抱きしめて 夏 天

2008-04-22 | イラスト

半分を海にせり出したように建つ

バーガーショップ。


そのテラス席に私は君と向き合い座っている。


波の音がまるでBGM。


どんなに暑い日でもここは何故かすずしいんだ。


クーラーなんていらない。


だろ。


真っ白なテーブル、そしてそこにあるメニュー。


私は既に決まっている。


君はいろいろ迷っていたね。


いいよ、時間はいくらだってあるんだ。


そう。


私たちには無限に時間がある。


そう信じていた。


君のメニューを見つめる顔


あまりに素敵で


また抱きしめようかと思ったが


止めておいた。


その衝動はとっておくことにした。


「うん。決まった」


と君。


オーダーしようと振り返ると


すぐ後ろにマスターがいた。


植物に水をやっていた。


「注文いいですか」


「ちょっと待ってくださいね」


マスターは一度、店内に入り


メモを持って戻ってきた。


君の注文はアボカド・バーガー。


この店の一押し。


私はチーズ・バーガー。


マスターは笑顔でメモった。


「少々お待ちを。」



ふぅ。さて


オーダーも済ませたことだし


いよいよトークしますか、


と思ったら君はお手洗いへ。


君を私は目で追った。


店内でマスターが場所を説明している。


みんな君には親切だ。当然。


君はきれいだから。


君が見えなくなって、私は海を見た。


どこまでも蒼い海を


見たんだ。


立ち上がって


手すりにもたれた。


深呼吸した。


海からの風が私を励ます。


今すぐ君を抱きしめたい。


あああ。



席に戻った私は手をテーブルにおき


そして拳を握りしめた。


思いっきりリキんだ。


「どうしたんですか」


いきなりマスターが横にいた。


そして私たちのバーガーを


テーブルに置いた。


丁度のタイミングで戻る君。


「すごーい」


この店のバーガーは私の中で一番なんだ。


「食べようよ」


私は思わず笑顔になった。


でも君の表情は、台詞とは裏腹に陰りがあった。


何があったのだ、お手洗いで・・・



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1 コメント

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Unknown (満★乳斎)
2008-04-22 00:42:03
FREE TIBET!

断固北京五輪反対!

SAVE 福田!


願います。
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