今年の国勢調査は、期限の前日 10月6日までの回収率が53%だという。そのため、回収期限が10月20日まで延長された。
私も、インターネットを使って、遅れて国勢調査に回答したが、質問に回答拒否の選択肢がなかった。個人的なことを聞いているのに、拒否の選択肢がないのは、とても不可解である。
そもそも、現代に、国勢調査は必要なのだろうか、疑問に思う。
人口は、潜在購買力をあらわすので、国の力である。また、昔は、人口は潜在戦闘能力を表わした。したがって、私の死んだ親が子どものときは「産めよ増やせよ」の時代だった。私の母の母、祖母は10人の子どもを産んだというので、国から表彰された。体が丈夫だからできたことで、私の父の母は産後の肥立ちが悪くて死に、父には異母兄弟の妹しかいない。
国勢調査の封筒が9月に私のところに送られてきた。各世帯主が回答することになっているから、住民票にもとづいて送られてきたことになる。住民票の各個人は、マイナンバーに紐づいているから、この回答された個人情報はマイナンバーに紐づくごとになる。
国勢調査で聞かれていることは、人数の把握だけでない。名前、性別、血縁関係、生年とその月、何年同じ場所に住んでいるか、5年前に住んでいた場所の住所、住んでいる住宅のタイプ、集合住宅なら建物の階数と入居している階数、学歴、9月24日から9月30日の仕事や通学のありなし、従業地や通学の場所、通勤通学の手段、就業の形態、勤め先の名称と住所、事業の内容、担当業務の内容である。
インターネットでの質問事項の方が紙面での質問事項より詳細にわたる。しかも、すべての回答の記入がないと、送信できない。
こんなに詳しい情報を、なぜ、記名で回答する必要があるのか。統計処理の対象となる調査なら無記名で良いはずである。また、個人情報を求めるには、収集した情報の用途の明示と、個人の回答拒否の権利とがあるべきだ。
政府は、国民をバカにしている。民主主義の社会では、政府は行政サービス機関かその監視役でなければならない。政府が、国民に対して、何でも個人情報を明らかにしないと罰するなんて、言う権利はない。
総務省統計局のホームページ「なるほど統計学園」をみると、国勢調査は統計法にもとづいているから、答えなければならないとしている。統計法には回答義務と拒否や虚偽回答の罰則もあると国民を恫喝している。
国勢調査で、世帯主に各個人の情報を報告させること自体がおかしい。国は、世帯という単位で人間を管理しようとしている。また血縁関係や性別を問うことも、旧来の家父長制の家族観を反映したアンケートになっている。
個人名や番地などの詳細な住所は統計処理では不必要である。個人名や住所の記入を要求することは おかしい。
また、職業や職場の名前と住所や担当業務など、何に使うのか。個人情報を問うには、収集情報の用途を限定すべきであり、用途に納得できない個人には拒否の権利があらねばならない。職場の名前や住所は統計処理に不要である。
学歴情報も、用途の限定と同意による回答でなければ、答える必要がない。
わざわざ、お金をかけて国勢調査をしなくても、人口などは住民票を集計すれば十分である。国勢調査は行革の対象で、廃止すべきである。