「一億円の犬」 佐藤 青南

 

仕事が長続きせず、転職の度に労働条件が悪化し今は埼玉県川越の携帯ショップに努める三十路独身女の梨沙。自分の理想の姿＝六本木のセレブ妻と言う設定でSNSをやっている。その中で保護犬をもらい受けてきたという設定で、海外のSNSからパクって来た画像も使って「保護権さくら、港区女子になる」と言うマンガを上げ始めたら徐々に人気が＝フォロワー5,000人まで。さらには出版社の編集をやっているという男から「書籍化しませんか？」と打診を受ける。人気が出れば動画やら何やらの配信もして、年収億越えもあり得ますよってな具合に話が進むが・・・犬はいない。そこで梨沙は、これまでSNSに投稿した画像に似た保護犬を探すと・・・居た！　しかし犬を飼える環境、かつ「見せ」旦那も必要となり・・・一瞬あきらめかけたが、まさかのチャンスに強引に計画を立て推し進めると、そこで思いがけぬ犯罪に巻き込まれてしまう・・・そんなですかね？

 

序盤～中盤主人公のあまりのクソっぷりに(笑)、感情移入は全くできないしイヤミスの香りが充満しててそっち方向で楽しむのかな、でもここ最近はイヤミス気分じゃないんだよなと読み進めると・・・そこからそっちに持ってけるのかと言う、手腕は凄いですね。まさかこんな読後感に着地するとは・・・いや感服です。作者すげえ。そして犬すげえ。

 

非常に面白かったです。