
件の同僚Mさんは、あっけなく退職されました。人手不足の現場にとっては痛手ですが、長い目で見れば絶対良かったと思います。
基本的に揉めごとは避ける性格の私が揉めかけたんだから、他の同僚たちとも必ずいざこざを起こすだろうし、利用者さんやその家族さんを怒らせる可能性も高い。
……なんて「施設のためを思えば」みたいな綺麗事を書いてるけど、もちろん本音は「新たなストレスの種が無くなって“やれやれ”」です。
Mさんは私よりキャリアは長くてもデイサービスの経験しか無かったそうで、私のことを見下す以前に“特養”の仕事そのものをナメてたんでしょう。私だってあんな戦場さながらの現場は想像してなかったし。

それでも2年近く、色んなことを乗り越えてよくやって来たもんです。自分でも意外なのは、苦手だったはずの“女性”たちとけっこう上手く……とまでは言わないけど嫌われずに付き合えてること。
Mさんにナメられた件でも「ハリソンさんは優しいから」「若く見えるから」と何人かの女性職員がフォローしてくれたし、母の件に関しては一緒に泣いてくれる人までいました。
同僚には男性も何人かいるけど夜勤にまわることが多いので、最初から「夜勤は(体力的に)ムリです」って言ってある私の周りはほとんど女性ばかり。
ちょっと前までは居心地の悪さを感じてたし、私のことを苦手に思ってそうな女性職員もいたけど、ここ数カ月で私自身が変わった(簡単に言えば前よりポジティブになり機嫌が良くなった)ことで周りの見る眼も変わったように感じてます。

この際だから書きますが、職場では本当にジェントルマンですよ私は! 利用者さんも含めて女性に対して声を荒げたことは一度も無いし、当然「おっぱい見せろ」とか「しゃぶらせろ」なんて口には出さないし、なるだけ意識をおっぱいに向けないよう心掛けてます。
入浴の着脱介助を一緒にやってると、利用者さんを支えるフリして女性職員のおっぱいに肘を当てるぐらい簡単に出来るけど、一度でも実践したら瞬く間に全員から変態認定され、永遠に警戒されることぐらい60年近く生きてりゃよく分かってますから、逆に全神経を集中させておっぱいに肘を当てないよう尽力してます。利用者さんの安全よりも、おっぱいに肘を当てないことが重要なのです。
そんな状況にも慣れてしまい、以前みたいに肌と肌が触れたぐらいじゃ身体の一部がホットホットにならなくなったのは寂しいかぎり。

しかし身体の一部が萎れつつあっても、内面は昨年夏から数カ月で確実に成長したと思ってます。
それは本をたくさん読んで深く考えるという努力(趣味の延長線上とはいえ)の賜物だけど、そのキッカケが「いよいよ母が……」だったことを思うと、やっぱりスピリチュアルの存在を意識せずにいられません。
Mさんの登場&あっと言う間の退場には一体どういう意味があったのか? よく分からないけど、介護(人への奉仕)を職に選ぶ人でも色々いるんだなっていう、当たり前の事実の確認にはなりました。

バンパイア的な同僚は他にもいる(やはり年配女性のKさん)のですが、Mさんと決定的に違うのが「誰に対しても態度が変わらない」ところで、Mさんのお陰でKさん良さを知ることが出来ました。Mさんの登場&退場に意味があるとしたら、そこなのかも知れません。