弁護士任官どどいつ集

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2023年05月20日 08時32分09秒 | 大分
大分地裁 永久保存指定の裁判記録を保存期間満了を理由に廃棄|NHK 大分県のニュース
https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20230519/5070015781.html
おそらく6件の最後に、私が大分地裁で裁判長として原告勝訴判決を言い渡した住民訴訟の記録も含まれるはずだ。
もっとも、私は特別保存判断をした記憶が全く無く、私への調査も無いので、後任者が上級審から地裁に戻った一件記録につき一括して判断したのではないかと想像している。
この判決は、熱中症で倒れた剣道部員の死亡に対する顧問教諭の重過失を認め、既に遺族に賠償した市が同教諭への求償権を行使すべきとしたもの(福岡高裁でも支持されて確定)。全国的に先例が皆無に等しい判断で、判例誌のみならず、例えば「季刊教育法」の特集やテレビドキュメンタリー等でも繰り返し取り上げられてきたので、先行した関連訴訟の記録も含めて特別保存指定したのならば、もちろん極めて妥当な判断。
にもかかわらず、こんなレアケースの廃棄ミスが起きたのは、特別保存自体が地方の地裁ではレアケースになっていて(地方の地裁判決が「全国紙2紙以上の全国面に掲載された場合」との基準に該当すること自体が数年に一度以下のレアケースである。)、特別保存制度の存在が、裁判所職員全体に周知徹底されていなかったためではないかと考えている。