なっちゃん個人講義&リアルタイム報告用に作った「野生アジサイ探索紀行」の紹介は昨日で終わりました。ちょうどこの連載の間、来年度に単行本として出版するべく、「日本および近隣地域(中国大陸・台湾)の野生アジサイ」の原稿を書き進めていて、たった今、それを書き終えたところなのです。全4章仕立てで、書き終えたのはそのうちの2~4章204頁分、第一章を併せれば計250頁程になると思います。第一章の「アジサイとは何か?」については、今回の「野生アジサイ探索紀行」をはじめ、以前「ネイチャークラブ」や「あやこ版」に連載した「日本および近隣地域(中国大陸・台湾)の野生アジサイ」の、それぞれ主に前半部分を、そのまま転用することになると思います。もちろん、2~4章の“本体”に当たる部分も、以前に発表した草稿を下敷きにしているのですが、新たな写真を加えたりして、大幅に加筆してあります。「野生アジサイ探索紀行」の連載終了というちょうど良いタイミングですから、この機会に、そのうちの一部(途中で差しこんだ「中国大陸のカラコンテリギ」もそれに相当します)を、紹介しておきたいと思います。再度取り上げるのは、タマアジサイ群(主にオオアジサイ=アスペラ亜群)、ノリウツギ群(主にミヤマアジサイ=ヘテロマッラ亜群)、およびコアジサイ群のジョウザン亜群とガクウツギ亜群(のうちのユンナンアジサイ)を予定しています。「野生アジサイ探索紀行」ほかですでに紹介済みの内容(写真・文章)と重複すること、文体が「だ・である」体のままな事を、ご了承ください。
まずは、目次から。第一章は飛ばして、第2~4章のみとしますが、その前に「はじめに」を記しておきます。以前、「あやこ版」(または「ネイチャークラブ」)で紹介したのと同じ内容です。
日本および近隣地域(中国大陸・台湾)の野生アジサイ」
(はじめに)
日本とその近隣地域に見られる、「野生」の「アジサイ」の、「種」と「分類」について、考察していきます。しかし、これまでに出版されている、アジサイについて述べられた各書物とは、「野生」「アジサイ」「種」「分類」それぞれの言葉の持つ意味が、全くといってよいほど異なることに、戸惑う方も多いのではないか、と思われます。
一言でいえば、アジサイ愛好家すなわちアジサイを愛でる人間の立場から見た、「野生」「アジサイ」「種」「分類」と、生物学的な立場、言わばアジサイたち自身の側から見た、「野生」「アジサイ」「種」「分類」の根本的な意味の違い。
他のアジサイ解説本は、アジサイを愛でる人々の為の手引き書なのに対し、本書での解説は、愛好家の立場や、情緒的な評価は全く無視して、ただただ事実のみを追求したものと考えていただいてよいでしょう。
アジサイの世界から、情緒的な興味を省いてしまえば、なにも残らないではないか、と言われそうですが、より深く情緒を楽しむためにも、基本的な事実を知っておくことは、決して損なことではないと思います。
というわけで、以下は、アジサイ愛好家の要求とは、いくぶん性格の異なると思われる、生物学的分類による「野生アジサイ」の紹介。
私は研究者ではないので、限られた知識しか持ち合わせていません。自分の足で調査し、自分の目で確かめた、断片的な資料を基にしていますが、これまでに生物学的な立場から成されたアジサイ解説本もない現在、将来に向けての“たたき台”として、それなりの意味を持つのでは、と考えています。
我慢して付き合って読んでいただけたならば、何らかの得られるところはあるはずです。
(目次)
第二章 「野生アジサイの仲間・そのⅠ」
クサアジサイ群/タマアジサイ群/ツルアジサイ群/イワガラミ群/ノリウツギ群
第三章 「野生アジサイの仲間・そのⅡ」
コアジサイ群(ガクアジサイ亜群/ジョウザン亜群/コアジサイ亜群ほか)計45頁
第四章 「野生アジサイの仲間・そのⅢ」
コアジサイ群(ガクウツギ亜群)計87頁
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各地産ガクウツギ亜群の葉の比較