2022年3月に公開されたばかりの、ナボット・パプシャド監督によるフランス&ドイツ&アメリカの合作映画をレンタルDVDで観ました。
暗殺組織に所属する凄腕の殺し屋=サム(カレン・ギラン)がうっかりマフィアの息子を殺してしまい、他のミスも重なってマフィアと自組織の両方から命を狙われる羽目になっちゃう……てなストーリーはキアヌ・リーブスの『ジョン・ウィック』シリーズとよく似てます。
主人公がめっぽう強い女性で、ぶっ殺す相手がアホな男ばっかなのは前回レビューした『シャドウ・イン・クラウド』とも似てる。
さらに、自分が殺した相手の幼い娘(クロエ・コールマン)を連れて逃避行する『グロリア』的展開や、サム・ペキンパー的スローモーション演出、クエンティン・タランティーノ的ポップな画づくりとミュージック等々、古今東西のアクション映画にオマージュを捧げた感じもします。
だから新鮮味に欠けるし詰め込み過ぎの感もあるけど、映画愛がすごく伝わって来るから最後まで心地よく観られます。『シャドウ・イン・クラウド』に負けず劣らずの「おバカ」映画だけどw、私は楽しめました。
身長180センチ(!)のヒロイン=カレン・ギランは何をやってもサマになるし、その母親で元殺し屋のレナ・ヘディ、そして彼女の古い仲間たち=カーラ・グギーノ、アンジェラ・バセット、そしてミッシェル・ヨー!と、出てくる女の人が皆べらぼうに強くてカッコいい!
彼女たちが意外と銃に頼らず、ハンマーなど打撃系の武器を多用するのはガンマニア的に物足りないし、せっかくのミッシェル・ヨーさんがカンフーを使わないのも残念だけど、そのへんが本作のオリジナリティーかつリアリティーとも言えそうです。
白眉は、敵の罠により両腕を麻痺させられたヒロインが、8歳の相棒に協力させて銃を撃ちまくり、二人羽織りで車を運転させながらチェイスする、コントすれすれのアクションシーン。私が大好きなブラック・ジャック&ピノコの名コンビを彷彿させます。
子供が足手まといになるどころか、ヒロインの手足になって活躍する姿は爽快だし、演じるクロエ・コールマンちゃんがまた上手くて、この場面だけでも観る価値充分にあり!
実の母娘と疑似母娘の絆、そして女どうしの友情と、男が入り込む余地は1ミリもありませんw だから恋愛要素も皆無で、男はただ女の人にぶん殴られ、ぶっ殺される為にだけ存在する。最近、そんな映画が増えて来ました。
それが男として不愉快かと言えば全然そんなことなく、むしろ私は大歓迎。男なんて生きものは所詮、種を造るだけのマシーンですよw
いやホントに、本来は女性に仕える為に生まれて来たのに、それがイヤなもんだから腕力を誇示し、戦争を起こしたりするどうしょーもないチンカス生物です。
フェミニズムでもファンタジーでもない。この『ガンパウダー・ミルクシェイク』や『シャドウ・イン・クラウド』で描かれた世界こそがリアル。男なんぞ皆、家にこもってモデルガンでも愛でてりゃいいんです。
そしてカレン・ギラン様のセクシーショットを拝みながらオナニーでもしてなはれ。🤌
2021年に製作された、ロザンヌ・リャン監督によるニュージーランド&アメリカの合作映画をレンタルDVDで観ました。
’10年の『キック・アス』以来、その成長を見守らせてもらってるクロエ・グレース・モレッツちゃんが空軍の女性ソルジャーを演じ、男どものセクハラを受けまくるらしい!との噂を聞けば私が観ないワケありません。
が、その内容は想像してたのと全然違ってましたw だからこそ面白い! もし興味がある方は、何も知らずに観た方が楽しいからこの先は読まないで下さい。
決してコメディーじゃないけど深刻にもならず、男性優位社会を徹底的にコケにしたチョー痛快「おバカ映画」なので、むしろ女性にこそオススメしたい作品です。
1943年、すなわち第二次世界大戦の真っ只中、ニュージーランドからサモアへと向かう爆撃機に、クロエちゃん扮する女性大尉が急きょ乗り込んで来ます。
クロエ大尉は軍の「最高機密」が入った鞄をサモアへ届ける密命を負ってるらしいんだけど、乗組員の男どもは「たかが女」とハナから見下し、定員オーバーだからと彼女を銃座に閉じ込め、無線を通して「今夜、泊まってけよ」とか「死ぬほど抱いてやる!」とか「チュバチュッチュしてチョメチョメしたい!」などと聞くに耐えないセクハラ・ワードを浴びせ続けるのでしたw(実際はもっと下品なワードです)
前半はほぼ、銃座に閉じ込められたクロエちゃんのひとり芝居。無線越しの会話でクロエ大尉がかなり優秀なソルジャーであること、そして鞄の中身が軍にとって……ではなく、実は彼女自身にとって命より大事なものらしいことが、徐々に分かって来ます。
以下、ネタバレになります。
実はクロエ大尉、DV夫から逃れて空軍のイケメン兵士とチョメチョメな仲になり、子供を宿したんだけど、そのイケメンは怖気づいて父親になることを拒否。
誰にも頼れない状況下でクロエちゃんは、軍の指令書を密かに偽造し、DV夫から避難すべく爆撃機に乗り込んだのでした。そう、鞄の中身は生まれて間もない赤ちゃんだった!
で、その爆撃機が嵐に見舞われるは、日本軍の零戦に襲撃されるは、挙句の果てに伝説のグレムリン(凶暴な未確認生物)に破壊されそうになるわで大変なことに!
さんざんデカい口をきいてた男どもはギャーギャー騒ぐだけで何の役にも立たず、クロエちゃんは赤ちゃんを護るために1人で零戦とグレムリンを撃ち落とし、閉じ込められた銃座から空中アクロバットで操縦席へと移動し、制御不能となった爆撃機をなんとか不時着させ……
そして最後はグレムリンを素手でフルボッコしてぶっ殺す!w 母は強しどころの話じゃない!(なにせ元ヒットガールです)
その直前、実は乗組員の1人だったイケメン兵士(赤ちゃんの父親)がクロエちゃんに惚れ直し、ひざまずいてプロポーズするんだけど、そのスキに鞄をグレムリンに奪われて「だから眼ぇ離すな言うたやろボケっ!!」ってw、クロエちゃんに一喝されちゃう。
かくも男どもは徹底的にマヌケな役立たずとして描かれ、最後の最後までクロエちゃんの一人舞台。共同で脚本も手掛けられたロザンヌ・リャン監督は女性ですから、恐らくまだまだ男性優位の映画業界で溜まりに溜まった鬱憤を、ここで思い切り晴らしたる!ってなコンセプトで創られたんでしょう。
いや、男からしたってパワハラやセクハラは不愉快の極みですから、誰が観てもきっとスカッとします。
グレムリンの存在意義がいまいち解んないけどw、これはあくまで寓話だから真に受けて怒んないでねっていう、たぶんエクスキューズなんでしょう。
とにかくひたすらカッコいいクロエちゃんの『キック・アス』以来となる大暴れが観られるだけで価値あり! 「おバカ映画」でもよろしければっていう前提つきで、一応オススメしておきます。
日本では2018年に公開された、ジョン・キャロル・リンチ監督によるアメリカ映画をレンタルDVDで観ました。
メキシコ近くの田舎町に住む「ラッキー」と呼ばれる90歳の男(ハリー・ディーン・スタントン)の、単調な日常が淡々と描かれてますw
この映画を観ながら、私は2つの疑問の答えをずっと考えてました。
まず1つは、なぜ私が、このDVDを宅配レンタルの予約リストに入れたのか?っていう疑問w
以前レンタルしたDVDに収録された予告編を観て予約したんだろうけど、ほとんど老人しか出てこない、この淡々とした映画を、なぜ!?w
たぶん、クリント・イーストウッド御大がよく好んで演じておられる、孤独な偏屈男のキャラクターと同じ匂いを感じ取り、きっと共感できると直感したんでしょう。
それは確かに間違っておらず、お陰でちっとも退屈せずに最後まで楽しめました。
そしてもう1つは、なぜ「ラッキー」っていうタイトルなのか?っていう疑問。
もちろん主人公の名前(あだ名)がそのままタイトルになってるのは分かるけど、ロッキーやランボーとは意味合いが違いますよね?
若いとき海軍にいて、調理係を任されたもんで(一番安全なポジションだから)ラッキーと呼ばれるようになった、っていう設定はあるけど、それはたぶん後付けのもんでしょう。
主人公が並外れて幸運なのか、あるいはその逆であるのを皮肉ってるか、何かしらの意図が無ければこんなタイトルにはしないはず。
さて、その答えは見つかったのか?
結婚歴なしで天涯孤独のラッキーの日常は、同じルーティンの繰り返し。朝起きてまずストレッチし、牛乳を飲んで、歩いて、行きつけの店でクロスワードパズルを解きながら食事して、歩いて、行きつけの店で牛乳やタバコを買い、また歩いて、行きつけの店で酒を飲み、常連客たちと会話する。
タバコはよく吸うんだけど、規則正しい生活と運動が功を奏してか、これまでほとんど医者要らず。ところがある日、ふと意識を失くして倒れちゃう。
幸い大事には至らず、病院での検査結果も「異常なし」で、原因は「加齢によるもの」としか考えられないと医者は言う。
それを境に、ラッキーは初めて「死」を意識するようになります。いつも屁理屈と憎まれ口ばかりのラッキーが元気を無くし、顔なじみの人たちは心配し、それぞれのやり方で励まそうとします。
確かにラッキーは幸運です。ヘビースモーカーなのに90歳まで健康だったし、偏屈者なのに町の人たちに愛されてる。
私が何よりラッキーが幸運だと思うのは、頭が全然ボケてないことです。うちの両親が2人とも認知症で、特に父は坂道を転がり落ちるように幼児化しちゃったもんで、終末期をボケずに過ごせることが如何に素晴らしいか、それに勝る幸運などこの世に無い!って、私は思うワケです。
それを踏まえて思い返すと、ラッキーは毎日クロスワードパズルを解いて、頭の運動も欠かさずやってるんですよね。単に暇つぶしでやってるだけかも知れないけど、間違いなくボケ防止になってるはず。
ストレッチも散歩も牛乳も、町の人たちとの会話も、うちの両親はやってませんでした。つまりラッキーの幸運は、努力とまでは言わないにせよ、日々の積み重ねの結果なんです。
もしかしたらこの映画は、そういうことを言いたかったのかも知れません。「ラッキー」は待ってるだけじゃ来ない。自ら動いて招くもんだよって。
死を意識するようになって元気を無くしたラッキーだけど、ダイナーで見かけた元海兵隊員(トム・スケリット)に話しかけ、彼が太平洋戦争中の沖縄で出逢った日本人少女のエピソードを聞いて、なんとなく吹っ切れた様子。
戦地の真っ只中にいたその少女は、敵兵たちを前にして(つまり死を目前にして)微笑んでたそうで、その姿が神々しいほどに美しかったと元海兵隊員は言います。微笑んだのはたぶん、仏教の悟りじゃないかとも。
その話でなぜラッキーの心が救われたのか、今の私にはピンと来ません。いつか自分が死を意識するようになって、初めて理解できるのかも?
いずれにせよ、弱ってる時にそんな話を聞けたラッキーはやっぱり幸運だし、それもまた自分から話しかけた結果=能動的に引き寄せてるって事ですよね。
たぶん、それがタイトルの意味だろうと私は解釈したけど、全然違うかも知れません。是非、皆さんの感想も聞いてみたいです。
いつか迎える終末期を、自分はどんな風に過ごすんだろうか?って、それだけは間違いなく、誰もが考えさせられる事でしょう。
ボケるのだけはイヤ。絶対イヤ。だからと言って、身体だけ弱っちゃうのもイヤ。そうなる前に地球ごと消滅しちゃうのが、私の偽らざる希望です。
2021年に公開された、エメラルド・フェネル監督&脚本によるアメリカ映画をレンタルDVDで観ました。
誰もが前途有望な若い女性(プロミシング・ヤング・ウーマン)と思ってた医大生のキャシー(キャリー・マリガン)が、世間で「よくある出来事」により未来を見失い、大学を辞めて「復讐」にすべてを捧げる人生を歩んでしまう。
その「よくある出来事」とは、同じ医大生でかけがえない親友だったニーナが、パーティーナイトで酔いつぶれ、男子学生たちにレイプされた事件。
訴訟を起こそうとしたけど「泥酔した女性側にも非あり」との理由で却下され、絶望したニーナは精神を病んだ末に自殺。
それをキャシーは「あのとき自分も一緒に行けば防げたはず」と激しく後悔し、アラサーになった現在も自分を責め続けてるワケです。いっさいセリフでは言及されないけど、もしかするとニーナは同性の恋人だったのかも知れません。
復讐にまで発展するかどうかはともかく、酔った勢いで強引にチョメチョメ……までは行かなくてもセクハラってのは、世間じゃよくある話ですよね? つい最近も話題になりましたね?
私自身は酒が飲めないし、大人数でワイワイ騒ぐことも死ぬほど嫌いだから、そういう現場に立ち会った経験はありません。無くて本当に良かった!
けど、もし自分も酒が飲めて、皆でワイワイってのが嫌いでなければ、もっと早くエッチなことを経験できたのかも?って、思ったりはします。
このブログじゃ「今夜、泊まってけよ」とか「死ぬほど抱いてやる!」とか強気なこと書いてるけど、実際の私は超オクテで初キスも「奪われた」側です。それも、相手の酔った勢いでw
だから、ある程度はそういう場に赴くのも、若い頃は必要かも?とは思います。思うけど、女の子を酔わせて、なし崩しにチョメチョメってのは物凄く卑怯だし、男として格好悪い。醜い。あとで「あの時は酔ってたから」って言い訳するのはもっと醜い。
そう言えば、私がまだ女性と交際経験も無かった20歳の頃、居酒屋で(自分は飲めないのにw)バイトしてて、大学生らしき連中がワイワイ騒いでて、まだピュアそうな女の子が泥酔し、いかにも遊び人っぽい野郎にディープキスされてる現場を目撃して、なんとも言えぬイヤ〜な気分になった思い出があります。
当時の私にとって、女子は手の届かない神聖な存在で、キスなんてまだ夢の夢でしたから、それがあんな場所で、あんな簡単にされてるのが物凄くショックで。
そんな軽いもんなのか!?って。ハリソン・フォードと瓜二つな私を差し置いて、あんなチンカスみたいな野郎に、あんな純情そうな子が易易と!!って。
話がめっちゃ逸れましたw けど、自身にそういう過去が有るか無いかで、この映画の見方がかなり違って来ると思うんですよね。
若い頃……いや、歳を重ねてからでもいいけど、酔った勢いで女性にセクハラしたり、ましてやレイプなんかした覚えのあるチンカス野郎がこの映画を観たら、恐すぎてチンコが「かっぱえびせん」になっちゃいますよ! ざまあ見ろっ!! お陰さまで私はちっとも恐くない!w
監督&脚本のエメラルド・フェネルさんご自身が女性ですから、キャシーの復讐は非常にリアルです。男どもをバッタバッタと蹴散らすようなファンタジーとは違うワケです。(そっちの方が私は好きだけど)
しかも、親友をレイプした当事者たちは最後の楽しみに置いといて、まずは酔いつぶれた女性に寄ってくる下心まる出しの男どもに片っ端から制裁を下していく。自らが泥酔したフリしてオトリになるワケです。
制裁の下し方はケース・バイ・ケースだけど、腕力は使わず、主に精神的に追い詰めていく手法。要は思いっきりトラウマを植え付けてインポにしちゃう。暴力よりよっぽど恐いぞ、ざまあ見ろっ!!
当事者への復讐が完遂するか否かは観てのお楽しみだけど、いずれにせよ死んだニーナは戻って来ませんから、スカッとはしない。
私は特に、キャシーと同居してるご両親があまりに気の毒で、胸が痛みました。だから、100%スカッとしたい方にはオススメ出来ません。
キャシーには同情するけど、共感はしづらい。確かにレイプ犯やその傍観者たちが、のうのうと人生を満喫してるのは許せないけど、だからって、自分の親を悲しませてまで復讐に邁進するのは……
復讐ストーリーはリアルじゃない方がいい。女の子がパンチラしながら大の男どもをバッタバッタと蹴散らしていく、ファンタジーの方が断然いい。
けど、それは私個人の好みに過ぎません。性暴力がどれほど被害者やその身内に深い傷を負わすか、それを学ぶには絶好のテキストになりますから、若い人たち、特に血気盛んなチンカス野郎どもに是非、過ちを犯す前に観せておきたい作品です。きっと、そのために創られたんでしょう。
PS. しかしビッチ風メイクのせいもあるだろうけど、あんなにキュートだったキャリー・マリガンさんの老けっぷりが、ちょっとショック。アラサーには見えない。無論、若けりゃいいってもんじゃないけど……
2021年に公開された、エドガー・ライト監督&脚本によるイギリス映画。これは面白い! ちょー面白い! ホラー映画ファンじゃない方にも是非オススメしたいです。
ところが世間じゃ賛否両論らしく、私が最も信頼してきた映画雑誌『映画秘宝』(残念ながら休刊中) の年間ベストテンでも『マリグナント/凶暴な悪夢』より評価が低い!
と言っても2位『マリグナント』で3位『ラストナイト・イン・ソーホー』だから僅差なんだけど、こっちはワーストテン(7位)にも入っちゃってる。
まぁ確かに、冷静に振り返ればメチャクチャな話ではあるんだけど、その点じゃ『マリグナント』の方がメチャクチャですからね!w
ワーストに票を入れた人たちは、一体なにが気に食わなかったんでしょう? 文句なしで面白いと感じた私との温度差は何なのか? そのへんも考察しつつレビューしたいと思います。(今回は超オススメだから重要なネタバレは控えます)
ファッションデザイナーを目指す18歳の主人公=エロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、ロンドンの繁華街・ソーホーにある専門学校の試験に合格し、田舎町からルンルン気分で上京するんだけど、寮でルームメイトになった女は意地悪グループのリーダーだし、騒がしいパーティーには馴染めないしで初日から意気消沈。
そこでエロイーズは寮生活にさっさと見切りをつけ、格安の下宿先を見つけて独り暮らしを始めちゃう! いいぞ偉いぞエロイーズ!
この時点でもう、私は彼女にばっちり感情移入できたワケだけど、学生時代に多数派グループ(いわゆるカーストの上位)に属してたような人たち、つまり私とは一生解り合えないパーソナルをお持ちの方々は、逆に冷めちゃうのかも知れません。ここがたぶん最初の分岐点。
ちなみにエロイーズ役のトーマシン・マッケンジーは意外とボインちゃんで、そういう意味でも掴みはバッチリ!
で、本筋はここから。エロイーズが引っ越した下宿先の部屋で、いろいろ起きるワケです。
エロイーズにはどうやら、幽霊……というより他者の残留思念みたいなものが見えちゃう、生まれついての特殊能力がある。
ある夜、エロイーズが特に憧れを抱く「’60年代」にその部屋に住んでた、サンディという歌手志望の女の子(アニャ・テイラー=ジョイ)の残留思念とシンクロした彼女は、なんと1965年(私が生まれた年!)のソーホーにタイムリープしちゃう!
そして、時には身も心もサンディと一体化しちゃうエロイーズは、現実世界でも垢抜けてどんどんサンディに近づいていき……
そういう設定が現実に「あり得ない」から没頭できない、なんて言う人もいるかも知れないけど、そんな人はそもそも映画なんか観なけりゃいいと思う。論外だからこのブログも金輪際、読まないで頂きたい。
さて、エロイーズ以上にボインちゃんでお目目パッチリの、まるでプリクラから飛び出たみたいなルックスのサンディは、すぐさま有名ナイトクラブのイケメンマネージャー(マット・スミス)に見初められ、恋にも落ち、スター歌手への階段を一気に駆け上がっていく!……かのように見えたんだけど……
’60年代のロンドンは、そんな甘い世界じゃなかった。いや、ロンドンに限らず、まだ男尊女卑がはびこってた時代の大都市には、普通によくある話だった事でしょう。
歌手デビューするはずが実際はストリップショーのバックダンサーをやらされ、唄いたければ顧客を掴めと脅されたサンディは、何人もの男と……そう、イケメンマネージャーの正体は裏社会のポン引き野郎だった!
だからイケメンなんか信用すんなって、いつも書いてるのに! イケメンは全員、とっとと死ねえーーーっ!!!
で、なんとかサンディを救ってあげたいエロイーズだけど何も出来ず、挙げ句にあのポン引き野郎にサンディが惨殺される現場を目撃してしまう!
せめて、現在もソーホーの街にいるであろう犯人を突き止めようとするエロイーズに、なぜかサンディを「買った」男たちの亡霊が襲いかかり、青春物からタイムリープ物、ロマンス物へと変遷して来た本作も、ここらでいよいよスリラー&ホラーとしての本質を見せるワケです。
歌手を夢見たサンディの末路があまりに悲惨すぎることも、ワーストに票を入れた人たちをモヤモヤさせた要因なのかも知れません。
けど、サンディは、ただ単に悲惨なだけじゃないんですよ! これ以上はネタバレになるから書けないけど、ある意味、前回レビューした『マリグナント』のガブリエルと似たキャラクターかも?
だから私は、むしろ痛快にも感じたし、しかも最後はエロイーズのサクセスストーリーに帰結するしで、めっちゃ気分よく観終えることが出来たワケです。
これはホントに人それぞれ、観る人それぞれの感じ方、考え方で評価が大きく変わる作品。だからこそ余計にオススメしたいです。
1965年のロンドン、あの時代の文化と風俗を存分に味わえる映画っていう、その一点だけでも観る価値大いにアリ! もちろん主役2人のおっぱいも! ボインぼよよ〜んっ!!