1975年の9月から翌年2月まで、フジテレビ系列の土曜夜10時枠で全26話が放映された、フジテレビ&東映の制作による刑事ドラマ。藤原審爾さんの同名小説が原作になってます。
新宿角筈警察署・捜査課の仙田班に所属する中堅刑事=根来(北大路欣也)を中心に、結城(藤 竜也)、山辺(財津一郎)、戸田(三島史郎)、伊東(司 千四郎)、徳田(花沢徳衛)、そして主任の仙田(小池朝雄)ら個性豊かな刑事たちの捜査と私生活が渋いタッチで描かれます。
『太陽にほえろ!』と同じ新宿を舞台にしながら、刑事たちを決してヒロイックには描いておらず、オープニングタイトルの人物紹介ショットでは藤竜也さんがアクビをし、財津一郎さんはうどんをすすり、ボス役の小池朝雄さんに至ってはニヤニヤしながらパチンコを打つというw、生々しい人間臭さが異色で新鮮にも感じます。
現在ほどじゃないけどリアリティーが重視され、拳銃に関しては『太陽~』以上に扱いが厳しく、主役の刑事が威嚇射撃しただけで厳重注意を受けたり、犯人を撃とうものならマスコミから袋叩きにされちゃうという、これが西部警察の刑事さんなら仕事にならない世界観でw、後の『ジャングル』をもっとシリアスにしたような内容。だから視聴率は取れなかっただろうと思いますw
けど決して地味なドラマでもなく、第2話における凄腕の殺し屋(山本昌平)と根来刑事の地下水道を舞台にした死闘など、そんじょそこらのアクション映画にも負けないハードな描写も随所に見られます。
そして何と言っても若き北大路欣也さん。カミソリみたいに鋭い眼つきと機敏な身のこなしは、近年の重厚かつ温厚なイメージの北大路さんとはまるで別人。当時の渡哲也さんや松田優作さん等を凌ぎかねない迫力があります。
北大路さんがテレビの刑事物で主役を張られるのは、2時間ドラマの『さすらい署長 風間昭平』シリーズを除けば2019年冬シーズンの『記憶捜査/新宿東署事件ファイル』まで他に例がなく、それだけでも一見の価値があります。
根来刑事は美人の妹=戸志子(多岐川裕美)とアパートで同居しており、日本の刑事ドラマでやたらよく見られる兄妹二人暮らし設定の、もしかするとこれが元祖かも知れません。まだ新人だった多岐川裕美さんが初々しくて、萌えますw
さらに注目すべきは藤竜也さんで、テレビにおける本格的な刑事役は恐らく本作が初めて。当時の極めてニヒルなイメージと、後年のやたら熱い(暑苦しいw)刑事役のイメージが入り交じった結城刑事のキャラクターが面白いです。愛用の米軍風グリーンジャケットは後に『踊る大捜査線』('97) で織田裕二さんが真似(?)することになります。
そして九州訛り丸出しの財津一郎さん、何があっても常に穏やかな花沢徳衛さん、パチンコを打つ小池朝雄さん等w、やたら眉間にシワを寄せて大声出せばそれらしく見えるだろうっていう、ステレオタイプな刑事芝居とは一味も二味も違う、名優たちによるユニークな役作りも見所かと思います。
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