猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

日本国民は憲法第9条のブランド・イメージを守るべきだ

2023-05-04 22:56:55 | 憲法

5月3日の朝日新聞は憲法関連の記事が1面、2面、6面、9面、14面、15面、23面、26面と紙面を埋めていた。憲法が守られることへの朝日新聞社の危機感が伺えた。

現在の日本国憲法には問題がある。しかし、それは、憲法第9条の「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」に問題があるのではない。

問題は、憲法第2条の「皇位は、世襲のものであつて」と戦前の天皇制を維持していることである。ヨーロッパでも象徴として王をかかえる国があるが、血統にこだわらず、他国から新王を持ってくることができる。「象徴」は血統による必要はない。憲法第14条「すべて国民は、法の下に平等であつて、(中略)華族その他の貴族の制度は、これを認めない」と天皇制は矛盾する。

憲法第9条の国際紛争を解決する手段として「武力による威嚇又は武力の行使」をしないというのは、すばらしい理念であり、日本国憲法のブランド・イメージを高めてきた。このブランド・イメージを、敵基地攻撃力のミサイルを配備することで、岸田文雄は破壊しようとしている。朝日新聞社が危機感をもつのは当然だと思う。

岸田政権は5年間で総額43兆円の軍事費を計画している。そんなにお金をつぎ込んで何が守られるのだろうか。軍事費を増やせばそれだけ国民の生活は困窮する。1億3千万人の日本が、13億人の中国と張り合って軍事費を増やす必要があるのか。中国を敵視して軍事費を増やせば、中国も呼応して軍事費を増やし、軍拡競争に堕ちってしまう。防衛費なら身の丈にあったささやかなもので十分である。事の成り行きでは、日本が降伏して中国に占領されたって良い。戦争をして国民が死ぬより降伏するほうが良い。生命が守られる。

軍備を拡張すれば本当の戦争になることを知っておかないといけない。

82年前の日米戦争開始は、日本の海軍がアメリカを敵国に規定して軍備を強化していたからだ。その点を陸軍から指摘されたから、海軍みずからアメリカとの戦争を天皇に奏上(提案)せざるを得なくなった。近代日本史学の加藤陽子は、国力の劣る日本が1941年12月8日にアメリカとなぜ開戦したかをそう説明している。

5月3日の朝日新聞で、憲法学者の樋口陽一は「万が一、米中が戦争を起こしたら、どうなりますか。両国はお互いにそれぞれの本土をいきなり攻撃はしないでしょう。日本で米中の両方の弾が飛び交うことになる」と警告している。

私も樋口と同じ推測をする。日本政府が軍備拡大に進めば、アメリカ政府は日本がアメリカの手先として戦うことを期待する。米中とも自国内に核爆弾が打ち込まれるのを防ぐため、その間に位置する手先の国に核爆弾を落とす。そして、その悲惨な実態を確認することで、米中が和解する。戦争とは駆け引きで、当事者は損な立ち回りをさける。

日本が損な立ち回りをしないために、日本国憲法の第9条を高く掲げ、アメリカの手先になることを断るべきだ。

朝日新聞社の危機感を私は共有する。


メーデーは5月1日、なぜ日本だけ4月29日なのか

2023-05-02 20:47:12 | 社会時評

私の若いときの記憶では、メーデは5月1日である。

5月の新緑のなか、全世界で働く者たちがそれぞれ集い、働くことのできる幸せを分かち合うとともに、働く者たちの権利を政府に求める日である。

ところが、日本では、現在、4月29日にメーデーの集会が開かれる。今年は岸田文雄が集会で挨拶した。

メーデーのメー(May)は5月のことではないか。全世界で、5月1日に労働者が集まってお祝いしているのに、日本だけが4月29日「昭和の日」に集まって集会を開いている。「昭和の日」は昭和天皇の誕生日ではないか。昭和天皇が癌で死んだので、名前を「昭和の日」にして、そのまま、祝祭日に残しているだけでないか。

私には違和感がある。

5月2日の朝日新聞には、5月1日にメーデーの集会があったとの記事が1つもなかった。これにも違和感がある。

YouTubeをみると、きのう5月1日に全国各地でメーデーの集会が開かれている。朝日新聞デジタルには、「大阪城公園では約2万人が集う催しがあり、格差是正やジェンダー平等の実現などを求めた」とある。

なぜ紙の朝日新聞には5月1日にメーデーがあったとの記事がないのだろうか。編集部は5月1日にメーデーが日本でも行われるということを知らなかったのだろうか。

出版社「小学館」のサイトHugKumに、「5月1日のメーデーとは?歴史や由来、日本でのメーデーを解説!子どもに分かりやすく説明しよう」という記事がのっている。

ちょっと紹介すると、

「メーデー、英語でMay Dayは直訳すると「5月の日」。もともとヨーロッパでは「夏の訪れを祝う日」とされてきましたが、19世紀の終わり頃から、労働者がその権利を求めてデモや集会を行う「労働者の日」となりました。」

「5月1日はメーデー、「労働者の日」として世界の多くの国で祝日になっています。日本ではメーデーは休日になっていませんが、会社によってはデモや集会に参加するために休みにしているところもあります。」

「1886年5月1日、合衆国カナダ職能労働組合連盟が「8時間労働」を求めてストライキを行いました。これが「労働者の日」としてのメーデーのきっかけとなりました。」

この小学館のサイトによれば、「日本労働組合総連合会(連合)」が4月29日昭和の日にメーデーを催し、全国労働組合総連合(全労連)や全国労働組合連合協議会(全労協)は5月1日の開催を続けているとのことだ。

さらに、小学館のサイトに1989年以降、統一のメーデーが日本で行われていないとある。

1946年のメーデーには、全国で100万人が参加、東京では、皇居前広場には50万人が集まったという。

連合が4月29日にメーデーを行うのは、ゴールデンウィークと重なると人が集まらないからという。しかし、4月29日からゴールデンウィークは始まっているのではないか。本当の理由は違うのではないか。

連合は左翼勢力と見られるのがイヤだからでないか。連合系組合は会社と「労使協調路線」を歩んでいる。会社が組合に代わって給料から組合費を天引きしている。連合が岸田政権にすりよることで、賃金上昇を狙っている。「物価上昇を上まわる賃金上昇」なんて実現すると思えない。賃金は分配の問題である。ゼロサム・ゲームなんだ。政府にすり寄ったからといって、分配がふえるはずがない。自民党は、選挙では、統一教会、日本会議、経済団体、商工会議と反労働者連合に支えられている。

結局、連合は、5月1日にメーデーを催さないだけでなく、自民党に利用されているお笑いものでないのか。