浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

恩師の歌集「愛」より

我れ食べず人に施す母の愛
幼き我に布施教えらる

「講演集」より。

2015-06-28 00:50:22 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

         恩師のご著書「講演集」より


             講演集、三


           「能除一切苦」


とても心が楽です。
生活態度がとても楽になります。
私は高橋信次先生に教えてもらった「般若心経」の、もっと奥を分かり易く
教えてもらいまして、「ああ、なるほど、そのように思わせてもらったら、
苦しみは何もないのだ、こんなものはみな感じているだけだ」と思わせて
もらえましたね。
「色は即ちこれ空なり、空は即ちこれ色なり」「色は空に異ならず、空は色に
異ならず」です。

私は幼い頃からよく父から、夜、度胸だめしのように使いに遣らされました。
田んぼの一本道の途中のお宮さんの麓に一本松があって、ここに狸が出て、
道行く人を化かすと聞かされましてね、そこを通っていくのが怖いのです。
「般若心経」なんてよくは知りませんが、
「ギャアティ、ギャアティ・・・」と、大声で怒鳴りながらその狸の出る所を
通っていったことを思い出します。

「ギャアティ」ではなくて、
「ガテーガテー、パラガテー、パラサンガテー、ボーリスバハー」というのが、
ほんとうのインドのことばです。
「この言葉の中にこれ以上の呪文(真言)はない、これと比べるものはない、
これは最高の真言――まことの言葉である」と説かれています。

その真言は、言語のままに語ってこそ、威力を発揮します。
外国の言葉に代わったものは威力がないから、あれは訳さずにそのまま最後の
ところを「スバハー」と、「ハー」と息を吐くところがいいのです。
どこやらの偉い坊さんがどのように言うたとか、龍樹菩薩がこのように言うたとか、
あんなことは必要ありません。

人が言われなくとも、自分が言えばいいのです。
内在された智慧がすべて教えてくれます。
しかし仏教学者は別です。
言葉や時代や人名などをくわしく書いていただくのが仕事ですから。
ほんとうは、このようにお釈迦様がお説きになったというのを、
なぜ教えてもらえるのかというと、
私たちは過去にみな学んだ体験があるから分かるのです。
自らの体験によって自らに内在された智慧に到達した時、
その智慧が湯現して分かるのです。



               ~ 感謝・合掌 ~



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