恩師のご著書「講演集」より
講演集、三
誤った信仰の怖ろしさ
先の続き・・・
そいうことをしていますと、
だんだんとお母さんの身体が悪くなってきて、
十月頃になって弱りきってしまったのです。
その先生にお伺いを立てますと、「来年二月十五日までの命です」とのこと。
偉い先生だと信じている方の予言だから、もう皆で信じて、お母さんの枕元で、
あと四カ月先のお葬式の相談をする始末、お母さんも落ち着いて生きていられません。
あと何日と数えながら暮らして、ちょうどあと二週間と言う時に、その娘さんが、
「お母さんが死ぬまでに、もう一回先生の顔を見たいと言っています」と言って、
私を呼びに来たのです。
そして私に、「その先生は偉いのです。私の夢の謎を全部解いてくれました」と
言いますから、「そんなに偉い先生だったら、その先生に救うてもらいなさい。
あなたは向こうで駄目だと言っている私の所になんか頼みにくるのはやめなさい」と言ったのです。
「いや、あの先生は心は直してくれるけど、肉体は治してくれないのです」
と言いますから、そこで私は、「もう行く気がありません。行けば、また
あなたは私の悪口を言うて歩くでしょう。行きたくないのです」と言って
断りました。
それでも、死ぬニ週間前になっているから、何とか来てほしいと言われるので、
「では行きましょう。でも、私は行ったとは思いません。一陣の風が吹くように、
スッと行ってスッと帰りましょう。あなたもまた来てもらったと意識してはなりません。
来てもらったと思えば、またなんとかかんとか言わなければいけないから」と言って訪ねたのです。
すると、もう骸骨を張ったようで、完全な死相を現わした死人同様です。
見動きもできない有様です。
~ 感謝・合掌 ~