この回では、なんといっても、一条天皇を亡くした彰子を慰めようと、まひろ(藤式部)が提案した和歌の会に、
招かれていないききょう(清少納言)が現れる様子が描かれた場面ですね。
史実には、清少納言は藤式部(紫式部)とは一度も顔を合わせていないとのことですが、
今回の大河ドラマでは、宮中に上がる前から二人は友人で仲よしという設定になっています。
ところが宮中では使える相手が、ききょうは道長の長兄道隆の娘中宮定子。
まひろは、道長の娘中宮彰子。
同じく一条天皇の后ということでライバル関係になってしまった。
ききょうは、まひろが書いた「源氏物語」を読んで、「大変面白かった。」
と、絶賛するも、一条天皇の心を自分の書いた「枕草子」から「源氏物語」に鞍替えさせようと、道長から書くように頼まれたのであろうと。
一条天皇の心の中に住み続ける「枕草子」の中で描かれる定子様の面影を、「源氏物語」によって消し去ろうとしているのであろうと、
まひろを非難します。
今回の和歌の会では、招かれていないのに、敦康親王(定子の遺子)から、椿餅を彰子に届けたいという思いを受け持参したと伝えました。
彰子は「敦康様はお健やかか?」問うと、
ききょうは「もう敦康様とのことは過ぎたこととおなりなのですね。
このようにおたのしそうにお過ごしのこととは思いもよらぬことでございました。」
と、怒りに満ちた声で。
この場を取り繕ろうと働きかけた赤染衛門が「清少納言様は和歌の名手。ここは歌のひとつも披露なさっては?」と提案するも
「ここは私が歌を詠みたくなるような場ではございませぬ。」
と、言い放った。
ききょうの顔と態度が恐いこと。憎悪の化身となって敵地に殴り込みをかけた
「敦康様は、わたくしのほうでしっかりとお支え致しますから、彰子様はもう敦康様のことはお忘れになってもよろしいのですよ。」
と、嫌味を言う。
ききょうにとって、敦康親王は、一条天皇とお仕えした定子の忘れ形見。
本心から出た言葉でしょう。
それほど、ききょうにとって、定子との輝かしき日々は何ものにも代えがたいものだったのでしょう。