☆第19話『わかれ』(終)
(1975.9.24.OA/脚本=鎌田敏夫/監督=降旗康男)
麻薬密売の罪で服役していた男=竹中(樋浦 勉)が脱獄します。すぐさま犯罪仲間の情婦(吉行和子)から拳銃を調達した竹中の目的は、かつての恋人=千恵(片桐夕子)に復讐すること。
かつて喫茶店に勤めてた千恵は、常連客の五十嵐(中村雅俊)と親しくなり、彼を刑事とは知らず恋に落ちた。五十嵐も千恵に本気で惚れてたんだけど、上司の野上係長(北村和夫)は、千恵から竹中に関する情報が何か得られると踏んで、刑事の身分を隠して千恵と交際するよう五十嵐に命じた。
そして五十嵐と一緒になりたかった千恵は、竹中と手を切る為に彼を警察に売ったのでした。ところが竹中が逮捕されて初めて、彼女は五十嵐が刑事であることを知ってしまう。自分が捜査の為に利用されたと悟り、五十嵐の前から姿を消した千恵は、それから転落の一途。現在は売春バーのホステスとして働いてるのでした。
五十嵐は複雑な思いを抱えながら、中野(松田優作)と二人で千恵をガードするんだけど、当然ながら千恵は協力を拒み、そのせいで竹中にあっさり射殺されてしまう。
自暴自棄になって荒れる五十嵐に、中野は「あの女は竹中に撃たれたかったんだ。お前には関係ないんだよ、ああ?」と言って不器用に励まします。
「お前よう、デカだろうが? ああ? 女撃たれて悔しかったらよう、なんで竹中捕まえようと思わないんだよお前! おお?」
中野のゲキによって何とか発奮する五十嵐ですが、上司の野上係長や山下刑事(早川 保)は追い討ちをかけるように汚い策を講じます。マスコミには千恵がまだ生きていると発表し、竹中を病院に誘きだそうと言うのです。
これは残酷大将=鎌田敏夫さん(脚本)の得意技で、元恋人に対する犯人の「想い」につけこみ、死人を利用して罠にかけるという、まさに残酷大将の名に恥じぬ鬼畜っぷり。『太陽にほえろ!』でも同じ手を使ってました。
で、狙い通りに竹中は病院に現れるんだけど、五十嵐が飛び出して「千恵さんは死んだ! これは罠だよ、逃げろ!」なんて叫んじゃう。それで逃走した竹中が、追って来る中野たちに向けて拳銃を乱射し、あろうことか通りすがりの市民に弾丸が当たってしまう! なんたる不運! なんたる残酷大将!
竹中に手を貸してた例の情婦から、彼の隠れ場所を容赦ない暴力で吐かせた中野は、放心状態の五十嵐を無理やり引っ張って現場に向かい、二人して満身創痍になりながらも遂に逮捕するのでした。
不幸中の幸いで、流れ弾を食らった通行人は軽傷で済んだものの、中野には山奥の警察署への異動、すなわち左遷の辞令が下されます。
そして五十嵐は、辞表を出しました。刑事という仕事を続けて行くには、彼はあまりに優し過ぎたのかも知れません。
中野は恋人(鹿間マリ)との待ち合わせ場所に現れず、五十嵐も自分に想いを寄せてくれた事務員の雪子(坂口良子)に別れを告げ、ホームタウンの横浜を去って行くのでした。
いつも通りにフワ~っと事件を解決してフワ~っと終わった続編『誇りの報酬』('85~'86)とは対照的に、実にハッキリとしたケジメが描かれた『俺たちの勲章』の最終回。'60~'70年代のドラマやアニメは、こうした「挫折の美学」で幕を閉じるのが定番でした。刑事物ならやっぱり転勤、退職、殉職の三択ですよね。
『誇りの報酬』は『俺たちの勲章』の10年後をイメージして企画されたらしいけど、こんな辞め方をした五十嵐がまた刑事に戻るとは到底思えません。優作さんにオファーを断られた時点で「別物」と割りきったんでしょうけど、もし優作さんが引き受けてたら『誇りの報酬』は一体どんなドラマになっていたのか?
まぁ'80年代だし、あの『探偵物語』を経た後だからノリはやっぱり軽いものになったかも知れないけど、最終回だけはシリアスに、中野が殉職するようなケジメが描かれたかも知れません。そうなると後番組『あぶない刑事』ももうちょいシリアスにならざるを得ず、刑事ドラマの歴史は少し違った流れになってたかも?
「if」の話ばかりしても意味ないんだけど、もし優作さんが『誇りの報酬』に出ておられたら、少なくともあんなにフワ~っとしたドラマにはならなかったような気がします。あのフワ~っとした感じって、明らかに雅俊さんの醸し出す空気なんですよね。
で、この『俺たちの勲章』の暗くてシャープな感じは、優作さんの空気。時代背景の違いはもちろん大きいけど、『~勲章』は優作さん、『~報酬』は雅俊さんのカラーに合わせて創られたことが、この2作のテイストを違ったものにした大きな理由の1つ、なのかも知れません。
それにしてもこの最終回、女優陣がやたら豪華です。ゲストは前述の吉行和子さん、片桐夕子さんに加えて『ウルトラマン』のフジ・アキコ隊員こと桜井浩子さん。そしてレギュラーの坂口良子さん、鹿間マリさん、結城美栄子さん。
『俺たちの勲章』はやたら女性の不幸を描きたがるドラマ(たぶん残酷大将の趣味)で、それだけに女優さんのキャスティングにも力が入ってました。
第14話にゲスト出演された五十嵐淳子さんを、優作さんと雅俊さんが奪い合ったっていうのもファンの間じゃ有名な話です。(結果はご存知の通り雅俊さんの勝利で、以降、優作さんとの共演はありませんw)
セクシーショットはメインゲストの片桐夕子さん、当時23歳。日活ロマンポルノから一般作に進出し、成功された女優さんの先駆者で、数多くの作品に出演されてますが、現代劇の連ドラはこの『俺たちの勲章』が処女作だったみたいです。
刑事物へのゲスト出演は他に『はぐれ刑事』『大都会PART II』『大追跡』『大空港』『熱中時代 刑事編』『警視庁殺人課』『特捜最前線』『刑事物語'85』など枚挙に暇なしですが、中でも『太陽にほえろ!』は通算5回の最多出演となりました。
美人なのか不美人なのか、セクシーなのかそうでないのか、見る人によって評価が岐れるかと思いますが、画面で見るよりも実際にお会いした方がずっと色っぽい女性なんじゃないかと、私は勝手に想像してます。
ユキちゃん、アラシと別れるのは寂しいだろうけど、中野さんから厄除けお尻ポンポンされずにすむのは良かったかもw
あはは!自分も尻好きなんで全くもってその通りです("⌒∇⌒")
地元のレンタルビデオ屋(以前は「太陽にほえろ!」などのVHSも置いてありましたが、DVD化などの波によってレンタルは叶わなくなっちゃいました(´;ω;`))に置いてあった数少ない昭和刑事ドラマDVDということで視聴してみましたが、重い話が多かったです。
以前、同じくレンタルで見た実写版「ワイルド7」(「太陽~」やこれと同じく東宝系の国際放映が作ってました)のキャストも出てたし(手塚茂夫、小野進也など)、また18話と最終話では実写ワイルドでスポンサーをしていたMobilが聞き込みのシーンでチラッと出てきたりと、中々楽しい発見もできましたが。
さて次は何をチェックするやら…自分で金貯めて何かDVDでも買おうか…。
乱文失礼いたしました。
pixivの小説とかの方もよろしくお願いします(勝手な宣伝)
もうちょっと展開をスピーディーにした方が石原プロ作品らしくなるとは思ったんですが、レギュラー登場人物どうしの恋愛をネタにするのはファンがとっつき易くて上手いテだと思いました。
その恋愛と事件との絡め方もスムーズで上手いと思いましたし、前述のとおり展開をもっと早くすればそのままドラマに出来そうなくらいのクオリティーだと思います。
ハッピーエンドを良しとするか否かは読者の好み次第かと思いますが、私は好きです。ちょっとサルが二枚目に描かれ過ぎな気はしましたがw それと個人的にはもっとエロ描写があった方が嬉しいのですがw、大都会シリーズの世界観だとこれ位でちょうど良いですよね。
力作、ありがとうございました!
かと思います。この後大都会、金狼までが自分は
優作のピークだったと思います。彼は生き急ぎ過ぎた
もう少し、ゆっくり歩けばあのような早い人生では
なかったのではと、悔やみます。