ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『夜の道標』『インタビュー ザ・大関』

2024-02-12 20:54:08 | 
『夜の道標』 芦沢央 中央公論社
 1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も、被疑者の足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。
 どうなるんだろうとドキドキしながら読んだ。でも、最後は。泣いたが、被疑者の動機、少年たちやかくまった女性のその後など尻切れ蜻蛉な感じでもっと読みたかった。また、被疑者の阿久津の描き方は、あれでいいのだろうかという疑問もある。
 正しいって何だろう。良かれと思ったことも時代で変化していく。

『インタビュー ザ・大関 運と人を味方につける』 武田葉月 双葉文庫
 約700名の力士がいるなか、十両になれば成功者と言われる世界で、ほぼ頂点を極めたといってもよい大関。そして、その上には目指すべき横綱という地位がある。本書では現役、引退を問わず二十人余の大関経験者に相撲人生を語ってもらう。
 横綱まであと一歩というところまで行きながら、横綱になれなかったとはいえ、大関まで上り詰めた人たち。パっしないなあと思った大関もいたが、怪我という事情があったのね。出身地の地元の期待や怪我や大関の責任感などさまざまなものを背負っているが、黙って相撲に取り組む。皆さん、真面目で義理堅いと思った。
 力士になった理由は、人それぞれ。お尻を出すのが恥ずかしかった人も だまし討ちのようにして部屋に入れられた人も。稽古が嫌だと思ったこともない人もいれば、稽古に不熱心だったが急に稽古に目覚めた人も。本当に人それぞれ。もうちょっと、深堀してほしかった。
コメント
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