旧車の達人M氏から「凄いお宝バイクが手に入ったから見に来い」と電話があった。
M氏が凄いお宝というのだから、これは相当凄いに違いない。
M氏宅のガレージに鎮座していたのは、無く子も黙るという、その名も「メグロZ7」。
メグロ=単機筒=500cc=メグロの中のメグロ、王者たる所以である。
メグロZ7(通称スタミナ号)の堂々たる勇姿
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「メグロZ7?何じゃソレ?」と疑問を感じたそこのアナタ、「ごもっとも!」
このバイクが製造されたのは1956年~60年という大昔のこと。
50年も昔のバイクだってんだから、そりゃぁ知らないのも無理ないわな。
「知らなかった、くやちぃ~~~っ!」ってアナタ、ココ見るよろし → 目黒製作所
風格の漂う「メグロ」のエンブレム
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昔のバイクってのは、相当お金と手間隙がかかっておりますなぁ。
このタンクエンブレムは、ナント!七宝焼きだってんだから驚きだぁね。
いかにも旧車といった風情のキャブレター
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「師匠(オイラが勝手に呼んでおりますです)、このキャブは趣があって良いですなぁ」
「これはアマル392というヤツで、イギリスのアマル社製をミクニがライセンス生産したキャブだ」
「へ~~~ぇ、当時の日本はまだまだ遅れていたんですなぁ」
マグネット交換をするM氏
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「ポイント交換をしりゃいいんだけど、ついでだからマグネットそっくり交換しちまうべ」
とM氏はこともなげに仰る。
「師匠、こんな旧車のマグネットをお持ちで?」
「昔メグロなど何台弄ったか解らないんで、こんな物その辺に幾らでも転がってるわい」
「す、す、す、すっげ~~~~っ!」
タイミング合わせはこのボルトを外して行う・・・のだそうだ
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何十年も外してなかったらしいこのボルト、錆付いて中々緩まないのだが、
「外れなきゃ、タイミング合わせを勘でやっちまうか」と全然苦にしないM氏でした。
「勘でって、そんなことできるんですかい?」
「誰でもできるって訳じゃぁないが、お前さんでは先ず無理だな」
「デヘヘ・・・
」
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タイミング調整中のM氏
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調整を終え無事火花も飛んで、この日の作業はこれでおちまい・・・暑いんで。
何十年も埃を被ってきたバイク、達人と言えどちょっとやそっとじゃ動きまへん。
エンジン始動の様子は又後日・・・
M氏がお宝と語る所以
先ず持って、改造が一切なされてないこと。
特に驚きなのは、欠品部品が一つも無く、ボルト1本全てオリジナルパーツであること。
手間隙かけ新潟県某市まで引き取りに行って来たというM氏、
それまで疑心暗鬼だったが、まさかZ7であったとは・・・それも極上の・・・
「こんな良い状態で残っていたのが不思議な位だ」と、M氏は感慨深げに呟いた。
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