ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『TEAM/警視庁特別犯罪捜査本部』2014

2019-10-05 00:00:25 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2019年の春シーズン、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠で全9話が放映された、テレビ朝日&東映の制作による警察ドラマ。凡庸なタイトルから当たり障りの無い内容を想像してたら、意外とこれが攻めてるんですよね!

小澤征悦さん扮する主人公=佐久晋吾は、警視庁刑事部捜査第一課の「管理官」なんです。つまり『踊る大捜査線』でロト7狂の柳葉敏郎さんが演じた「室井さん」と同じ役職です。

その室井さんがスピンオフ映画で主役になりましたから、管理官がメインになるのは初めてじゃないにしても、珍しい事に変わりはありません。

佐久さんはノンキャリアから出世した設定ではあるんだけど、管理する側の人間が連ドラの主役を務めるのも珍しく、これは『隠蔽捜査』の好評が後押しになったのかも知れません。

それにしても、この佐久さんのキャラクターが凄い! まず、ビジュアルからして異彩を放ってます。画像をご覧ください。つのだじろう先生の漫画(恐怖新聞など)みたいな顔してますw

そしてその顔をピクリとも動かさない無表情ぶりで、いっさい感情を表に出さない。いったい何を考えてるのか、視聴者にも全く知らせてくれない人なんです。

彼が表情を動かすのは、人を利用したり騙したりする時だけ。つまり芝居を打つワケです。同じ警察の仲間でさえ、そうやって掌の上で転がしちゃう。主人公なんですよ?w

「申し訳ありませんが、あなた達は全員、駒です」

↑ これが佐久さんの決め台詞。自分が指揮する捜査員達に対して、最初の挨拶代わりに言い放つ言葉です。

さらに被せて「駒は黙って私の指示に従えば良いのです」とまで言っちゃう。もう一度書きますけど、主人公なんですよ?w

それを聞いた捜査員達がどんな反応を示すかと言えば、そりゃもうカンカンになって怒りますw 上司からそんな言われ方したら、私もカンカンになって怒ると思いますw

しかし、それすらもどうやら、佐久さんは計算してやってるんですよね。彼の言動は全て、事件を解決へと導く為に計算されたものであって、他意は全く無い。言ってみりゃ捜査マシーンです。

上下関係だの縄張りだの組織のメンツだのは一切無視して、出世にも全く興味が無い。そこまでは『隠蔽捜査』の杉本哲太さん=竜崎署長と同じなんだけど、佐久さんには人間味ってヤツが異常なほど備わってないw

軍師としては恐らく竜崎以上の能力を持ってるんだけど、人として共感出来る部分が皆無なもんでw、事件がバッチリ解決しても『隠蔽捜査』みたいにスカッとしない。

こんな主人公は見たこと無いです。素晴らしい!w

果たして最終回に向けて、少しは人間らしい部分を見せてくれるのか? 視聴者がそれまで我慢して観続けられるのか?w 私は是非とも観続けたいと思いました。

佐久管理官と真っ向から対立する捜査一課13係の係長に田辺誠一、かつて同僚だった事から佐久を少しだけ理解してる刑事に渡辺いっけい、どうやら佐久を監視する密命を受けてる管理官付運転手に塚本高史、佐久を駒として使ってる小賢しい刑事部長に西田敏行。

以上が警視庁本部のレギュラーメンバーで、毎回このチームが色んな所轄署に出向いて「特別捜査本部」を立ち上げる。

その度に佐久さんが所轄署員たちに向かって、あの恐怖新聞の顔で「申し訳ありませんが、あなた達は駒です」と言い放ち、全員がカンカンになって怒るのがお約束になってますw

それにしても、見事なほどに女っ気が無い番組です。『隠蔽捜査』には辛うじて青山倫子さんがいたし、竜崎の家族として鈴木砂羽さんや三倉茉奈さんがいたけど、このドラマに女性レギュラーは存在しませんw

なので今回のセクシー画像は、第1話ゲストの三津谷葉子さんです。


☆追記(2014年、最終回放映時の記事)

1本1本のクオリティーは高く、安定して楽しめるドラマでしたが、初回で「うわっ、なんだ? この顔とキャラクターは!?」ってw、驚かされた時のインパクトを、最後まで超える事はありませんでした。

佐久晋吾(小澤征悦)という冷徹な管理官の、人間らしい部分も徐々に見え隠れするようにはなったものの、実体は最後までヴェールに包まれたままでした。

難しいですよね。ホントは人一倍、優しい人なんだって事になれば「安易」「ありがち」「そうするしか無いよね」みたいに言われるし、かと言って冷徹なばかりだと視聴者は離れちゃうだろうし。

ただ1つ、とにかく真実を突き止める事のみに取り憑かれた「捜査バカ」で、自らの出世や組織のしがらみには一切興味が無い人である事だけは、早くからハッキリしてました。

それに、他者の気持ちが解らない人では決してないんですよね。解ってなければ、あんなに思いのまま人を操ることは出来ませんから。

人の気持ちが解り過ぎる(繊細すぎる)からこそ、ああやって常にバリアを張ってないと生きて行けないのかも知れません。

捜査ばかりじゃなく、もうちょっと佐久管理官の内面を掘り下げても良かった気がします。あえて謎のままにするっていうのも有りだとは思うけど、連ドラとしてやや単調になっちゃったのは残念でした。

それは他のキャラクター達にも言える事で、まぁ渡辺いっけいさんは美味しいポジションだったし、西田敏行さんはマイペースで適度に遊んでおられたけどw、田辺誠一さんや塚本高史さんはほとんど見せ場ナシで終わってしまい、なんだか勿体ない気がしました。

西田さんのスケジュールが取れなかったのか、代わりに佐藤浩市さんが同じポジションで出られた回があったけど、別に誰が演じても成立しそうな、ホント代役そのものでしたw 思えば贅沢な番組です。

ある意味、そういう部分で創り手は遊んでおられたのかも知れません。佐久晋呉っていうのは「策士」をもじった名前みたいだし、デン!デーン!っていう太鼓の音で始まる大袈裟なBGMも、私は毎回クスッと笑わずにいられませんでしたw

重厚なコーラスによるテーマ曲も「サクサクサク、サークサクサク♪」ってw、主人公の名前を呼んでるみたいに聞こえたりして、小澤さんの恐怖新聞顔と絶妙なアンサンブルでしたw 創り手のささやかなお遊びだったのか、私の勝手な解釈に過ぎないのか判らないけど、とにかく楽しませて頂きました。

さて、シーズン2はあるんでしょうか? 視聴率を稼げる=女性人気を集められる番組でないのは明らかですからw、難しいですよね。ここまで女性に媚びない番組って、ほんと今どき珍しい。

そういうブレない姿勢が、私は天晴れだと思います。だけどその反面、1人ぐらい女性レギュラーがいても良かったのでは?とも思います。だって、むさ苦しい画像しか載せられないからw
 
 

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