ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『北の捜査線/小樽港署』2002

2024-07-01 20:20:23 | 刑事ドラマ2000年~

こないだCATVで奥田瑛二さんの刑事ドラマを観ました。元は2002年にテレビ東京&BSジャパンで放映された高橋伴明監督による2時間ドラマで、原作は歌野晶午さんのサスペンス小説『ガラス張りの誘拐』。

奥田瑛二さんの刑事役って珍しいな、少なくとも連ドラじゃ演っておられない筈だからレビューしようかなって、思いながら観てたら途中で気づきました。これ、変態事務局の陰謀により閉鎖に追いやられた、旧ブログで(閉鎖寸前に)レビューしたヤツやん!

そこで思いつきました。今年の夏ドラマが始まるまでの繋ぎとして、奥田さんと同じく “連ドラで刑事役を演ってない俳優さん” の2時間ドラマレビューを、いくつか旧ブログから引っ張って来ようって。(連ドラの刑事物はカテゴリー“刑事ドラマHISTORY”でほぼ網羅してあります。)

まあ、はっきり言って手抜きですm(_ _)m 先週から頭痛を患いがちで、眼を休めたいっていう思惑もあります。

そもそもこれはテレビの刑事ドラマを語るブログ(だった筈)ですから、自然な流れと言えば自然な流れ。自分で忘れてた位だから古参の読者さんも憶えておられないだろうし、ちょっと懐かしい俳優さんの顔ぶれも楽しんで頂ければ幸いです。



かつて自分が逮捕した男に逆恨みで妻を殺され、おまけに同僚たちからその容疑をかけられた小樽港署の刑事=佐原(奥田瑛二)は、仕事に対する気力を失い、ボインぼよよ~ん!な一人娘=深雪(山田まりや)との関係も冷えきって、捜査の合間にスーパー銭湯で身体を温めることで何とか精神バランスを保つという、冴えない日々。

そんな折り、小樽で連続婦女暴行殺人事件が発生します。



愛する妻を殺されたトラウマが甦り、苦しみつつも捜査する佐原だけど、あろうことか父娘喧嘩の末に家を飛び出した深雪が行方不明に! 手配中の婦女暴行殺人犯に誘拐された可能性が濃くなり、佐原はうろたえます。

やがて1億円の身代金とテレビ中継を要求する電話が入り、無理してなんとか金を工面した佐原は、全国から注目を浴びつつ取引現場へと向かうのですが……



我々タベリスト(※多部未華子ファン)には「王様」「男爵」など横柄なキャラでお馴染みの奥田瑛二さんが、ここでは腰が低くて覇気のない、蛭子能収さんチックな刑事を演じておられるのがとても新鮮。そしてやっぱり上手い!

そんな奥田さんの上司にあたる主任刑事に倍賞美津子、エリート警視に石黒賢、同僚刑事に山口馬木也、義母に冨士眞奈美、婦女暴行事件の生存被害者に田中千絵、そして事件の鍵を握るスクールカウンセラーに杉田かおる等々、脇を固めるキャスト陣も豪華かつ実力派揃いで、さすがは高橋伴明作品、見応えあります。



誘拐事件の真犯人が父親によるDVの被害者で、佐原家の父娘関係を修復させるのが真の動機っていうのは「んなヤツはおらんやろ」なんだけど、まぁそれくらいの飛躍が無いとミステリーやサスペンスはなかなか成立しません。

で、深雪のために土下座する父の姿をテレビで観た深雪が心を打たれ、絆を取り戻す人情ドラマもベタと言えばベタだけど、そこに至るまでの父娘の苦しみが丁寧に描かれてるもんで、私は素直に泣けました。

やっぱり一流のスタッフ&キャストの手に掛かると、ありがちな2時間サスペンスも見応えある作品に仕上がる、これは良い手本になるんじゃないかと思います。

セクシーショットは山田まりやさん。1996年デビューのボインぼよよ~ん!なグラビアアイドルで、『ウルトラマンダイナ』のミドリカワ隊員役やNHK版『浪花少年探偵団』のしのぶ先生役など、女優としても幅広く活躍されてます。ぼいぃぃ~ん!

(追記/この記事を書いてから約6年、今も変わらずボインぼよよ〜ん!を連呼する私のブレない姿勢に惚れ惚れします)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『はぐれ刑事純情派ファイナル』

2024-06-19 21:55:07 | 刑事ドラマ2000年~

1988年春にスタートした『はぐれ刑事純情派』シリーズも、シーズン18にあたる『〜ファイナル』第10話 “安浦刑事よ永遠に” (2005年6月放映の2時間スペシャル) でいったん幕を下ろすことに。

ところがその年末に早くも復活、2009年まで4本の単発スペシャルが放映されて足かけ約20年(通算444話)に及ぶ長寿番組となりました。

そのたびに『帰ってきた安浦刑事』ってサブタイトルがついてて、“復活するのはお約束だろ?” がキャッチコピーの某映画(前作=完結編では “終わる終わる詐欺じゃねえだろな?” と謳ってたw)を連想させます。

改編期が来るたび若手刑事の殉職を臭わせた『太陽にほえろ!』も後年 “死ぬ死ぬ詐欺” なんて揶揄されるようになったけど、同じことが『はぐれ刑事純情派ファイナル』にも言えるかも知れません。過去に若手刑事が3人死んでおり、この最終回では主人公 “安さん” こと安浦吉之助(藤田まこと)の殉職を匂わせまくってます。



安さんを殺そうとする若者=北見(猪野 学)は、かつて安さんが担当した事件で逮捕され、出所したばかりの前科者だけど、彼には彼の事情がある。(番組スタート時のキャッチコピーが “刑事にも人情がある。犯人にも事情がある” でした。)

北見は、かつて所属した暴力団の元組長で現在は貿易会社を経営してる、黒河という男の命令に従って合成麻薬の売買に手を貸していた。

なぜなら、そいつに逆らうと唯一の身内であるお母さん(山本陽子)が殺されちゃうから。



そんな卑劣にも程がある乳首チョメチョメ野郎=黒河に扮したメインゲストは、2000年代に入ってからやけに悪役づいてる、神田正輝さん。



そう言えば『代表取締役刑事』の最終回でも似たような鬼畜セレブを実に活き活きと演じておられました。『はみだし刑事情熱系PART5 年末スペシャル』しかり、復活版『西部警察SPECIAL』しかり。俳優さんにとって悪役は、正義の味方を演じるよりずっと楽しいみたいです。

で、黒河が北見を操ってると察した安さんが、探りを入れに行った直後のシーン。


「安浦さん、お嬢さん結婚なさるそうですね。おめでとうございます」


「黒河、お前んとこにも女の子がいたな。いくつになった?」


「……!!」

いつも書くけど、人情刑事でありながらこういうハードボイルドも似合っちゃう、安さん=藤田まことさんが痺れるほどカッコいい!(そもそも『必殺』シリーズの主役だったお方です)

しかしこれが黒河を本気で怒らせ、安さんを殉職の危機へと追いやるワケです。


「安浦を殺す。あの男は目障りだ」

それで北見が駆り出され、安さんは腹を撃たれるんだけど、ヤツのお母さんが止めに入ったお陰で死なずに済みました。



川辺課長(島田順司)のセリフによると、安さんが銃弾を食らったのはこれで3度目。大半の警察官は一度も経験せずに終わるのが現実だろうけど、毎週のように刑事が撃たれてた(最後に犯人を射殺する為のお膳立てとして撃たれとく必要があった)『西部警察』等に比べると通算3回は圧倒的に少ない。

もちろん鬼畜中の鬼畜である黒河は、たかが一度の失敗で諦めやしません。今度は安さんが撃たれたことを知らずに北海道を旅行中の愛娘たち=エリ(松岡由美)とユカ(小川範子)をロックオン!



ちなみに結婚を控えてるのは姉のエリで、妹のユカは警察官採用試験に合格したばかり。後の単発スペシャルでエリが結婚式を挙げ、ユカが安さんの部下になることから察するに、この時点で既に復活は織込み済みだったのかも知れません。これぞまさに “終わる終わる詐欺”!

と同時に、退院した安さんが山手中央署の同僚たちにやたら「あとは頼むぞ」的な言葉をかける(ネット用語で言うところの “死亡フラグを立てる” )展開は “死ぬ死ぬ詐欺” でもある。



まあ実際、今回ばかりは安さんも命を投げ出す覚悟を決めたんでしょう。なにせ携帯電話を持ってる筈の愛娘2人と連絡がつかない!

案の定、エリとユカは根室の海岸で北見の襲撃を受けてました。



けど、安さんみたいな刑事になることを目指してるユカが、そこで思い出すんですよね。「どんな凶悪犯でも、最後の最後には必ず人間らしさを取り戻す」っていう父の言葉を!



カエルの子はカエル。説得を試み、みごと北見に銃口を下げさせたユカの姿に、私は泣きました。“はぐれ刑事二世”の誕生です。(ということは後に原田泰造を産む!?)



が、二度も暗殺に失敗した北見はそのあと消されちゃう。あの黒河にだけは安さんの純情派スピリットも通じない!

エリとユカを人質に取った黒河は、交換条件として安さんの命を要求してくる。そこまでは読んでた安さんだけど、ちょっと乳首チョメチョメ野郎を見くびってたかも知れません。


「子供たちを離せ。約束だぞ」


「約束? 安浦さん、あんた人が好すぎる」



まあ、そりゃそうでしょう。この黒河が目撃者であるユカたちを生かしておくワケがない。

ところが!



やっぱり安さんの方が一枚上手だった! 北海道へ発つ前に安さんは、黒河の自宅を訪ねていたのでした。


「卑怯なマネをしやがって!」

「卑怯だと? お前の口からそんな言葉が聞けるとは思わなかったよ。黒河、娘さんの前で人が殺せるか?」

「…………」


「人の心のカケラが少しでもあるんなら、俺に見せてみろ!」



「あなた、もう何も要らないわ! 家族が、3人いればいいのよ! それだけでいいのよ!」

「パパ、大好きだよ! パパ!」



「……ずるいよ、安浦さん」

どんな凶悪犯でも、最後の最後には必ず人間らしさを取り戻す。安さんの純情派スピリットがついに、黒河をダークサイドの果てから連れ戻しました。

いや、家族の愛が無ければ安さんにも打つ手は無かった筈で、やっぱり『はぐれ刑事純情派』も『はみだし刑事情熱系』と同様、刑事ドラマでありつつホームドラマなんですよね。こっちの方がずっと先輩だけど。

ところで、黒河の妻娘を連れてきた山手中央署の仲間たちは、敵が武装してると知りながら全員が丸腰でした。



「課長、見直しましたよ。拳銃無用。なかなかやりますな」

「なに言ってんだ、人の気も知らないで」

拳銃無用! それもまた番組キャッチコピーの1つでした。

そしてラストシーンの舞台は、やっぱりここ。



「ただいま」

「お帰りなさい」

↑このやり取りがまた、ひと足早くファイナルを迎えた『はみだし刑事情熱系』のエンディングとまったく同じ! 偶然にせよ意図的にせよ、両作ともホームドラマの側面を強調してますよね。

安浦家はもちろんのこと、なんだか『サザエさん』ファミリーみたいな雰囲気さえ感じる山手中央署の温かさといい、高級バーでありながら妙にアットホームな「さくら」といい、すべてが居心地いい空間。

だから安さんは最後までママの由美さん(眞野あずさ)に手を出さなかったんでしょう。亡くした妻への想いもありつつ、何よりこの居心地いい相関図を崩しちゃうリスクを避けたかったに違いありません。

ところが、以前は安さんの来店が待ち遠しかったのに「最近そうでもなくなったの」と由美ママは言います。

「えっ?」


「ここに来なくても、安浦さんはどこかで笑ってる。どこかで怒ってる。そう思うと、それで充分シアワセになれるの」

おいおい、よせよベイビー。それは究極の愛の告白じゃないのか? 知らんけど。


「そうか……でも来るさ。どこにいても必ず、ここに戻って来る」

そこで堀内孝雄 (with五木ひろし) による主題歌『ふたりで竜馬をやろうじゃないか』が流れるワケです。たまらんぜベイビー歯医者さん!



エンドクレジットのタイトルバックでは、木村一八、吉田栄作、西島秀俊、城島茂、七瀬なつみ、ケイン・コスギ、賀集利樹、国広富之ら歴代の若手レギュラーたちが回想されます。若い! 懐かしい!



『〜ファイナル』における若手刑事枠は、村上信五&植草克秀というジャニーズ勢の独占状態でした。良くも悪くも時代を象徴してますね。

「いつか、この景色は変わる。穏やかで平和に満ちた街に……私は信じたい。そして、人々の心も温かい心に。いつか、必ず変わる」



悲観論者の私にそんな明るい未来は想像できないけど、だからこそ、せめてフィクションの世界は希望を持って終わって欲しい。素晴らしい完結編だと思います。完結しないけどw



余談その1。黒河=神田正輝さんの妻に扮した根本りつ子さんは、舘ひろしさんの婚約者を演じた『代表取締役刑事』の最終回で、神田さんに殺されてます。

余談その2。復活スペシャルの1本には、渡辺徹さんも警視庁本部の刑事役でゲスト出演。『太陽にほえろ!』と『必殺』シリーズは切っても切れない縁がある?

セクシーショットは18年間ヒロインを務め、少女から大人への変化を見せてくれた小川範子さんと……



第16シリーズから山手中央署のメンバーとなった五十嵐刑事こと、森ほさちさん。



森さんは元·宝塚歌劇団の花組トップ娘役で、舞台を主戦場とされた女優さんです。


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『はみだし刑事情熱系 最終章』

2024-06-19 07:19:01 | 刑事ドラマ2000年~

テレビ朝日&東映の制作で1996年秋にスタートし、『はぐれ刑事純情派』と交互に放映されてた『はみだし刑事情熱系』シリーズ(毎年上半期がはぐれ刑事、下半期がはみだし刑事)もシーズン8にあたる2004年春シーズンの『〜最終章』第12話をもって完結となりました。

警視庁刑事部の通称“広域”こと広域特別捜査隊に所属する主人公=高見兵吾刑事を演じるのはもちろん、現在も『帰ってきた あぶない刑事』で変わらぬ勇姿を見せてくれてる、柴田恭兵。



“広域”を束ねる捜査課長にして兵吾の元妻=根岸玲子警視に、刑事ドラマのレギュラーは本作が唯一であろう、風吹ジュン。



広域特別捜査隊の最終メンバーは、みんなPART1からの生え抜きである西崎刑事(風間トオル)、杉浦刑事(平泉 成)、工藤刑事(志村東吾)、オペレーターの行沢巡査(加藤麻里)。



PART7からレギュラー入りした警視庁本部の戸倉警部補に『プレイガール2012』の伊藤かずえ。



杉浦刑事の愛娘=幸恵に『太陽にほえろ!2001』の大路恵美。



PART3からセミレギュラー入りして工藤刑事の妻となった、元不良少女の愛子に山口香緒里。



そしてシリーズ通してのヒロインと言える兵吾&玲子の愛娘=根岸みゆき役(PART1からPART5まで前田愛が好演!)をPART6から引き継いだのが『部長刑事シリーズ・シンマイ。』の木内晶子。



『あぶない刑事』の大ヒット以降、刑事たちの私生活はいっさい描かないのが「トレンディ」とされた中、あえてホームドラマ要素に比重を置いたのが『はぐれ刑事純情派』で、しかも主人公=安浦刑事(藤田まこと)と2人の娘たちは血が繋がってない(亡くなった妻の連れ子)というビミョーな関係が見どころの1つになってました。

で、その路線を意図的に継承したかどうかは分からないけど、本作『はみだし刑事情熱系 』の兵吾とみゆきは血の繋がった親子でありながら、みゆきが物心つく前に玲子と離婚した兵吾が姿を消した為、PART1の第1話で十数年ぶりに再会した2人は、互いが父娘であることを知らないまま“親友”関係になってしまう!という、『はぐれ〜』よりも更に捻りが入った設定。

本来なら、別れた元女房が知らない間に出世し、自分の上司となって目の前に現れた!って部分がドラマの“肝”になりそうだけど、それ以上に自分を“親友”と思ってる我が子に、兵吾がいつ「実はオレ、お父さんなんだ」「キミのママとチョメチョメしてキミが生まれたんだ」と打ち明けるのか?が最大の見どころとなり、当初はPART1の第3話あたりで告白する予定が、なんとPART4の初回まで引っ張る結果になっちゃった。



私は『はみだし刑事情熱系 』を『太陽にほえろ!』直系の熱血アクションドラマとして楽しみつつ、一方で「兵吾とみゆきの“ラブストーリー”ありきの面白さ」だとも思ってたから、みゆきが兵吾の呼び名を「兵吾くん」から「お父さん」に変えた時点でドラマが完結しちゃってるような気がして、以降はほとんど観てません。

前田愛さんの海外留学によるみゆき役の交代も痛かった。めちゃくちゃ痛かった。木内晶子さんはその重責を充分に果たされたと思うけど、前田愛さんの比類なき透明感だけは誰にも真似できない。

その穴を埋めるかのように『最終章』では兵吾と玲子の“復縁”をドラマの縦軸にしつつ、殉職刑事である玲子の父親(テキサスこと勝野洋!)のエピソードも語られ、最終的には兵吾が幼い頃に失踪した父親=甲介(中村嘉葎雄)まで登場!



つまり、自分と同じ過ちを犯した父親と向き合うことで兵吾が贖罪を果たすワケだけど、ちょっと無理くり感があるし、そんなトラウマがありながらお前はみゆきを残して去ったのか!?って、兵吾に対して疑問も沸いてきちゃう。



ダース・ベイダーよろしく息子をかばって命を落とす父親、ってなウェッティー展開も私の好みじゃない。「まだ一緒に酒も呑んでねえじゃねえかよっ!!」っていう兵吾の絶叫にはもらい泣きしたけど、それも柴田恭兵さんの熱演があればこそ。

そこよりも、すでに時効が成立してる事件の黒幕を、黙って兵吾に殴らせてやる”広域“メンバーたちの心意気にこそ私は泣きました。

当時すでに『踊る大捜査線』のリアリズムが世間に浸透してましたから、ここで殴ればただじゃ済まないことは誰もが織込み済み。それでも相棒の西崎は、止めることを止めるんでよね。



シリーズ後期は視聴率が落ちたにせよ、単発(復活)スペシャルぐらいなら恭兵さんの人気に頼って創ることも出来たろうに、そうしなかったのは「ここで高見兵吾は刑事を辞めたに違いない」っていう揺るぎない信念が、恭兵さんやスタッフ陣にあったからでしょう。……たぶん。



キーワードは「ただいま」と「お帰りなさい」。杉浦刑事や工藤刑事のファミリーも含め、これほどホームドラマにこだわった刑事物は唯一無二かも知れません。

いや、思い返せば『熱中時代 刑事編』があるし、別れた夫婦の復縁と言えば『警視ーK』もあり、その源流を辿ればやっぱり『太陽にほえろ!』に行き着くような気もします。



なんだかんだ悪口も書いたけど、刑事ドラマの歴史を語る上で『はみだし刑事情熱系』は、同じ放映枠の二大ビッグタイトル『はぐれ刑事純情派』と『相棒』の狭間に隠れて損してる感があり、本来ならもっと評価されて然るべき作品だと私は思ってます。

セクシーショットは木内晶子さんと山口香緒里さんです。



 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『警視庁・捜査一課長スペシャル』2024.4.18

2024-04-20 22:22:19 | 刑事ドラマ2000年~

近年の警察ドラマとしては私が「まったくの例外」と言うほかないハマり方をした、あの『警視庁・捜査一課長』シリーズが(もう終わったと思ってたのに)シレッと単発2時間スペシャルで復活してくれました。

なぜそんなに好きかと言えば、ミステリーだのリアリティーだのはどうでもよく、とにかくコメディーとしてハイセンスだから(と私は思ってるから)。やってること自体はベタかも知れないけど、そこに説明的なツッコミがいっさい入らない。

昨今の主流である舞台演劇的な、あるいはネタ番組的な(要するに子供でも解る)コメディードラマとは根本的に違う。

例えば、大岩捜査一課長(内藤剛志)が難事件の解決に向けてクビを覚悟し、これまでの支援に対する謝意を笹川刑事部長(本田博太郎)に伝えるシリアスな場面。



ほかの番組なら「近いやろ!」ってツッコミを入れる第三者を脇に置くだろうし、もはや古すぎる喩えだけど『踊る大捜査線』ならそこでピタッとBGMを止めて「はい、ここ!」と笑いを強制してくるはず。

対して『警視庁・捜査一課長』はあくまで大真面目にやり通す。実は大岩さんがクビを覚悟するのは毎回のお約束で、もはやそれ自体が天丼ギャグなんだけど「はい、ここ!」っていうサインはいっさい出さない。

バラエティー番組で笑い声(効果音)を後付けしたり裏方スタッフが無理して笑ったり、あるいはテロップで笑いどころを強調したりするのはまぁ、嫌いだけどさすがに慣れました。

しかしそんな手法がテレビドラマや劇場映画にまで浸透し、今や主流になってるのは「ながら見」と「早送り鑑賞」に対応してきた結果なんでしょう。

なのに『警視庁・捜査一課長』だけはその波に乗る気配が全然なく、シュールとも言える笑いは「ながら見」や「早送り鑑賞」が習慣化してる多くの視聴者に見過ごされちゃう。

なにせこの番組のキャストたちは、いっさいコメディー風の演技をしない。笹川刑事部長だけは一時期バカげたコスプレを繰り返してたけど、ご当人も、それを見せられる部下たちもいたって大真面目。

で、そのコスプレにせよ、ゲストキャラの変人ぶりにせよ、1つ1つの小ネタにせよ、ナンセンスに見えて実はストーリー上の意味がちゃんとある。ドラマとしての骨子がしっかり組まれてるからこそ笑いも活きてくる。

とはいえ、好みは(特に笑いに関しては)十人十色。若い頃の私なら「なぜこの面白さを語り合えない!?」ってしつこく力説するだろうけど、もうこれくらいにしときます。


キャストはお馴染みのメンバー(内藤剛志、斉藤由貴、金田明夫、塙 宣之、陽月 華etc)に加えて……



昭和ファッションに身を包んだ昭和カフェの店長で、事件の最有力容疑者となるメインゲストに、朝倉あき。



朝倉さんは2012年に『土曜ワイド劇場』枠で放映された本シリーズ第1作にも事件の鍵を握る少女役で出演されており、約12年ぶりの凱旋出演。

今回、画質が従来のストレートなビデオ調からフィルム調に変更されており、同じテレ朝&東映の老舗仲間である『科捜研の女』シリーズに続いて“仕切り直し”を図った感があり、朝倉さんの再登場もきっと偶然じゃないんでしょう。

そしてフードプロデュース会社社長(橋本さとし)の秘書役で登場したゲストがなんと、インフルエンサーでファッションモデルでタレントの、なえなの。



『セクシー田中さん』にもベリーダンス教室の生徒役でレギュラー出演されてたけど、社長秘書役とは驚きました。

そんな意表を突いたキャスティングも本作の特徴で、ほかにも椿鬼奴、咲妃みゆ、三河悠冴、杉田かおるetcと、個性豊かなゲストの顔ぶれもまた毎回の楽しみです。



セクシーショットはもちろん椿鬼奴さんではなく、朝倉あきさんと、なえなのさん。鬼奴さんもお綺麗なんだけど、このブログの方向性として。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『相棒 season22』#01~#02

2023-10-28 21:21:15 | 刑事ドラマ2000年~

雑誌『昭和40年男』最新号の“バディ”特集をブログで取り上げたのをキッカケに、初めて『傷だらけの天使』をレビューし、その流れから『俺たちの勲章』を起点とするバディスタイルの刑事ドラマを連続レビューして来ました。

その歴史に刻まれた作品たちを並べてみると、けっこう傑作が多いことに気づかされます。


 

バディ物に限定せず「ダブル主演」と謳われた作品も挙げていくとキリが無くなっちゃう。たとえば2011年にテレビ朝日の深夜枠で放映された、あの『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』。



黒木メイサ&多部未華子の組み合わせによる“女性版『俺たちの勲章』”ってな触れ込みにどれだけ期待したことか!

ところが蓋を開けてみたら二人が同じ部署にいるのは最初の2話だけで、あとは最終話までほとんど顔を合わさないという意表を突きまくった構成。それを抜きにしてもツッコミどころ満載のカルト作で、今となってはとても懐かしい!

それはともかくとして、フジテレビの“月9”枠で『東京DOGS』が放映されたのが2009年ですから、’80年代に『あきれた刑事』と『ベイシティ刑事』がコケて以来、このジャンルにはけっこう長い“冬の時代”があったワケです。

そんな中で突如現れ、2002年以降「刑事ドラマの代名詞」の座を独占し続けてるのが『相棒』というテレビ朝日水曜21時枠のお化け番組。今秋、いよいよ“シーズン22”に突入しちゃいました。

アキラ=水谷豊さんの主役回である『傷だらけの天使』#19から始めたバディ特集なので、ラストも水谷豊さんで締めようと思います。



このシリーズに関しては今まで悪口ばっか書いて来たし、全ての刑事ドラマを“刑事がただ突っ立って謎解きするだけの紙芝居”にしちゃったA級戦犯って捉え方を変える気は無いけど、一方で「観ればたいてい面白い」し「とっくに死に体だった刑事物ジャンルをここまで延命させた救世主」だと認めても来ました。

あらゆる理由で’70年代や’80年代みたいな創り方が不可能となった今、どうすれば刑事物がサバイブして行けるかっていう指標を示してくれた番組なのは間違いなく、好き嫌いは置いといてリスペクトするしかありません。



やっぱり実際、観ればたいてい面白いんですよね。前シーズンの1話&2話がそうでもなかったからそろそろ限界か?って思ったけど、今シーズンの1話&2話はしっかり面白かった。

やり手の弁護士である栗山千明さんが、失踪した婚約者の捜索を警視庁“特命係”の杉下右京(水谷 豊)に依頼し、上手く乗せられた右京がバディの亀山(寺脇康文)と共に探っていくと、話はカルト教団が引き起こしたテロ事件へと繋がり、さらに教団の壊滅を企む公安部(引いては政府)の陰謀論へと拡がっていく。

時事ネタを積極的に取り込み、国レベルにまでスケールを拡げるこの作劇スタイルも『相棒』以降の刑事ドラマ群がこぞって真似した筈で、今やすっかり手垢が付いたにも関わらずちゃんと面白いのは、やっぱり凄いと認めざるを得ません。



今回は右京たちがカルト教団の本部に潜入し、脱出するスリラー的要素もあり、実年齢71の水谷さんが格闘アクションまで見せてくれて私は感動しましたよ!

基本的にはインテリジェンスながら荒唐無稽なことも平気でやっちゃう。だから『相棒』は面白いワケだけど、それは“水谷豊が演じればこそ”かも知れません。



やっぱり、今さらだけど、俳優さん個々の力量とその組み合わせが“面白さ”に与える影響は計り知れない。それをつくづく感じました。

水谷さんのバディは寺脇さんが一番しっくり来るし、今回はゲスト=栗山千明さんの持ち味を120%活かした創り手たちの功績もデカい!



刑事役を数多く演じて来られ、このブログにも何回登場されたか判んない栗山千明さんが初回ゲストと知って、満を持してのご登場だなと思う反面、新鮮味は皆無だろうとも私は思ってました。

けど、それは杞憂に終わりました。近年の作品で見せておられる天真爛漫さから、失踪した恋人を想う女性としての憂い、そして最後は……



完全にネタバレだけど、こんな恐ろしさを特殊メイク無しで表現できる女優さんはそうそういない筈。ホラーのジャンルから頭角を表された栗山千明さんの面目躍如です。



それにしてもまぁ、レギュラーキャスト陣の平均年齢が異常に高いw 若いシュッとしたイケメンが1人もいないのがホント素晴らしい!

内閣情報官“社 美彌子”役の仲間由紀恵さんもすっかりベテランの風格だし。



阿部寛さんとバディを組んだ『トリック』からもう23年ですよ! その頃の私はまだ30代前半(ギリギリだけど)。今年もあっという間に残り2ヶ月。言葉が見つかりません。

とにかく、水谷豊さんはやっぱり凄いし、バディ物には傑作が多い。そんな気づきが今回の収穫でした。


 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする