徳丸無明のブログ

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R-1グランプリ2021 感想

2021-03-08 22:07:57 | 雑文
気温もだいぶ高くなり、寒さに凍えることもなくなりつつある今日この頃、皆さんいかがお過ごしですかのR-1グランプリ感想文です。
一新されたMCと審査員の平均年齢はだいぶ若くなり、テーマソングにCreepy Nutsを起用するなど、大会名の表記と芸歴10年以内というルールの変更以外にも、「リスタート」という印象が強く打ち出された大会となりました。

個別の感想は以下の通り。
まずはファーストステージから。


マツモトクラブ・・・復活ステージからの進出となったマツクラ。幼馴染から告白される男と思わせておいて実は妄想、警察から職務質問を受け、妄想のセリフと職質のセリフが一致する、というネタ。実にうまい。マツクラのネタって、作品全体のまとまりだとか、ストーリー性のほうが優先されて、面白さが2の次になっちゃってたりすることが多かったんですけど、今回はちゃんと面白さ優先になってました。「いくよ」という女性の名前が古臭いなと思ってたら、最後の「行くよ」につなげるためだったんですね。

ZAZY・・・髪の毛のピンク、だいぶ色落ちてたね。大一番の直前に染めようと思わなかったのかな。
フリップが4面あって、どんな仕掛けかと思いきや、それぞれ春夏秋冬のエピソードで分けられているという構成。不思議な話の途中でリズムが起こり、そのリズムに合わせてより不思議な展開になっていくという、ZAZYの定番スタイル。変な登場人物がツッコミを入れたり入れられたりしたのち「なんそれ!」でフィニッシュ、というのもこれまで通り。
なので、ZAZYを知ってる人からしたら、今まで観てきたネタが反復されてるというか、過去作をつぎはぎしたネタというふうに感じたでしょうが、そのままでは終わらず。春夏秋冬のリズムをリミックスしてEvery Little Thingの「出逢った頃のように」を歌い上げるというラスト。
うーん、やっぱり奇才。個人的にはいらすとやのフリー素材使ってたのが面白かったです。
今回から審査員が100点満点でジャッジする形式になりましたけど、古坂大魔王の99点は当分の間抜かれないんじゃないでしょうか。

土屋・・・高校の自転車競技部のインターハイ。ひとり言をつぶやいていたら田原俊彦のモノマネになっていた、というネタ。クセのあるしゃべりのせいで、最初「田原俊彦」が聞き取れず、「ダーアトシッコ」って言ってるのかと思いました。このネタの場合、モノマネのレベルはあまり高くないほうが面白いんでしょうね。たぶん60~70点ぐらいがちょうどいいんでしょう。
笑いとしてはだいぶゆるいというか、仲のいい友達同士でふざけあってるときにやりそうなネタ。万人ウケするけど、そのぶん大きな笑いにはなりにくいんじゃないでしょうか。あと、トシちゃん知らないっていう若い人けっこういるでしょうから、他の人のモノマネにしといたがよかったかもしれません。

森本サイダー・・・天然ボケのせいでせっかくの出会いをふいにしちゃうダメ男のコントが始まり、このままいくのかと思いきや、素に戻ってコントの解説を始める、という2段構成。
その狙いはすごくいい。ただ、「こう思ったヤツいるだろ」という指摘の内容を、もうちょっとひねったものにできなかったかな、と思います。今里のことなんか何も知らない地方の人間には、「何があんねん」って言われてもピンとこない。泣き崩れる場面のセリフは工夫が足りないというか、もっと面白くする余地があると思います。最後にそりかえったとき、おいでやす小田みたいになってましたね。

吉住・・・『となりのトトロ』のようなハートフルストーリーと思わせておいて、仲良くなったはずの化け物パプーが村を襲う、という悲惨な話。吉住のネタは基本的に「哀しみ」を題材に作られてますけど、これはちょっと悲劇の度合いが強すぎ。人が殺されちゃったらあんまり笑えない。やっぱり怪物を射殺することにしました、っていうオチもねぇ・・・。もっと長尺でやったらドラマ性とか深みが出るネタなのかもしれませんが。
「哀しさ」と「笑い」のバランスをどうとるのか、っていうのをもうちょっと考えてほしいです。「R-1はけっこうメチャクチャやっていいって聞いた」って言ってましたけど、「お笑い」を逸脱しちゃったら元も子もありません。

寺田寛明・・・知らない芸人と思いきや、一度観たことありました。ただ、どこで観たかが思い出せない。「にちようチャップリン」か「ネタパレ」だったと思うんですけど・・・。
英語を直訳ではなく、いかに日本人の感覚にピンとくるように意訳するか、というフリップネタ。変則的なあるあるネタとも言えます。実に知的で、ヒューマン中村に近いものを感じる。最後のThat's allも訳してほしかった。個人的にはもっと高得点でよかったと思います。

かが屋 賀屋・・・作家の台本届ける編集者(?)のネタ。電車に駆け込み乗車しようとして乗り遅れ、その後も不幸が続き、息切れが治まらない。そのためずっとハァハァ言ってるんだけど、それなら「落ち着こう」というセリフを入れず、ハァハァの変化だけで表現してほしかったです。後半でチラリと背中を向け、お尻が破れていたのを気づかせるさりげなさは絶妙。本人は最後まで破れに気づかないほうが面白いんじゃないでしょうか。
前々から思ってたんですけど、かが屋のネタって、面白さよりもリアリティが上回っちゃってることが多々あって、そこが玉に瑕な気がしてたんですね。でもこのネタはちゃんと面白さ優先になってました。

kento fukaya・・・3面のフリップを使ったネタ。しかしZAZYの後だったために、インパクトが薄れてしまいました。3面使っているのも、「遅刻しそうな男女の出会い」と「人類の進化と思いきやゴリラが立っただけ」以外は必然性がなく、1面でやっても変わりないな、と思いました。ラグビー部員の首の太さのリアリティがちょっとだけツボ。

高田ぽる子・・・おじいさんのとれてしまった乳首を買いに行く、という奇想天外なネタ。ゆるーい音楽に合わせてところどころ歌いながら展開するおかしな世界。合間に入るリコーダー演奏もいい味。幼い見た目が芸風とよくマッチしています。好きになっちゃいました。
芸歴2年でこの完成度。「恐ろしい子・・・!」(白目になりながら)
高田ぽる子は今大会最大の収穫。みんなも名前を覚えておこう。

ゆりやんレトリィバァ・・・会社の上司が怒りながら周囲にツッコミちらしていく、というネタ。なんか延々オヤジギャグ聞かされてる気分。OLさんは普段こういう気持ちでいるのだろうか。ひとつひとつのツッコミワードはゆるいけど、観葉植物に執拗にツッコむところはよかったです。ロッカーに植物が入っていたのは、ツッコんでる本人が前日に仕込んでおいたのでしょうか。


続きましてファイナルステージ。


かが屋 賀屋・・・彼氏の帰宅後にガマンしていたおならをしたら、彼がまた戻ってきて・・・というネタ。別れ際のセリフとか、バイバイのくり返し方とかは、さすがのリアリティ。かが屋ならではの、日常の延長線上の物語。
加賀の復帰、おめでとう。また2人での活躍期待してます。次はキングオブコントね!

ゆりやんレトリィバァ・・・ごく平凡な、ゆりやん本人とおぼしき小ボケを挟みながらのインタビューに見せかけて、急にヤクザ映画のようにキレる、というネタ。チンピラっぽくもあり、ゆりやんが着ていても不自然じゃないファッションのチョイスは絶妙。派手な効果音使ってやりたい放題。泣きながらシャワー浴びるの好きだよね。なんかのドラマの真似?

ZAZY・・・ネタの構成は1本目と同じ。今回の歌は安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」。ファーストと変えていたら優勝してたかも・・・。あとから言ってもしょうがないことですが。「シードでちょんちょん」が好き。


放送枠が2時間しかないから、だいぶ駆け足で進行しましたね。得点発表もいっぺんにドーンと出して、審査員の感想も1ネタにひとりだけ。優勝決定後の余韻もろくに味わえないまま放送終了。たしかにおいでやすはいらなかった、というくらい時間がなかった。
大会の若返りを図ったのはいいんですけど、霜降り明星がMCってちょっと早すぎません?ZAZYが「3年前の敗者復活で僕よりウケてなかったせいやが(決勝)行った」って揶揄してましたけど、R-1ってなんかずっと霜降りに甘い気がする。なんか裏があるのか、って勘ぐっちゃいますね。
あと審査員の野田クリスタルとザコシショウに不安を感じました。普通にやれてましたけど。友近は時間があったらいろいろボケたかったでしょうね。
優勝しても人生ほとんど変わらないでお馴染みR-1。ゆりやんはとっくに売れっ子だからやっぱり変わらないでしょう。
せめてZAZYがちょっとだけでも売れますように。