古代インドの梵語(サンスクリット)の文字が梵字だそうです。仏教と共に、日本に入ってきたようです。一字一字が仏をあらわすと考えられたようですが、仏の数は多いので、一つの文字がいくつかの仏をあらわしていることもあるようです。また、一つの仏でも、胎蔵界と金剛界で文字が違うことがあるそうです。
石造物などにある梵字は、たぶん師匠などから授かったマニュアルをもとに、梵字を知らない石工が彫ったのでしょうから、細かいところが違うものが多いのだろうと思います。
石仏で、破損したりしているときに、梵字があれば、何を祀っているか分かることもあることでしょう。
キリーク(阿弥陀如来)
満福寺(大塚町495-2)にある、二夜三日念仏回向塔にあるキリークという梵字です。阿弥陀如来をあらわすそうですが、念仏では、この仏を祈ったのでしょう。並び立つ石造物群の中にあります。
アーンク(胎蔵界大日如来)
小吹町(36°20'41.3"N 140°25'40.6"Eあたり)にある石造物群の中にある、月山・湯殿山・羽黒山碑にあります。アーンクと読んで胎蔵界大日如来をあらわしているようです。明治17年に建てられた碑のようです。
サ(観音菩薩)
大塚町地蔵坪(36°20'41.3"N 140°25'40.6"Eあたり)にある石造物群の中にある馬頭尊にあります。馬頭観音なので、観音菩薩をいれたのでしょう。
カン(馬頭観世音)
川又観音の境内にある石造物群の中にある馬頭観世音碑です。この場合は、馬頭観世音の梵字であるカンを刻んでいるようです。2つのカンの字が両側にあるので、もしかすると2匹の馬を祀っているのかもしれません。文政5年(1822)に建てられたようです。
サク(勢至菩薩)
岩根町にある享和2年(1802)建立の二十三夜塔にサクという勢至菩薩の梵字がありました。勢至菩薩は二十三夜の本尊だそうです。
ウーン(愛染明王)
八坂神社(杉崎町818-1)にある、天明4年とある二十六夜尊には、本尊である愛染明王の梵字・ウーンがあります。水戸で二十六夜尊は大変珍しいようです。
ウン(青面金剛)
岩根町(36°26'34.3"N 140°25'00.9"Eあたり)にある、石造物群の中にある安永5年(1776)の庚申供養塔です。庚申講の本尊が青面金剛なのでウンの字が彫られているようです。