今年から契約したCS「東映チャンネル」の三本柱は刑事、ヤクザ、そして特撮ヒーローで、毎日が「東映まんがまつり」状態。それも目的の1つでした。
現在のCG特撮じゃ味わえない「手作りの温かみ」が昭和ヒーロー番組の大きな魅力だけど、それともう1つ、子供の頃には気づかなかった「隠し味」とか「裏テーマ」みたいなのを発見する楽しさもあるんですよね。
1973年10月6日に放映された『キカイダー01』第21話は、まさにそういう回。サブタイトルは『吸血の館 美人女子寮の恐怖!! 』、後に『特捜最前線』のメインライターとなる長坂秀佳さんの脚本です。
なにしろ、冒頭からいきなりこんなシーン! 昭和のヒーロー物は基本「こども番組」なのに!
BIG BOSSならぬビッグシャドウ(八名信夫)が率いる大犯罪組織「シャドウ」の狙いは、若い女の子たちの血液なんだけど、いちいちブラウスを剥がしてブラジャー姿にしちゃう、その演出に込められた意図は大人でないと分からない!
キカイダー01ことイチロー(池田駿介)が駆けつけ、1人の女子高生が九死に一生を得るんだけど、翌朝、彼女は学校で吐き気を催し、保健室に運ばれちゃう。
で、たまたま校内にいたヒロインのリエコ(隅田和世)が目撃するんです。女子高生が悪魔の子を出産させられる姿を!
実際には、彼女から採取した血液から敵ロボット「吸血コウモリ」が生まれるワケだけど、だったら彼女を手術台に寝かせる必要が無いし、わざわざ人間(赤ちゃん人形)の姿で生まれて来る必然性もまったく無い!
言うまでもなく完全にレイプの暗喩で、子供には解らないけど親が観たら「おいっ!」ってw、絶対言いますよね。さすが名脚本家!
おまけに赤ちゃん人形が迫って来るビジュアルが絶妙に怖い! これ、もしかしたらハリウッドのホラー映画『チャイルド・プレイ』に影響を与えてるかも?
で、すぐ吸血コウモリに変態するワケだけど、赤ちゃんのままでいる方がよっぽど怖かったw
原典は聖書とかドラキュラなんでしょうけど、レイプや妊娠にまつわる当時の社会問題が反映されてるのかも知れません。
そして悪のヒーロー「ハカイダー」が登場し、女子高生をしつこくレイプ、いや採血しようとします。血液からロボットが生まれる理屈がサッパリ解りませんw
当然ながら正義のヒーローも駆けつけ、あとはバトルになるワケだけど、キカイダーはこのダブルマシン(サイドカー)がとにかくカッコ良かった!
なおもしつこく女子高生をいたぶる吸血コウモリ。子供には解らないエロティシズムがここにある!
もちろんキカイダー怒りの「電磁エンド」であえなく爆死。ハンパない火薬量ですw
というワケでセクシーショットはヒロインのリエコさん。実はアンドロイドであることがもうすぐ(第24話で)明かされ、自ら爆死という結末を迎えます。
演じた隅田和世さんは日活のご出身。だけどポルノ路線に背を向けテレビを主戦場とし、本作のみならず『ダイヤモンド・アイ』の蘭花、『イナズマンF』の大橋あけみ役など、悲劇的な結末を迎える特撮ヒロイン役で知られた女優さんです。