ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『さらわれたデービッド』『流浪の月』

2020-04-19 22:16:40 | 
 昨日は、窓ふき。今日は、雑巾がけ。ぼちぼちとがんばって掃除をしている。

『さらわれたデービッド』 スティーブンソン昨 坂井晴彦訳 福音館書店
 両親を亡くしたデービッドは、会ったもないおじのもとへ行く。ところが、デービッドはおじにだまされ、船に乗る羽目に。船は難破し、あらぬ殺人の疑いをかけられたデービッドはアランと言う男と共に、追手から逃れるために荒野や山を隠れつつ行くことになる。
 『宝島』を書いたスティーブンソンの児童文学。名作と言われているが、445ページもある。やっと読み終えた。長いが読み始めたらおもしろかった。
 しかし、ジャコバイトとかホイッグ党員というイギリスの歴史を頭に入れて読まないと、頭がこんがらがる。ホイッグのデービッドは、敵対するジャコバイトのアランと殺人の疑いをかけられて、イギリス軍から逃れるようにスコットランドを横断するのだ。
 ちょっと皮肉屋のデービッドとちょっと自慢が鼻につくアランがケンカをしながら、助け合いながらの大冒険。ワクワクしながら読んだ。

『流浪の月』  凪良ゆう 東京創元社
 父は病死し、母は蒸発。残された更紗は、おばの家に引き取られるが、おばの子どもに性的嫌がらせを受ける。家に帰りたくない更紗は、ロリコンとウワサされている男の家に行くことになる。安心なところを見つけ、ホッとする更紗だったが、男は逮捕され、男と引き離される運命に。更紗は、男は何もせず、いとこに被害を受けていたことを言い出せず、男は罪をうけることになる。
 元気がない時に読んだらダメな本か。
 被害者が許されざるべき罪を犯したんだろうかという言葉は痛々しい。「いたわりや気配りという善意の形で『傷者にされたかわいそうな女の子』というスタンプを、・・・押してくる」「思いやりという余計なフィルターを通されて『無理をしているのではないか』・・・『過去のトラウマがあるのではないか』という取り扱い注意のシールを貼られる」「中途半端な理解とやさしさでわたしをがんじがらめにする」私も被害者に対し、きっと同じことをしてしまうと思う。
「でも、多分、事実なんてない。出来事にはそれぞれの解釈があるだけだ」「事実と真実はちがう」しかし、私たちは待つことができずに、性急に答えを出そうとするのだ。
 ネット社会なので、昔の映像は残り、どんどん上書きされる。その怖さ。それと同時に、世間ではいびつと言われるだろうが、一つの純愛の形を見た気がした。

 私が幼稚園に通っていた時、お弁当の時間に仲良しの子に聞こえよがしに悪口を言われた。仲良しと思っていた子に事実と違うことを言われ、悲しくて泣いていたら、先生が来て「どうしたの?」と聞く。すると、私が答える前に、その子が「牛乳ビンのふたが開けられなくて泣いています」と言ったのだ。私が泣いた理由を知っているくせに、どうして、そんなウソを!ビックリして何も言い出せないうちに、先生から私は牛乳ビンのふたが開けられなくて泣くようなひ弱な子とレッテルを貼られたのである。そんなことを思い出した。事実と真実は違う。
コメント
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