まるで宝塚歌劇のために生まれてきたような人・・に本日出会いました。
テレビで、録画しておいた宙組公演「バレンシアの熱い花」を見て、その主役を演じた大和悠河さん、その人です。
「バレンシアの熱い花」は19世紀のスペイン・バレンシア地方を舞台にした復讐と恋の物語。脚本は、柴田 侑宏先生。
31年前に榛名由梨さん主演で上演された名作の再演になります。
榛名由梨さん主演といっても、当時の月組は、
榛名由梨さん、瀬戸内美八さん、順みつきさんという男役3人で主役を演じるような
状態でしたから、
3人そろい踏みの場面が一番印象に残っています。
♪バレンシアのために、スペインのために
共に力合わせ戦おう
いざ、すすめよ バレンシアのために
いざ、すすめよ スペインのために♪
物語の背景は、地中海に面した豊かな土地バレンシア。
前領主の息子フェルナンドが、退役軍人のレオン将軍に呼ばれ、帰郷したところから始まります。
将軍は、フェルナンドの父殺しの犯人が現領主ルカノールだという証拠を見つけたのです。
亡き父の復讐をと誓うフェルナンド。
やがて彼の仲間として、ルカノールに恨みを持つ青年貴族ロドリーゴや、フラメンコの踊り手ラモンが加わり、
“黒い天使”としてルカノールの側近を次々に血祭りにあげていきます。
そしていよいよ3人の前に、彼らのめざす敵が現れ・・・
“スペインものという宝塚の男役の魅力を生かすスタイルで、
アクションたっぷりの冒険活劇、3組の男女のラブロマンス、
などなどエンターテインメント性に富んでいるうえに、主題歌も覚えやすく美しい。
分析すればするほど、巧みに書かれた勢いのある作品です。
とくに柴田侑宏先生ならではの“オトナなセリフ”や心理の葛藤が、あちこちにちりばめられていて、
3組の主役やヒロインたちが、本当の気持ちを言えない、言ってはいけない、
という立場のつらさを抱えているのが切ない。”ー「宝塚プレシャス」より引用しました。
大和悠河さん演じるフェルナンドは、華やかで貴族の青年らしい美しさがあります。
ヒロインの陽月 華さんとの愛を語る場面も息があっていて、お似合いのカップルです。
陽月さんのイサベラは酒場の娘で、出番もそんなに多くないのですが
ヒロインらしい華があって、感情を込めたお芝居が観ている人の心を打ちます。
31年前の「男役3人が主役」の作品を、みごとに二人のラブロマンスが中心の作品に
変えているのです。
♪瞳の中に宝石が見える きらきら光る紅の輝き
その輝きが 私に火をつけ 孤独な私の心を 燃え上がらせる
愛している 愛している 愛している 愛している・・・♪
男役が、よりいっそう輝いて見えるには、相手役の力も重要です。
「バレンシアの熱い花」(再演)宙組の公演を観て深くうなづいてしまったのでした。