花男の物置部屋 引っ越して3箇所目

備忘録的に食ったもん、読んだもん、聴いたもん等を書いてます。

「MAD CHINAMAN」 by Dick Lee 1989

2006-02-17 21:34:29 | 音楽の話とか

テレの無いダサさが良い。キザっぽいのにダサい所も良い。「俺は」・・・いや「僕は」だな・・・「僕はこれがおしゃれだと思ってるんだ!!」っつうダサさがなんか潔い。そしてダサいけど決して「下品」にはならない。「だって僕、下品なの嫌いだもーん!!」っつう感じがこれまた非常に潔い。「ビートルズやビリージョエルは好きだけどストーンズは嫌い」って何かのインタビューで言ってたが、なるほどと納得した。久保田真琴との共同プロデュースのこれの次のアルバム「Asia Major」も良かったが、そっちのがやや、かっこいいもんでダサ気持ち良さはこっちのが上。それと出会いのインパクトもあるのでこっちにした。

一曲目「RASA SAYANG」のバックトラックからしてダサい。そして気持ちよい。シンガポール訛りの英語(シングリッシュっつうらしい)のラップも良い。来日した時「夜のヒットスタジオ」でもやった「MUSUTAPHA」はやっぱ馬鹿で良い。「Little White Boat」は中国の民謡らしいが、まるでポール・マッカートニーのバラードのように聴こえる。良い曲だ。あくまでも「綺麗」に徹したアレンジも良い。「I am BABA」なんかダサいんだけどカッコいい。「WO WO NI NI」も良いねえ~。チャイナな感じなんだけど50年代のアメリカっぽくもあって・・・これがシンガポールテイストなの?ラストの「MAD CHINAMAN」では自分の「シンガポール人としての」アイデンティィーが見えないっつうのか・・・苦悩しております。

で、一番好きなのは「Let’s All Speak Mandarin」だな。「みんな北京語を話しましょう!!」っつうこの曲のタイトルシンガポールのいたるところに標識としてあるんだとか・・・TVで見かけた事がある「いかした姉ちゃん」をみつけて必死で英語でナンパしようとしたらマンダリンで「マンダリンを話せ!!」と言われるっつうくだりの「シングリッシュ」のラップが妙にカッコいいのだ。その後のマンダリンレッスン風の場面はこいつが姉ちゃん口説きなおすために習ってる所か?

このアルバム見た目は黄色いけど中身は白い「バナナ」と呼ばれる自分たちシンガポール人を皮肉った物らしいけど、全体の印象は結構ポジティブな感じ。いろんなアジアの民謡の取り入れ方も「バナナ」ならではの取り入れ方なんだろうけど、それが同じく「バナナ」ちっくな日本人には気持ちよかったりもする。ダサいけど非常にポップで気持ちよく、このアルバムならではの良さが漂う名盤ではないかと、思う次第です。