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猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

日本のメディアはドイツ政府の脱原発実施を まず たたえるべき

2023-04-20 13:13:38 | 原発を考える

ドイツ政府は、この4月15日に最後の原発3基の稼働を終え、予定通り、脱原発を実施した。予定通りという意味は、ドイツの国会で決めた脱原発の法律を執行し、国民への約束を守ったということである。

これに対する日本のメディアは、ドイツ政府の誠実さをたたえるのでなく、脱原発を執行することは、経済的リスクがあるとか、法律の執行を遅らせるべきだとの声がドイツ国民のなかに多いとか、ネガティブな論調で脱原発の実施を報道した。

まず、ドイツ政府の勇気をたたえ、ドイツ国民を祝福すべきでないだろうか。

メディアが掲げる懸念の1つは、電力価格の上昇がドイツ産業の国際競争力を損なうということである。なぜ、日本のメディアがそんなことを心配するのか。ドイツ国民に対する友情なのか。私は、日本が脱原発すると、日本の国際競争力を損なうと言いたいために、日本のメディアがドイツ国民を心配しているフリをしている、と考える。

私は、水力、風力、太陽光エネルギーなどの再生可能エネルギーの利用は、政府がその方向性を明確に打ち出さない限り進まないものだと考える。

今から15年前、私は、工学部で光工学を教える機会があり、太陽光発電の技術水準を調べた。その結果、植物が太陽光を吸収してエネルギーの転換する効率4%をはるかに超える効率十数%を普通に実現していた。日本の研究者は50%近くの効率の半導体素子の開発を競争していた。

いっぽう、当時の中国は、太陽光発電の実用化、すなわち、安くて耐久性のある半導体素子生産の研究を進めていた。中国は効率の競争に参加せず、太陽光発電の普及に向かったのである。数年も経ず、2011年の東日本大震災で、福島第1原発の重大事故が起きると、中国の低価格の太陽光発電素子が世界の市場を席巻した。

私が言いたいのは、日本の政府も企業経営者も、再生可能エネルギーによる発電に力を入れれば、いくらでも、電力が安くなるということである。政府がやるべきことは、ドイツにならって、いついつまでに原発を全廃すると決めることである。それによって、民間の研究開発競争が進み、安くて耐久性のある発電設備が市場に出回るようになる。

再生可能エネルギーの発電コストを下げるとともに、また、日本社会が、エネルギーの使用にあまり頼らない産業に移行していくことが大事だと私は考える。これも、政府が明確に方向を打ち出すことで起きることだ。

岸田文雄は、歴史がどの方向に進むべきかの哲学がなく、総理の座を守ることに終始している。メディアは、もっと本気で岸田を叱るべきで、他国の政府のことを心配する暇がないはずである。岸田を守ることは民主主義を守ることにならない。