にゃんこままの部屋

その時々に感じたことを、日記風につづります。

サン=サーンス『動物の謝肉祭』より

2009-02-10 09:53:04 | 音楽 美術
昨日は、サン=サーンスの「白鳥」の話をしましたので、組曲「動物の謝肉祭」について、今一度。

「動物の謝肉祭」はフランスの作曲家サン・サーンスによる組曲。
全部で14曲からなりますが、多くの楽曲をパロディーにして、なかにはそれらを皮肉っている事から、
生前にこの曲が一般に発表される事はなかったと言われています。

サン=サーンスの豊かな表現力と機知に富んだ遊び心溢れる作品です。

 小規模のオーケストラで演奏する場合と、室内楽として演奏する場合があります。
 全14曲のうち、よく知られているものを紹介しますと

 1.序奏とライオンの行進曲
 ピアノの耳を劈くような反復奏で始まり、続いて弦楽器のユニゾンで勇壮な行進が奏でられます。
権威ある者への中身のない空々しさを、
ピアノ演奏の和音(三音からなっている)をわざと外す手法(空虚5度という手法)で、表現しています。
当時の社会的権威を皮肉っています。
当時、フランス音楽の巨匠といわれたサン=サーンス自身をも。

                           

 4.亀
 弦楽器がのそのそとユニゾンでオッフェンバックのオペレッタ「天国と地獄」地獄のオルフェの旋律をわざとゆっくり奏でられます。
当時のパリっ子たちは、こぞってオペレッタ「天国と地獄」にのめり込み
サン=サーンスは、そんな世間の有様を苦々しく思い、
オペラの王道を貫き通したいと考えていた彼は、「亀」のようにゆっくりと奏で
痛烈に皮肉ったとされています。

 5.像
 コントラバスがもそもそと軽やかにワルツを奏でます。
ベルリオーズの「ファーストの刧罰」の「空気の精のワルツ」
メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」の「スケルッツオ」が重低音で組み入れられています。
ベルリオーズは、サン=サーンスにとって先輩格にあたる
当時はフランス音楽に革命をもたらしたとされる大作曲家で、
サン=サーンス自身も彼の音楽は認めていたし、尊敬もしていました。
一方、サン=サーンスは当時としては古典的な作風が多く、
ベルリオーズに対して
複雑な感情を抱いていたのでは、と解釈されています。
それで彼の作品をパロディしたのではとされています。
パロディとは、小者を対象とすることはないので、
多くの人が認める、誰もが知っているものをパロディとするので
サンーサーンスは機知に富んだ
遊び心を持った音楽家だったのでしょう。
豊かな表現力を持った・・・。
フランスではこういうエスプリの精神が尊ばれています。

                          


 7.水族館
 グラスハーモニカのはいった、幻想的なメロディーを、ピアノが分散和音で伴奏します。
浮遊した感じを漂わせておもしろい。

 11.ピアニスト
 わざとへたくそに、ピアノの練習曲を弾く。
ピアニストという人間も動物の列に加えています。

 12.化石
 自作の「死の舞踏」の「骸骨の踊り」の旋律。
ロッシーニの「セビリアの理髪師」の「ロジーナのアリア」。
その他、「きらきら星」「月の光に」などのフランス民謡が組み合わされています。
自身の代表作「死の舞踏」をパロディとしています。
「自分の作品など化石のように古くさい。」と自嘲しつつ
「化石のごとく、後世までこの作品は知れることになろう。」
と自信を持って実はとりこんだものと言われています。

 13.白鳥
 チェロの独奏曲として有名な曲。生前の公開演奏と楽譜出版が許された唯一の曲です。


14曲すべての曲名を記しておきます。

 組曲「動物の謝肉祭」〈サン・サーンス〉
     1〉序奏とライオンの行進
     2〉 めんどりとおんどり
     3〉らば
     4〉かめ
     5〉ぞう
     6〉カンガルー
     7〉水族館
     8〉耳の長い登場人物
     9〉森の奥に住むかっこう
     10〉鳥
     11〉ピアニスト 
     12〉化石
     13〉白鳥
     14〉終曲 


残りの曲はまた機会があれば記事にします。



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コメント (2)
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