『歌集 パン屋のパンセ』 杉﨑恒夫 六花書林
作者が70代80代によんだ歌集とか。いやあ、みずみずしいこと!わかりやすい言葉でよみ、時々クスリと笑うような可愛さがある。長年天文台に勤めたらしく、天文や草花・虫などの生物についてよむ歌がなんともいい。一読で、心をつかまれた。気に入った短歌に付箋をつけていったら、付箋だらけになってしまった。
屋根高き春の麒麟舎、折りたたみきかぬきりんを睡らすために
濁音を持たないゆえに風の日のモンシロチョウは飛ばされやすい
わたしが鳥となるとき夕焼けの硝子とびらはつぎつぎ開く
あしもとに這い寄る波がこそばゆいアフロディテになる前の泡
アップデートしますかなんて聞いてくる素敵なデートでもあるまいし
けいけんな信徒かもしれない落ち蝉は六本の脚を胸にたたんで
しろがねのホルンの渦をかけめぐる冷たき息を秋風とよぶ
むちゃくちゃに窓の多いビルだから月はいちいちのぞいておれぬ
作者が70代80代によんだ歌集とか。いやあ、みずみずしいこと!わかりやすい言葉でよみ、時々クスリと笑うような可愛さがある。長年天文台に勤めたらしく、天文や草花・虫などの生物についてよむ歌がなんともいい。一読で、心をつかまれた。気に入った短歌に付箋をつけていったら、付箋だらけになってしまった。
屋根高き春の麒麟舎、折りたたみきかぬきりんを睡らすために
濁音を持たないゆえに風の日のモンシロチョウは飛ばされやすい
わたしが鳥となるとき夕焼けの硝子とびらはつぎつぎ開く
あしもとに這い寄る波がこそばゆいアフロディテになる前の泡
アップデートしますかなんて聞いてくる素敵なデートでもあるまいし
けいけんな信徒かもしれない落ち蝉は六本の脚を胸にたたんで
しろがねのホルンの渦をかけめぐる冷たき息を秋風とよぶ
むちゃくちゃに窓の多いビルだから月はいちいちのぞいておれぬ