一歳数ヶ月の頃のことなんて、殆どの人が覚えていないでしょう。
ましてや、その土地を離れて生活をすることになれば、記憶の片隅すら残っていないかもしれません。
今日は息子を連れて11年ぶりに奈良を訪れました。
彼は自分のルーツが奈良であることは知っていても、実際にはどんな処なのか知らなかったのです。
その彼が、もしかしたら来年の修学旅行で奈良に行くかもしれないとのこと。
もし、何も知らない(覚えていない)状況で、その地に立ったとしたら・・・と考えると彼の複雑な心境を想像するには難くはありません。
そこで、「もう二度と来ないで!」と言われた場所に息子と一緒に行くことを決めたのです。
実に11年ぶりです。
彼が生まれた場所。暮らしていた場所。思い出の場所。・・・。
短い時間でしたが、僕たち家族がそこで暮らしていた事実と大切さを伝えられたと思います。
おそらく、彼の胸中では寂しさや戸惑いが渦巻いていたと思いますが、
僕が傍にいたことが重要だと感じています。
彼のその感情の責任は僕が負うべきものですから。
もう一つの故郷の存在を噛みしめた彼がこう言ってくれました。
「また今度、一緒に来ようね。」
そう言ってくれる限り、また一緒に行こうと思います。