ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『デカワンコ』#03―1

2018-11-26 00:00:05 | 多部未華子









 
☆FILE.3『新婚ラブラブ作戦』

(2011.1.29.OA/脚本=伴 一彦/演出=国本雅広/音楽=小西康陽&大野克夫)

13係のメンバー達がそれぞれ変装(コスプレ)し、容疑者が現れるのを待ち構える冒頭シーン。『太陽にほえろ!』はじめ、いにしえの刑事ドラマでよく見られた、言わば視聴者サービス的な演出です。

小松原刑事=コマさん(吹越 満)はホットドッグ屋さん、和田刑事=チャンコ(石塚英彦)は清掃員、柳刑事=ヤナさん(大倉孝二)はホームレス、桐島刑事=キリ(手越祐也)は大道芸人(ピエロ)、そして我らが花森一子=ワンコ(多部未華子)はゴスロリ……って、いつも通りの服装やんけーっ!っていうギャグになってるワケですねw

スキあらばヒロインのキャラを笑いに繋げてやろうっていう、何と言いましょうか抜け目の無さ。

更に、手配写真とは全く違った風貌で容疑者が現れたもんだから、刑事たちは誰も気づかない中で、ワンコだけは「匂い」で気づく。

お陰でワンコは手柄を立て、1年先輩のキリがイジケちゃう……それがこの第3話の軸となる(単に捜査を描くだけじゃない)ドラマになって行くワケです。

ワンコに与えられた2つの特徴「ロリータファッション」と「警察犬並みの嗅覚」が、完璧にストーリーに活かされてる。そんな設定を編み出したこと自体が素晴らしいんだけど、それを活かす為にアイデアを搾りに搾った脚本もまた素晴らしい!

オマケに、容疑者に手錠を掛けたのは良いんだけど、そのまま引っ張られて行っちゃうワンコとかw、仲間の刑事たちが海に飛び込んで立ち回りを演じたりと、台詞に頼らず視覚的にも我々を楽しませる工夫を怠らない。この冒頭5分だけで視聴者の心をガッチリつかむ面白さ。

「イエーイ! ナイスプレー!」

1人だけ海に飛び込まなかったワンコは、外野から声援を送るだけw

見事な逮捕劇&スピード解決に上機嫌の門馬係長=ボス(升 毅)は、居酒屋における打ち上げの席で、なぜ犯人を見分けられたのかワンコに尋ねます。

「匂いです」

「ワッハッハ、デカのカンと言いたいのか!」

「いや、だから本当に匂いで判ったんですって!」

この時点でワンコの嗅覚の鋭さを認めてるのは、前回コンビを組んだコマさんと拘置所にいる五十嵐(元)刑事=ガラさん(佐野史郎)だけです。

「冗談は服装だけにしろ!」

「冗談? えっ? えっ? ボスボスボスボスボス! このワンピース可愛くないですか?」

しこたまビールを呑んだワンコは、ただでさえ調子に乗り易い性格に輪を掛けちゃってますw 面白くないキリは隣にいるコマさんに愚痴をこぼします。

「なんか、ムカつくんスけど」

「ああ?」

「なんでアイツが捜査一課にいるんスか? だいたいあの格好ヘンでしょ、冗談過ぎるでしょあんなの! やってられないっスよ、こっちは」

「お前、何様だ?」

「はい?」

「刑事はホシを挙げてナンボ。今日のワンコは立派なデカだ。ワンコ! 今日はデカしたーっ!」

みんな酔っ払ってますからw、キリの愚痴になど耳を貸しません。だけどコマさんの言ってる事は正しいですよね。

「キリさん。クサらないで下さい。キリさんにも、きっとチャンスありますって」

ますます調子に乗ったワンコは、上から目線でキリを慰め、怒りを倍増させるのでしたw

翌朝、ワンコの下宿先(祖父母が営む浅草の駄菓子屋さん)を松田警視総監(伊東四朗)が訪れ、お爺ちゃん(上田耕一)と談笑する姿を見て、二日酔いのワンコ(非番)が驚きます。

ワンコ「総監! お爺ちゃんと知り合いなんですか?」

お爺ちゃん「んー、昔、ちょっとね」

松田総監「恐縮です。さっ…」

なぜか恐縮しながらお爺ちゃんの煙草に火を点ける、天下の警視総監。お爺ちゃん、いったい何者!?

松田総監はコマさんの姪っ子=ありさ(志村玲那)を駄菓子屋さんのアルバイトに雇ってもらうべく連れて来たのでした。なんて親切な警視総監なのでしょうw

志村玲那さんはアミューズ所属のタレント(女優&歌手)で『あっぱれ!さんま大先生』で注目され、同じ新土曜ドラマ枠の『東京全力ガール』や『戦力外捜査官』等にも出演されてます。

さて、ワンコのケータイが鳴り(着信音はもちろん『太陽にほえろ!メインテーマ』)、所轄の鮫洲署に緊急召集がかかります。品川の飲食店が2人組の強盗に襲われ、店員がナイフで刺され死亡したという事件。

ワンコが捜査本部に着いた時には警察犬ミハイルが出動済みで、強盗2人組の内1人が早速ミハイルの活躍により逮捕されます。

「先、越されたぁ~」

ライバルの手柄を悔しがるワンコの仕草が実に可愛くて、萌えますw

最初の2話よりも少し前髪が伸びたせいか、この回の多部ちゃんは格別に可愛く見えます。やっぱりお年頃の女子ですから、若いイケメンとコンビを組む時は肌艶も良く、無意識にフェロモンが出ちゃってるのかも知れません。

「私ね、見えるんですよ」

重村刑事=落としのシゲさん(沢村一樹)は今回、殺された被害者の怨霊が見えると称して被疑者を間接的に脅し、逃亡中の共犯者が誰なのかを吐かせます。

このシゲさんのアホらしい取り調べがまたw、毎回のお楽しみでした。大真面目に演じる沢村さんはバラエティー番組でコントをやらせても一級品で、キャスティング面でも『デカワンコ』はホントに恵まれてました。

かくして13係は共犯者=中村の行方を追う事になり、若手のキリは中村が接触する可能性が一番低いと思われる、離婚した妻子の張り込みを先輩達から押しつけられます。

「ワンコ、キリを頼む」

わざわざキリのコンプレックスをいたぶるような言い方でw、ボスはワンコにキリのサポート(指導?)を命じます。

「キリさん。早く行きましょう」

「俺が面倒見られるワケ?」

事件発生となると人一倍張り切るワンコ=多部ちゃんが、覆面パトカーに乗り込みながら「♪タラタ~タラタ~タラタ~タララタ~ラ~タ~」って『太陽にほえろ!メインテーマ』を口ずさむ姿に、私がどれほど感激した事か、筆舌に尽くし難いですw

中村の元妻子はアパート暮らし。部屋は2階にあって覆面車からじゃよく見えません。

「準備して来ます」

「は? 準備?」

ワンコが準備したのは、ピンク一色に彩られたアパートの部屋。ちょうど元妻子のアパートを見下ろす位置にあり、張り込みにはうってつけです。

「私達は、新婚カップルっていう設定です。ラブラブの」

「ラブラブ?」

この時期のキリは一切ワンコを異性として見てないワケですが、1年後に放映されるお正月スペシャル(パリロケ編)では思いっきり恋愛フラグを立て、ワンコ側が完全スルーしちゃう逆転現象が起こります。男と女は分かんないもんですw

それにしても、僅かな時間でアパートを借り、部屋を飾り付けてお揃いの食器まで調達しちゃったワンコって、嗅覚を抜きにしても実はメチャクチャ優秀な刑事なのかも知れません。

しかし、それだけ揃えるには、結構なお金が掛かってるような気が……

「部屋代として6万8千円? 家具レンタル代として5万3千……なんじゃこりゃあーっ!?」

案の定、経費には特にうるさいボスが目ん玉ひん剥いて激怒しますw 「なんじゃこりゃあーっ!?」が某刑事ドラマのパロディである事は言うまでもありませんw

「ワンコ! マルヒ(容疑者)を逮捕しろ! さもないと給料からさっ引く! いいなっ!?」

「は~い」

どんだけ怒鳴られてもまるで物怖じしないワンコって、ほんとカッコいいですw

愛犬パトラッシュの散歩を装い、張り込み先の町内を探索していたワンコは、同じく犬を散歩中の可愛い少女=涼子(大森絢音)と出逢い、仲良くなります。小学生の女子と並んでも歳の差を全く感じさせないワンコがまた凄いw

涼子の愛犬の名前は「カール」です。

「刑事犬カール? カッコいい~」

警察犬ドラマのヒット作『刑事犬カール』が放映されてたのは’70年代ですから、花森一子も多部ちゃんもまだ生まれてませんw まぁしかし、CS放送等で古い刑事ドラマにハマっちゃう若い世代も、現実に結構おられるみたいです。

ところで、実は涼子こそが逃亡者=中村の一人娘なのでした。ワンコはそうと知らずに彼女と仲良くなったワケですが、お陰で翌日が涼子の誕生日であり、中村がプレゼントを渡しに現れる可能性が高い事まで突き止めちゃいました。

目立たない深夜に現れる可能性も高いって事で、徹夜で張り込むキリの横で、ワンコはイビキかいて爆睡するのでしたw

若い男女が、狭くて暗い部屋の中で2人きり。過ちが起きない方が不自然ってもんだけど、ワンコが相手だと何も起きなくても違和感がありませんw

これはしかし、多部ちゃんがフェロモンをいっさい封印した演技をしてるからこそ、なんだろうと思います。そこがまた女優・多部未華子の凄さです。

ワンコの鼻をつまんで無理やり起こしたキリは、張り込みを交代してコンビニへ。そして夜食の肉まんを買って来るんだけど、ワンコが異変に気づきます。

肉まんの匂いがヘンだと主張するワンコですが、彼女の嗅覚をまだ信じてない(信じようとしない)キリは、忠告を無視して丸ごと食べちゃいます。

「あ~あ、お腹痛くなっても知りませんよ~」

翌朝、キリは激しい下痢を患いw、1分おきにトイレに駆け込む醜態を晒します。演じる手越祐也くんはジャニーズ(NEWS)のアイドルですw

だけど私は、お尻を手で押さえながらトイレに駆け込む桐島刑事という、超ぶざまな姿を熱演する手越くんを見て以来、彼に一目置くようになりましたw

手越くんがあくまで真剣に演じてるのが良いですよね。ウケを狙ってる感じが少しでも見えたら、こういう場面は寒くなっちゃう。

さて、朝の散歩で再び涼子に接近したワンコは、彼女から大人の化粧品の匂いを嗅ぎ取ります。それはすなわち、涼子のママ=中村の元妻が元夫に会いに行こうとしてる証拠かも知れません。

その推理は的中し、ママを尾行したワンコ&キリはいよいよ中村を発見します。やはり涼子へのプレゼントを届けに来たのでした。

緊張が高まり、キリの下痢はますます悪化しますw

「大丈夫ですか? やっぱり、応援呼んだ方が……」

「いい! 俺が逮捕する」

キリは自分が手柄を立て、ワンコより優秀な刑事である事を証明したくて躍起になってる様子。ワンコにそんな意識は毛頭無いのですが……(ワンコのライバルはミハイルだけw)

「……でも、涼子ちゃんのパパなんですよね」

「だから何だよ?」

「涼子ちゃん、かわいそう」

「デカが可哀想なんて言うな」

「でも……」

「じゃあ逮捕しないのか?」

「いえ」

キリはカップルを装って中村に近づくべく、ワンコの腕を自分の腕に絡ませます。この時のワンコの照れ方が絶品で、多部ちゃんの演技力につくづく惚れちゃいます。

「照れてる場合じゃねえだろ! 行くぞ」

かくしてワンコ&キリは、元妻と密会中の中村に近づいて行きます。何だか頼りない若手コンビ(しかも下痢w)ですが、果たして無事に中村を逮捕出来るのか……!?

(つづく)
 

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