ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

国姓爺合戦

2016-01-20 17:31:26 | 文楽
平成28年初春文楽公演 第二部 国姓爺合戦(こくせんやかっせん)1/3~1/26 国立文楽劇場

舞台の上に にらみ鯛と申と書かれた大凧が掲げられています。お正月ですね。ちなみに、にらみ鯛と大凧の下にある松の描かれたものは緞帳です。

<大明御殿の段>
 明国の皇帝のもとに韃靼王の使者がやってきて、和睦の印に皇帝の后を韃靼王の后に申し受けたいと言う。右軍将李蹈天(りとうてん)は、飢饉のときに助けてもらったので申し出を受けるべきだと言う。司馬将軍呉三桂は、反対する。怒って帰ろうとする使者を呉三桂は、押しとどめ、恩知らずの国と辱めを受けぬように自らの左目をくりぬいて差し出す。使者は、これで自分の顔も立つと目玉を受け取って帰っていく。
<大明御殿奥殿の段>
 皇帝は妹の栴檀(せんだん)皇女の御殿を訪れ、妹を李蹈天の妻とするかを女官たちに花軍(はないくさ・梅と桜の花の枝で打ち合う遊び)で決めると言う。栴檀皇女は、縁談を渋っているが、女官たちは皇帝の意を汲み、縁談が決まるようにわざと勝負をつける。そこへ、武装した呉三桂が現われ、李蹈天は、明国を韃靼国へ差し出すつもりだと話すが皇帝の怒りを買う。そこに韃靼の大軍が押し寄せ、呉三桂は敵陣へ、呉の妻・柳哥君(りゅうかくん)は、皇女の手を取り逃げ延びる。
<芦辺の段>
 海辺にたどりついた栴檀皇女と柳哥君は、敵に囲まれる。柳哥君は、兵士と戦って傷を負いお供が叶わないと、敵が残した船に皇女を乗せ、海へと押し出す。
 栴檀皇女を守るため、兵士と戦う柳哥君がかっこいい。
<平戸浜伝いより唐土船の段>
 皇帝に諌言したことが原因で追放された鄭芝龍(ていしりゅう)は、日本の平戸へ来て老一官(ろういっかん)と名乗り、妻を迎えて、和藤内(わとうない)をもうける。和藤内は妻と干潟へ出て、シギと大蛤が争っている光景を目にする。和藤内は、それを見て唐と韃靼が争っている今、自分が海を渡れば両国を一度にものにできると考える。そこへ、栴檀皇女を乗せた船が流れ着く。皇女から話を聞いた老一官夫婦と和藤内は、明を再興し、先帝の恩に報おうと唐土へ向かうことになる。
 栴檀皇女の話す明の言葉が、めちゃくちゃだが音がおもしろい。
<千里が竹虎狩りの段>
 老一官と和藤内は、唐土の千里が竹で落ち合う。老一官は、今は韃靼国の天下であり、頼りになるのは日本へ渡るときに別れた、先妻との間にできた娘だと言う。娘の夫・五常軍甘輝の居城である獅子が城を目指すことし、別れる。和藤内と母が千里が竹を進んでいくと、李蹈天の家来の虎狩りに出合う。そこへ、猛虎が現われが、和藤内は伊勢神宮のお札で虎を服従させ、降参した兵士たちを家来にする。
 着ぐるみの虎が動くためか、舞台の手すりがなくなったので、人形が宙に浮いた感じ。虎は、太夫のいる床にもやってきて、大夫に扇子で頭をはたかれたりして笑いをさそう。
<楼門の段>
 和藤内と老一官夫婦は獅子が城に着くが、開門を求めても警護が厳しく兵士は取り合わない。楼門に現われた甘輝の妻・錦祥女(きんしょうじょ)は、老一官の話を聞く。父という証拠は、明を出る時に形見とした、自分の姿を描かせた絵。錦祥女は、肌身離さず持っていたその絵と鏡に映して見る老一官の姿を見比べ、老一官を父と認める。しかし、錦祥女は甘輝の妻であり、韃靼王の命で親類縁者であっても他国の者は城内へは入れられない。すると、和藤内の母は、自分は年老いており、縄をかけて入ればと用心する必要がないと言い、城内に入ることになる。そして、錦祥女は、甘輝が和藤内の助力を承諾すると、水路に白粉を流し、そうでないときは紅粉を流すと約束する。
 豊竹咲甫大夫さんの声がよく、情感たっぷり。桐竹勘十郎さんが遣う錦祥女は、始めは気品あふれる姿が老一官が父とわかって一転、心乱れる様子が印象的。
<甘輝館の段>
 甘輝が館に戻ると、錦祥女は日本から父母と弟が来たことを話し、甘輝は、母と対面する。母は、明国再興のため、和藤内に助力してほしいと頼む。すると、甘輝は、妻の縁で助力するのではない証拠に妻を殺してから助力すると錦祥女に切りかかる。母は、継子をかばい、娘は、親孝行のために命を捨てようとする。
<紅流しより獅子が城の段>
 交渉が失敗したことを伝えるため、錦祥女は水路に紅を流す。和藤内は母を助けるために城に乗り込む。しかし、紅と見えたのは、自害した錦祥女の血であった。また、母も自害する。この二人の犠牲により、甘輝は、和藤内に国姓爺の名前を与え、助力を誓うのであった。
 水路に流れる紅がしょぼかった。

 和藤内は、鄭成功。父の鄭芝龍と共に、実在の人物。「国姓爺合戦」は、実在の人物をモデルにしている。和藤内は「和(日本)」でも「唐(中国)」でもないと言うシャレらしい。
和藤内
「国姓爺合戦」は、日本・中国を舞台にしてスケールが大きく、銅鑼など中国の楽器が異国情緒を感じさせる。

 文楽に行ったのは、17日の日曜日。関ジャニ∞のツアー最終日である。文楽の帰り、ドーム帰りのエイターさんを見かける。「いいなあ、オーラスどうだったかな?」と思っていたら、ビックリ。大倉くんが、腸閉塞でLIVEを欠席!大倉担は、残念だったろうが、きっと残りのメンバーはいろいろとサービスしてくれたはず。
「大倉くん、早くよくなってね」と思っていたら、20日から大倉くんが仕事復帰とのこと。よかった。
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平成27年錦秋文楽公演 第二部 玉藻前曦袂

2015-11-23 16:44:01 | 文楽
平成27年錦秋文楽公演 第二部 2015/10/31~11/23
玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)

土曜日は文楽に行ってきた。人形の顔が変わったり、早変わりがあったり、宙乗りがあったり、色っぽいふりがあったりとおもしろかった。近くに外国の方がいたが、その方も大きな声で笑ったり、驚いたりと とても楽しんでおられたようだった。
●清水寺の段
 鳥羽天皇の兄・薄雲皇子は、犬淵源蔵ら家来を連れて清水寺にやってくる。皇子は謀反を企て、藤原道春の家に伝わる獅子王の剣(かつて天竺で九尾の狐を退けたという名剣)を鷲塚金籐次に盗ませて手に入れた。皇子は恋慕する道春の娘桂姫を手に入れようとするが応じないため、従わなければ首を討つように言って去る。その桂姫が参詣に訪れ、姫が恋する陰陽師安部泰成の弟・采女之助と来合わす。そこへ、犬淵が現われ、姫を奪おうとするが、采女之助が姫を逃がす。
 薄雲皇子は日蝕の生まれなので、帝位につけなかったそうだ。
●道春館の段
 藤原道春の館に鷲塚金籐次がやって来て、皇子が所望している獅子王の剣を出すか桂姫の首を討って出すかと道春の未亡人・萩の方に迫る。萩の方は、桂姫は清水寺で拾い神から授かった子として育てたので畏れ多いと実子である妹の初花姫を差し出そうとするが、金籐次に拒否される。そこで、姉妹に双六をさせ、負けたほうの首を差し出すことにする。初花姫が勝負に負け、姉を助けられると喜んだのも束の間、なんと金籐次は桂姫の首をはねる。隠れていた采女之助が金藤次に刀を突き刺す。金籐次は、桂姫が自分の娘であり、獅子王の剣を盗んだことを告白する。そこへ、天皇の使いが訪れ、初花姫を玉藻前と名を改め宮中へ仕えるようにと伝える。
 金籐次が切々と語る場面は、胸に迫る。
●神泉苑の段
 宮中に仕える玉藻前のところに金毛九尾の狐が現われて襲いかかり、代わりに玉藻前に化けてでてくる。玉藻前を薄雲皇子が呼びとめ、謀反の企みを打ち明ける。玉藻前は、自分が妖狐だと明かし、日本を魔界にしようとしていると言う。魔界にするため、皇子の謀反に協力を約束する。神器の八咫の鏡を穢せば魔界にできるが、ただ獅子王の剣を恐れていることを語る。
 狐は、金毛九尾。しかし、実際の人形のしっぽは7つ。顔は虎っぽい。一緒に見た友人は、金の胴がヘビっぽいと言っていた。初花姫の顔が狐に変わるのが見所。一瞬で変わるのが本当に不思議。
●廊下の段
 玉藻前に帝の寵愛を奪われた女たちが、玉藻前を亡き者にしようと廊下で待ち構えるが、玉藻前は体から怪しい光を放ち、妖狐の威力をのぞかせる
●訴訟の段
 薄雲皇子の寵愛を得た傾城・亀菊が酒色にふける皇子に代わって訴訟を裁く。
 金の貸し借りを巡って、待兼の宰相と内侍の局が小競り合いをしたり、下女のお末が訴える右大弁との色恋沙汰がおもしろい。下女のお末の着物が、ミッキーマウスの顔のような柄でちょっと気になる。
●祈りの段
 訴訟は、玉藻前に不審な点があると訴える安倍泰成の番になる。泰成は、玉藻前が妖狐であると言うが亀菊は訴えを退ける。次に泰成は、帝の病の平癒の祈祷を玉藻前にしてもらうよう願い出て認められる。亀菊は一人になると、現われた采女之助に八咫の鏡を渡す。そこへやって来た薄雲皇子は、亀菊を裏切ったと殺す。祈祷が始まると、泰成は獅子王の剣を玉藻前に突きつける。すると、玉藻前は妖狐の正体を現し、那須野が原へ飛び去るのであった。
●化粧殺生石
 那須野は原に逃げた妖狐は、退治され、近づくものを死に追いやる殺生石となる。未練を残す妖狐の魂は、毎夜様々な姿に化けて踊り狂うのであった。
 幕開けからスモークがもくもくとし、不気味な感じを出している。桐竹勘十郎さんが狐、座頭、娘、雷、いなせな男、夜鷹、女郎、奴とくりくりと早変わりで人形を持ち替えるは、宙吊りで狐を遣うはと大活躍。おもしろかった。

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錦秋文楽公演 第一部

2015-11-16 15:18:01 | 文楽
土曜日に文楽に行ってきた。

錦秋文楽公演 2015/10/31~11/23 第一部
<碁太平記白石噺(ごたいへいきしらいしばなし)>
●田植の段
奥州逆井村。百姓たちは田植えの真っ最中。昼休みで百姓がいなくなったところへ、代官の台七がやってきて何か事情のありそうな鏡を畦に隠し姿を消す。そこへやってきた与茂作は鏡を見つけ、引き返してきた台七と取り合いになり、与茂作は台七に殺される。
田植えをする人形たちがおもしろい。苗を田んぼに投げ落とす人が、間違って人に当てて謝ったり、田植えをする人が疲れた腰をのばしたり。人形は、一人で遣うツメ人形と言われるもので、後頭部になぜか釘が出ていてる。ネットで調べると、釘は壁の長押に引っかけて収納するためのものだとか。へえ~。
●浅草雷門の段
与茂作の娘おのぶは、病気の母とも死に別れ、順礼姿で吉原にいる姉に会うために江戸へやってくる。おのぶは、ならず者の観九郎に危うく遊女として売り飛ばされるところを吉原の揚屋・大黒屋の主人惣六に助けられる。
オープニングで大道芸人のどじょうが手品を披露。道具をしまうのが、阪急の紙袋と笑わせてくれる。しかし、ここは、緞帳を寄贈した近鉄さんの紙袋じゃないとダメなのでは!?
観九郎が惣六からせしめたお金をどじょうが地蔵姿になってだましとろうとする。どじょうが顔にうどんの粉を塗り、ぷはっと白い粉を吐いたりする。最近死んだ観九郎の父親に冥土で金を貸したので、それを返せと言い、お金を取り、さらに自分の借金の証文も錫杖に引っかけて持っていくどじょうの姿がおかしい。
●新吉原揚屋の段
おのぶは、大黒屋で傾城・宮城野となった姉と再会し、父の敵討ちを決意する。しかし、惣六に短慮を諭され、敵討ちをする時節を待つことにするのであった。

<桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)>
八郎兵衛は、女房のお妻に奉公先だった家の主人の金の工面を頼み、自分は家から盗まれた刀探しに奔走し留守がちである。そこへ、弥兵衛が持参金つきで婿入りにやってくる。ちょうど帰宅した八郎兵衛は、お妻から愛想尽かしをされ、お妻の母は縁切りを言い渡される。怒りを抑えて一度は立ち去った八郎兵衛だったが、様子を見に戻ると家の外に娘のお半が出されていることに逆上し、お妻と母を斬り殺す。お半は、父を押しとめ、文字の書けない母に覚えさせられた遺書を口にする。お妻は、金の工面のために金持ちの婿を取ることにしたのであった。
吉田蓑助さんの遣うお妻がすばらしい。夫のため意に沿わぬ結婚をする苦しみや悲しみが胸に伝わってくる。さすが、人間国宝ですなあ。

<団子売>
仲のよい夫婦の杵造とお臼が踊る。
桐竹文壽さんが休演のため、桐竹勘十郎さんが代理で吉田玉男さんと共演。勘十郎さんの遣うお臼がなんとも愛らしい。竹本三輪大夫、豊竹芳穂大夫、イケメン豊竹咲寿大夫がとにかくええ声で、朗々とうたい上げるのがいい。
 
夜は一緒に観劇した人たちと心斎橋「龍や」さんで食事。
歌舞伎役者さんのポスターやサインがたくさん飾られており、きゃ~という感じ。おいしい食事とおいしい日本酒で、楽しくワイワイとしていたら、店に5時間もいてビックリ。まだ9時くらいかなと思っていたら11時!慌てて家路につく。
その時は、大丈夫だと思っていたが、地下鉄に乗ったり、走ったら、急に酔いが回ってきた。気持ち悪くなり、各駅停車に乗って帰る。
吐くかと思ったが、吐かずにすむ。翌朝、絶対に二日酔いだと思って起きたら、意外に爽やかな目覚め。日本酒と一緒に飲んだ大峰山のごろごろ水がよかったのか・・・。
しかし、食欲がなく、朝食も昼ごはんも抜く。飲み過ぎではなく、単なる食べ過ぎで気持ちが悪かったのだろうか・・・。
楽しいとついつい飲み過ぎ、食べ過ぎるという悪い癖が出たようだ。反省。
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平成27年夏休み文楽特別公演 7/18~8/3 国立文楽劇場 第三部 名作劇場 きぬたと大文字 生写朝顔話

2015-08-03 15:17:57 | 文楽
バスに乗る。ある停留所に着くと、1人の女の人が立ち、もう1人の女の人はタイヤの上のすわりにくい席に移動した。「降りないのに、なんで?」と思っていたら、おばあちゃんが二人乗ってきた。おばあちゃんたちは、いいところに席があいていたばかりに席にすわる。さりげない心遣いに感心した。
今日、出勤時に近所の人と出会う。にこやかに挨拶を交わし、その人は私の前を歩き、私はゆっくりと歩く。すると、その人は、信号のないところで、いきなり道路を斜め横断。そして、駅前の信号が赤にも関わらずスタスタ。優しい風貌と似合わない行動にビックリした。どこで人が見ているかわからないもの。誰が見ても恥ずかしくない行動をしようと肝に銘ずる。

平成27年夏休み文楽特別公演 7/18~8/3 国立文楽劇場 第三部 名作劇場 きぬたと大文字 生写朝顔話
●きぬたと大文字
三味線がばらばらなような気がした。心の乱れを表すためにわざと???
文楽の女の人形は、曽根崎心中以外足がないと聞いたような気がするが、舞妓さんは、ぼっくりをはき、妻はつま先のとがった靴を履いていた。舞妓さんと大陸の女の人だから、特別?こういうときに、イヤホンガイドを聞いていたら、解説でわかっただろうになと思う。
<大文字>
姉妹の舞妓が大文字の送り火を見ながら、両親を偲ぶ。
大文字がふわっと浮かび上がり、最後に徐々に消えていく様が情緒があって、美しい。
<きぬた>
中国か朝鮮?夫が出生し留守を守る妻が、夫を思いながら砧を打つ。
布を使って舞う妻の姿が、美しくせつなかった。

●生写朝顔話 前段は7/23にあり
<嶋田宿笑い薬の段>
大内家の家臣・駒沢次郎佐衛門(実は伯父の家を継いで改名した阿曾次郎)と岩代多喜太が嶋田の宿に泊まっている。お家乗っ取りを企む岩代たちは、主君を諫言し改心させた駒沢にしびれ薬を飲ませ暗殺を謀ろうと萩の祐仙に頼む。宿屋の主人徳右衛門は、悪事を知り、しびれ薬を浜松で買った笑い薬と取り替える。毒見をした萩の祐仙は、笑いが止まらなくなってしまう。
女中たちのちょっとHな話から始まる。桐竹勘十郎さんの遣う萩の祐仙が、なんともユーモラスで大笑い。
<宿屋の段>
駒沢は、自室の衝立に朝顔の歌が記されていることに気づく。徳右衛門に尋ねると朝顔と呼ばれる盲目の女芸人が歌っているとのこと。身の上話を語る朝顔こそ深雪だったが、岩代の手前、名乗ることができない駒沢。岩代が奥へ下がったので、駒沢は朝顔を呼び戻そうとするが、既に朝顔は外へ出ていった。駒沢は、徳右衛門に金、扇、眼病に効く薬を朝顔に届けるように託し、宿を発つ。引き返した朝顔に駒沢から預かった品を渡す徳右衛門。扇に阿曾次郎と書いてあると聞くと、朝顔は徳右衛門の制止を振りきり、雨の中、駒沢のあとを追う。
<大井川の段>
深雪は、大井川にたどり着くが、駒沢は既に川を渡り、大雨のために川止めになっている。絶望のあまり川に身を投げようとする深雪は、徳右衛門と深雪の実家秋月家の奴関助に助けられる。関助は夢に現われた深雪の乳母・浅香のお告げにより、嶋田の宿にやってきたのであった。深雪は、浅香は既に亡く、自分の父古部三郎兵衛を訪ねるようにと守り刀を託されたことを語る。すると、徳右衛門は、守り刀で自分の腹を突く。徳右衛門は、浅香の父・古部三郎兵衛であり、深雪の父に恩があると言う。甲子の生まれの徳右衛門の生き血と駒沢の薬を一緒に飲めば、深雪の眼病は治ると、薬とともに自分の血を深雪に飲ませる。すると、深雪の両目はたちまち開くのであった。
桐竹紋寿さんの遣う深雪の恋に狂ったような姿が、一途で、せつない。

こののち、深雪は阿曾次郎と再会し、結ばれることとなる。



文楽劇場のロビーにある絵。表がガラスのため、写真を撮るとライトが映り込み、見えにくくなっている。吉田文雀さんが人形を遣うこの絵は、今日見た生写朝顔話の大井川の段の場面だったね。
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平成27年夏休み文楽特別公演 第二部 名作劇場 生写朝顔話

2015-07-23 20:28:18 | 文楽
平成27年夏休み文楽特別公演 第二部 名作劇場 生写朝顔話 7/18~8/3 国立文楽劇場

生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)


深雪と阿曾二郎のすれ違い。「君の名は」みたい。二部と三部を一緒に見るのは腰が痛いかも。
<宇治川蛍狩の段>
京都で儒学を学ぶ阿曾次郎は、宇治川の蛍狩りに出かけ、武家の娘深雪を暴漢から救う。恋に落ちる二人。阿曾次郎は、深雪の扇に朝顔の歌をしたためる。帰国して伯父の家督を継げとの知らせに阿曾次郎は、再会を約束して別れる。
蛍が飛ぶ場面が美しい。玉男さんが遣う阿曾次郎が、気品にあふれている。
<真葛が原茶店の段>
医者の立花桂庵は、深雪の父・秋月弓之助に頼まれ、阿曾次郎の人柄を調べているが、同業の萩の祐仙を深雪の婿にしようと企む。
桐竹勘十郎さんの遣う萩の祐仙が、おかしい。
<岡崎隠れ家の段>
祐仙は、阿曾次郎になりすまし、秋月家を訪れるが、人となりがあまりにも違うため弓之助に追い返される。その後、本当の阿曾次郎が現れるが、秋月家は帰国の準備に忙しく、取り次いでもらなかった。
<明石浦船別れの段>
多くの船が風待ちをしている明石の浦で気晴らしに小舟でこぎだした阿曾次郎は、深雪に贈った朝顔の歌を耳にする。それは、帰国のため大船に乗っていた深雪だった。深雪は、小船に乗り込み逢瀬を楽しむ。しかし、深雪がいったん大船に戻ったとたん、風が起こり出船することになる。別れを惜しむ深雪は、阿曾次郎に朝顔の扇を投げ渡す。
琴を弾く鶴澤燕二郎さんが、弾く前に指をもんだり息をふきかけたり。隣で三味線を弾く鶴澤寛治さんが、彼を見守るように優しく三味線を弾くのが印象的だった。琴と三味線の優しいハーモニーだった。吉田一輔さんの遣う深雪が、一途。大船と小舟で別れる二人がせつない。
<薬売りの段>
宿屋を営む戎屋徳右衛門は、浜松で桂庵から煙草の火を借りたお礼に怪しげな笑い薬を買う。
義太夫の豊竹咲甫大夫さんの声がいい。桂庵は、ペットボトルで水を飲んだり、暇つぶしに見るのが本公演のチラシだったりと、茶目っ気たっぷり。
<浜松小屋の段>
阿曾次郎との縁談が成らず絶望した深雪は家出し、様々な苦労の末に失明し、朝顔と名乗って破れ三味線を弾いて暮らしている。巡礼となって深雪の行方を探す乳母の浅香は、深雪と再会をはたす。しかし、浅香は深雪を狙う人買いの男と争い、深手を負う。浅香は、深雪に自分の守り刀を渡して力尽きる。
蓑助さんの遣う朝顔がすばらしい!しかし、深雪が16,7歳の設定というのがビックリ。
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