ささやかな幸せ

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當る巳歳顔見世興行 昼の部の感想

2024-12-08 22:13:32 | 歌舞伎
當る巳歳顔見世興行 昼の部(京都・南座)の感想


 毎年行っていたのに去年・一昨年は、行かなかった顔見世。久しぶり。行ったら、やっぱり、よかった。壱太郎さん大活躍。そして、泣いた。

●蝶々夫人
 士族の娘で家が没落したため芸者になったお蝶は、廓で海軍士官のピンカートンに見初められる。実は、これは夢で現実は三年後。お蝶は、ピンカートンとの間にタロウをもうけ、ピンカートンの帰りを待っている。そこへ、叔父がお蝶はピンカートンの現地妻だと言って、山森酉蔵をお蝶の縁談相手に連れてくる。お蝶は、断るが山森は取り合わない。そこへ、花月楼のお駒が現れ、山森を追い返す。お駒は、ピンカートンは親の決めた縁談を断り切れず、正式な妻を持ち、タロウを引き取りたいと言っているという。金髪をからかわられて泣くタロウを見たお蝶は、断腸の思いでタロウを手放す決心をする。
 壱太郎さん演じるお蝶が、いい。タロウを思う親心に涙。そして、鴈治郎さんのお駒も貫禄。

 幕間に妹が八ッ橋サンドを買ってきてくれ、二人で分けて食べる。美味しい。八ツ橋がこんなにパリパリだったっけと言いながら食べる。

●三人吉三巴白浪 大山端庚申塚の場
 節分の夜。夜鷹のおとせが、昨日の相手の客が落とした百両を返そうと思い、百両を持って現れる。そこへ、お七と名乗る娘が道を尋ねる。お七は、おとせの金を奪い、おとせを川へ突き落す。お七は、実はお嬢吉三と言い、旅芝居の元女形で娘の姿に化け、盗みをするのだった。そこへ、お坊吉三が現れ、お嬢吉三の金を奪おうとする。互いに刀を交える二人に和尚吉三が仲裁に入る。同名の三人が出会ったのも何かの縁と乳兄弟の契りを結ぶ。
 孝太郎さんの可憐な町娘からごろつきに変わるところが見どころ。刀で争う二人の刀を羽織で抑え込む和尚吉三(錦之助さん)もカッコイイ。ちなみに、お坊吉三のお坊とは、お坊さんではなく、お坊ちゃんの意味だとか。隼人さんのお坊吉三、美しい。

 お昼は、南座で買ったなだ万のお弁当。もちろん、美味しかったです。弁当の写真を撮ろうとしたら、スマホの電源がなぜか入らず四苦八苦。写真はあきらめて、弁当を食べようとしたら、箸がない。あちこち探すが、見当たらない。席が列の真ん中だったので、「食事中の人の前を通って売店まで箸を取りにいかないといけないのか、ごめんよ」と申し訳なく思っていたら、隣の人が「お箸なら持っているよ」とお箸をくれた。ありがとうございました!

●大津絵道成寺 壱太郎五変化
. 桜が満開の大津・三井寺。大津絵の主人公たちが道成寺を踊る。
 私の知る道成寺では、はじめにお坊さんたちが出てくるが、今回は、外方、唐子、鯰が登場。「?」と思っていると「大津絵の主人公たちが出てくるから」と妹が教えてくれた。なるほど。鯰がかわいかった。
 愛之助さんが舞台装置で怪我をしたため、壱太郎さんが代役。(愛之助さん、早くよくなりますように)踊りの家元の壱太郎さんだから、心配なし。それにしても、飛び込んだり、飛び出したり、ダミーの人と入れ替わったりと大変。藤娘は、可憐に。船頭は、粋に。鬼は、荒々しく。演じ分けもバッチリ。
 虎之介さんの犬がよかった。

●ぢいさんばあさん
 江戸の美濃部伊織の家。伊織の妻るんは、弟の短気をいさめている。友人とけんかになり、手傷を負ったため、この春から勤めるはずだった二条城の勤めができなくなり、義兄の伊織が代わりに単身で京都に行くことになったのである。その三か月後、伊織は鴨川に近い料亭で同輩を招いて刀披露の宴をひらいている。刀屋で立派な刀を見つけた伊織は、どうしてもその刀がほしくて、下嶋甚右衛門から金を借りて手に入れたのである。そこへ、泥酔した甚右衛門が現れ、金を借りておきながら自分を招かぬ伊織に悪態をつく。じっと耐える伊織だが、はずみで甚右衛門を切りつけてしまう。そして、37年後、伊織は、越前有馬の家に預かりになったが、罪が赦された。るんは、子供を病気で亡くし筑前黒田家で奥女中に。今日は、いよいよ再開の日で
 芸達者な中車さんと扇雀さん。若い時と37年後との対比が鮮やかで、年月の残酷さを表していた。ここでも、泣かされてしまう。
 巳之助さん、いい味だしているなあ。厚みが出てきた感じがする。

 阪急で帰ろうとすると、沿線火災で運転見合わせ。20分前の事象なので、すぐ復旧できないだろうと、烏丸まで一駅歩き、地下鉄でJR京都駅に向かう。地下鉄は、日曜の夕方で阪急の運転見合わせもあり満員。なんとかJRで家に帰りつく。
 大変だったけれども、久しぶりに顔見世を見て大満足の一日。 
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