2020年3月現在公開中のアメリカ映画。我らがハリソン・フォードが単独で看板を張られた映画の公開は2008年の『インディ・ジョーンズ/クリスタルスカルの王国』以来12年ぶり!とあって、ウィルスの恐怖にもめげず観に行って参りました。
ディズニー映画みたいに宣伝されてますが、製作はまだ名前に「フォックス」が付いてた頃の20世紀スタジオで、その会社が昨年からディズニー傘下になった結果のディズニー配給かと思われます。
まずは公式映画サイトに掲載された紹介文から一部抜粋させて頂きます。
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「ハリソン・フォードが主演を務め、アメリカの文豪ジャック・ロンドンが1903年に発表し、過去にも映画化されたことのある名作冒険小説を新たに映画化。
地上最後の秘境アラスカで地図にない土地を目指し、ひとり旅する男ソーントンが、犬ぞりの先導犬としてアラスカにやってきた犬のバックと出会う。やがてソーントンとバックの間には友情が生まれ、かけがえのない相棒となっていく。
『スター・ウォーズ』シリーズなどで数々のカリスマ的ヒーローを演じてきたフォードが、主人公ソーントンに扮した。監督は『リロ&スティッチ』『ヒックとドラゴン』といったアニメーション映画で言葉の壁を越えた友情を描いてきたクリス・サンダース」
↑ 以上の解説文だけ読むと、まるでハリソンの新たな冒険ヒーローシリーズが始まるみたいに感じるけど、実際は全然違います。主役はあくまで犬のバックであり、その相棒がハリソン。バックがハン・ソロでハリソンはチューバッカなんですw
ハリソン扮するジョン・ソーントンは冒険家でもなんでもなく、愛する息子を病気で失い、それがきっかけで妻とも別れてしまった孤独な老人。
ゴールドラッシュに沸く19世紀末(黄金狂時代)のカナダが舞台で、ソーントンは別に一攫千金を狙ってるワケじゃなく、息子が生前に夢見てた未開の地への探検を、そり犬のバックと出逢ったことをきっかけに実行してやろうと思い立っただけ。具体的には言わないけど、たぶん死に場所を求めてる。
そんなソーントンの冒険が描かれるのはストーリーの後半で、前半は大富豪の呑気な飼い犬だったバックが悪徳商人に誘拐されて売り飛ばされ、そり犬としてこき使われてる内に少しずつ、野性の本能に目覚めていく過程が描かれます。
ハリソンがほとんど登場しない前半のストーリーが、果たして犬が主役で成立するの?って思われるでしょうが、これが成立するんです。なぜなら、このバックという犬が人間以上の演技をして見せるから。
実はこのバック、全編CGで描かれてるんですよね。バックだけじゃなく、登場するほとんどの動物も、そして恐らく背景も大半がCG。だからアニメーション畑の人が監督されてるワケです。
最初はやっぱり違和感があります。めちゃくちゃあります。あまりに表情が豊かすぎて、言葉は喋らないのに犬が何を考えてるのか全て理解できちゃう。それが正直言って気持ち悪いw
でも、それは観てる内に慣れていきます。動物映画の新しい手法として「こんなことも出来るようになったのか」と受け入れさえすれば、普通に楽しめるかと思います。
私はとにかく、すっかり脇に回ることが多くなったハリソンの演技を、久々にじっくり観られただけで充分嬉しいし、犬=CGと絡むハリソン・フォードっていう構図も新鮮で楽しめました。
でも、作品として好きかどうかと問われれば、私は下手でもいいからホンモノの犬の演技が観たいです、って答えるしかありません。犬があんなに表情豊かで、カメラ位置を完璧に把握して動くのって、やっぱどう見ても不自然です。
それはたぶん、私が大人で、ホンモノの犬にそんなことが出来るワケないって知ってるから感じる不自然さなんですよね。幼い子供たちはそれを知らないし、逆にCGには慣れてるでしょうから、純粋に楽しめるだろうと思います。
創り手たちもそこを意識して創った筈で、ディズニージャパンはもっと幼年層にアピールできる宣伝をすべきでした。坂上忍のペット愛なんかどーでもええねんっ!(ハイパー激怒。あのCMは本当に酷い)
唐突に怒ったついでに言わせてもらうと、パンフレットを買おうとしたら『野性の呼び声』のパンフは制作されてませんと来た。はあ? 私はハリソン・フォード出演作はほとんど劇場で鑑賞しており、パンフレットも全部買ってコレクションしてますから、無いと困るんですけど?
確かに本作はチラシを見た時から「まずヒットはしないだろう」とは思ってました。だからパンフの需要も少ないだろうと配給側が判断したんでしょう。
だけど、それでもわざわざ足を運んで、安くない交通費と入場料を払って、ウィルス感染のリスクまで背負って観に来てる観客が何人もいるんですよ! ちょっとぐらいやる気を見せてくれんかね? 映画を創った人たちに対しても失礼でしょう?
ディズニー傘下になる前の20世紀(FOX)スタジオ作品、つまりウチらが創った映画じゃないからって事なんでしょうか? それとも不景気がいよいよ深刻化してパンフを作る余裕すら無くなった?(もしかしてウィルス問題で客足が鈍ると判断してのこと?)
なんにせよ、パンフレットが無いのは残念にも程があります。やってられません。
だけど作品に罪はありません。小さいお子さんをお持ちの方には安心してオススメ出来る映画です。ハリソンも相変わらず上手いし魅力的です。ただいま上映中です!
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