(第12回)
沢の上部を渡って、“最初に行った岩だらけの畑”に向かいます。樹木の若葉が見事です。Qercus(コナラ属)をはじめとした、夏緑広葉樹、後しばらくしたら、Zephyrus(ミドリシジミの仲間)が舞い始めるかも知れません。
シャガ。中国のシャガ(日本のシャガは中国からの帰化とされています)は、例えば、四川省西嶺雪山(大邑原始森林)の観察では、標高1000m付近までは、見慣れた(うっすらと青みがかった)白い花、そこから上は濃い青色の花、同じ種でも標高に沿って移り変わっていくのだろう、と考えていました。ここでは同じ場所で、両者が見られます。日当たりのいいところでは白い花(写真前2枚)、日陰ではやや小ぶりの青色味の強い個体(写真後3枚)。標高ではなく、環境条件に左右されているようです。もっとも、同一種とすれば、という前提での話です。別種である可能性も捨てきれません(僕が知らないだけかも)。
僕は、チョウの生殖器の構造のことと、セミの鳴き声の様式のこと(あと60年代初頭のアメリカンポップスのBillboard順位と、世界の山の標高)についての知識は、ある程度の自信があると言えるのだけれど、それ以外は、何にも知らない、と言ったほうが良いかもしれません。植物に付いては、ど素人なのです。この花は、確か中国の各地でよく見かける花。栽培されているポピュラーな野菜なのだと思う。この写真の株も逸出個体の可能性があります。でもなんという種なのかは知らなかったし、今でも知りません。てっきり、セリ科の(例えばハナウドのように)花弁の一部が伸長した種と思い込んでいたのだけれど、常識的に考えれば、マツムシソウの仲間(現・スイカズラ科)の種ではないのかと、今回整理中に思い当った次第。小花を拡大して見るに、どうやらそっちのほうが正解みたいです(結論はまだ)。知っている人は誰でも知っているのかもしれませんが。
エンゴサク属。花色は淡いけれど、葉の感じは日本のムラサキケマンに似ています。ウスバシロチョウがいても良さそうなのですが、今回は見ていません。
野生ストロベリー。この辺りの種は、シロバナノヘビイチゴなどと同様の、赤い実がなるのだと思う。この2枚の写真、花弁の幅が随分違うけれど、たぶん同じ種でしょう。
セリバヒエンソウ(トリカブト属に近縁のDelphinium属)だと思うけれど、花色が随分淡いです。
セリバヒエンソウとゲンノショウコ。
ゲンノショウコとウマノアシガタ。中国のゲンノショウコの花色は、赤花と白花のある日本産と違って、どれもみな同じ。
ヒメウラナミジャノメ。