚より、獲ってすぐ船で冷凍される秋刀魚の方が、綺麗だしおいしいとは思うけどさ。



サンマは太平洋全域に生息していて、季節ごとに移動する『回遊魚』。日本近海には、夏から秋にかけてやってくる。
日本では、北海道から始まり徐々に南下する。だから走りの頃に獲る北海道の秋刀魚より、宮城、更に南下して千葉県、そして和歌山辺りで採れた方がたっぷり脂がのっている。
北海道で7月頃捕れる秋刀魚は、2009年で1800トン、2014年で8トン、今年はわずかに4トンだったらしい。
宮城では8月終わりあたりから本格的に水揚げが始まるが、不漁らしい。

毎年どんどん不漁になっていってるみたいだ。
この秋刀魚が不漁になったのは、公海(何処の国の了解でもない場所)で獲っている外国船団の影響だと言う人が多い。彼らは秋刀魚だけじゃなくて他の魚も根こそぎ獲るからね。
だから公海から回遊して日本近海にくる魚が減少してるのでは?ってのが、専門家や漁港、漁師達の意見だ。

でもね、日本人も近海でとはいえ、獲り過ぎじゃない?。毎年どこどこで水揚げがあったって映像で、大きな網から秋刀魚が港におろされる映像が映るが、そんだけ獲ってよく資源が枯渇しないもんだって思ってた。まだ大きくならない脂ののってない北海道でがばっと獲り、岩手や宮城でがばっと獲り、もう千葉や和歌山に来る頃には少なくなっててって感じだった。

今年はシラス漁も不漁らしい。愛知県でも静岡県でも佐田岬でも、
シラスと言えば一般的には釜揚げシラス、ちょっと干したしらす干し、関西では更にカリカリに干したちりめんじゃこ。産地では生のものも食べる。だけど不漁で産地で売り物の生シラス丼は、釜揚げやしらす干しと混ぜたハーフ丼になってるらしい。
シラスだって毎年かなりの量を水揚げしてた。シラスってイワシの稚魚だから、あんだけ獲っててイワシがよくいなくならないなって思ってた。イワシは小魚のうちに他の魚にだいぶ喰われちゃうからとか、成魚を捕った方が卵の産卵に影響するとか。言い分が業者によって違う。
イワシ等の小魚は、ヒラメや更に大きいマグロ、クジラの餌になってるから、もしシラスやイワシの獲り過ぎで減ったら海の食物連鎖がおかしくなってしまう気もする。



そろそろズワイガニのシーズンだが、越前も門人も松葉も、産地では乱獲防止のため漁期や水揚げ量を制限してる。北海道の毛ガニもメスは漁で獲れても逃がすらしい。秋田では相変わらずハタハタの漁獲制限をしてるし、アワビの産地で今年も禁漁にしてるところもある。
人工孵化や養殖に成功してる海産物はまだいい。ホタテや牡蠣、昆布に若布、ハマチやアジ、鯛や鮎なんかはありがたい事だ。えのき等のキノコ類、ネギ、トマト、白菜、キャベツ等の野菜、牛、豚、鶏等の牧場や農場で人工的に生産されてても気にしないのに、海産物は天然もの崇拝のこの国。
どうしても天然物は値が高くなる。クエや アラ、ハタ、フグ、マグロや鯛のように高くても買ってくれる需要があればれば漁師だってそれの方がいいに決まってる。なのに消費者は高いと買わない人が多いから、アジ、サバ、イワシ、サンマ、スルメイカなんかは大量に獲って、安く大卸すしか無い。これが乱獲に繋がる。

大量捕獲、大量生産、大量にスーパーに並べられ、安い価格で消費者が買う。この悪循環。
自然資源しか無い魚はもっと需要と供給、そして価格のバランスを考えないとイケナイ時代が来てると思う。TPPの問題もあるしね。
漁師も漁港もスーパーも消費者もどっちにしろ共倒れになりそうだ。

そんな時に呑気に東京都港区の東京タワー下で23日、岩手県大船渡港から直送されたサンマを味わう「さんままつり」が行われた。
3333匹の炭火焼きのサンマが来場者に無料で振る舞われたらしいが、一体これって何の為?
東北震災から立ち直ったのをアピールする為か?安全だってのをアピールする為か?それともただのイベントか?
震災や津波で東北の港や漁連がダメージを受けたのは知ってる。いち早く復興に取り組んで、漁船や港を整備して、養殖も復活させたのも知ってる。全国の消費者が、三陸の魚介類を買って復興協力ってやってるのも知ってる。東北の復興は素晴らしい事だし、風評被害に負けないでほしいから誰がなんと言おうと、岩手、宮城、福島の海産物があればなるべくそちらを買ってきた。

でもさ、このさんまが不漁の時に何やってんの?調子に乗ってないか?そしてこのイベントの金は義援金や復興予算から使われてないか?自腹か?そんな訳ないわな。今、全国の漁業が危機に面してると言って過言ではない。東北だけではない、全国だ。東北は有り余る義援金と復興予算でしばらくは大丈夫だろ?全国の協力のもと船や港は新しくなったし、養殖施設も復活できた。加工工場も徐々に復活してる。
でも、全国の漁業関係者は今切羽詰まってる。その現実を無視して呑気にサンマ祭りだ?
しかも東京で?何故地元でしない?大型連休なんだから地元の港でも何処でもできただろうに。よりによって東京タワーの下?しかも無料で配布?
宮城の嵐のコンサート会場の敷地でやった方がよっぽど効果的じゃね?

今回の秋刀魚祭りでちょっと「?」って思ってしまった。いや、アホちゃうか?って思った方が正しい。なにをちょっと復興したくらいで浮かれてんだ?いつまでも被害者ヅラして調子にのってるとしか思えない愚行。
悪いがもう東北の魚介、特産物は無理しては買わん。勝手にやっておくれ。
他の今も避難生活してたり、仮設住宅で暮らしたりしてる人には大変申し訳ないが、こんな事をさせるために義援金を寄付したのでは無い。
復活祭や復興記念のイベントは、ちゃんと復興してからやってくれ。何をトチ狂ってんだか。


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