今はとにかく毎日ヘロヘロで、ブログ執筆への意欲はあってもエネルギーが湧いてこない。
だから前回の『ダーティハリー4』に続いて「1980年代に私を夢中にさせてくれたアクションムービー」のレビューをシリーズ化し、元気を貰うしかありません。(ただし膨大な時間と手間がかかるので、日記などは途中に挟んでいくつもり)
実際、ハリウッド映画が最も元気で、我らがニッポンも経済的な頂点に向かってた時期で、何より私自身が10代後半〜20代前半で青春ド真ん中だったのが’80年代。
当時に戻りたいとは思わないし、文化的には’70年代の方が好きだけど、弱ってるときに観たくなるのはヒーローが悪党どもを片っ端からぶっ殺す、カラッとした’80年代のアクションムービー。
1984年に公開された『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』は、もはや説明不要でしょう。『アメリカン・グラフィティ』『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカス氏が製作総指揮者として、『ジョーズ』『未知との遭遇』のスティーブン・スピルバーグ氏が監督としてタッグを組んだウルトラ・ヒットシリーズの第2弾。
そしてこれは、’80年代前半で私を最も夢中にさせ、いよいよ本格的にハリソン・フォード信者たらしめた記念碑的な作品でもあります。
私だけじゃなく、日本でこのシリーズを本格的にメジャー化させたのも本作だと思います。第1弾『レイダース/失われたアーク』(’81) は日本公開時、映画マニアには熱狂的に迎えられたものの、それ以外のマジョリティにはさほど認知されず大ヒットとまではいかなかった。
それがレンタルビデオやセルビデオ(たしか千円台で発売された業界初のブロックバスターVHSが『レイダース』でした)の普及とテレビ放映でじわじわとファンを増やし、満を持しての続編公開で大ヒット!っていうパターンが定着するのも’80年代。それまでの「二匹目のドジョウ狙い」と違って続編の質も向上しましたよね。
『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』を皮切りに『スーパーマン II/冒険篇』『マッドマックス2』『エイリアン2』『ハスラー2』『リーサル・ウェポン2』『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』等々、1作目に引けを取らないどころか凌駕しちゃう出来映えの『2』が’80年代は目白押しで、シリーズ物に対する我々の偏見をみごと払拭してくれました。
1935年、上海の高級クラブ「オビ・ワン」におけるディナーショーで華やかに幕を開けた本作は、全編アジアが舞台になってる(つまりナチスやソ連が一切絡まない)点といい、良くも悪くも演出が過剰な点といい、シリーズ中ではちょっと異色で「番外編」っぽい存在。
大ヒットしながら批評家たちには叩かれまくった点でも異色なんですよね。めっぽう面白くて私は大好きな作品だし、今となっては再評価もされてるけど、まあ叩かれても仕方ない要素は確かにある。該当するシーンの画像は載せづらいですからw
それはともかく、タキシード姿で登場する我らがヒーロー、インディアナ・ジョーンズ=ハリソン・フォードがすこぶるカッコいい!
もちろんハン・ソロに扮した『スター・ウォーズ』(’77) の時からずっとカッコいいけど、ここでまた一皮剥けたというか、スターとしてのオーラがいよいよ爆発したように私は感じました。
で、さっそく満洲系ギャング団相手に秘宝「ヌルハチ」を巡る争奪戦が始まり、スピルバーグ監督が残酷大将ぶりを遺憾なく発揮!
さらにアクションに次ぐアクション!
ワケあって歌姫のウィリー・スコット(ケイト・キャプショー)を伴ってクラブを脱出したインディを、相棒のショートラウンド(キー・ホイ・クァン)が出迎えます。
のちにケイト・キャプショーはスピルバーグ夫人となり、キー・ホイ・クァンは『グーニーズ』(’85) 出演を経ていったん裏方に回るも、アカデミー賞で主要7部門に輝く『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(’22) で俳優復帰し、プレミア上映イベントでハリソンと感動の再会を果たすことになります。
閑話休題、アクションは尚も続く。夜の繁華街を舞台にカーチェイス&銃撃戦を繰り広げ……
なんとか飛行場に辿り着いたインディらは、パイロットがギャングに買収されてるとも知らず「ドヤ顔」で飛行機に乗り込んじゃう。
そしてお馴染みのコスチュームに着替え、ようやく一息ついたのも束の間。
飛行機が国境を越え、ヒマラヤ上空に入ったあたりでパイロットたちが脱出!
もちろん燃料もパラシュートも無く、墜落必至の状況下でインディが選んだのは、ゴムボートに乗ってスカイダイビングという一か八かの賭け。
なんとか着地したものの雪山を猛スピードで滑降したゴムボートは、さらに断崖から川へと落下し、急流下りを経てインドの山村へと辿り着く。
上映開始から約20分間、まさにノンストップ!
『007』シリーズのスタイルを真似たとはいえ、これほどのスピード&スケールで描かれたアクションシークエンスは前代未聞。“ジェットコースター・ムービー”という新しいジャンルの誕生を映画館で目撃し、私はメチャクチャ興奮しました。
と同時に、冒頭からラストまで絶え間なく手に汗握り続けた結果、クタクタに疲れたのも事実で、そこんとこも批評家のエサになったかも知れません。
さて、辿り着いた村の人々に“救世主”と思い込まれたインディは、邪教集団に奪われた神秘の石「サンカラ・ストーン」と、拉致されてしまった大勢の子供たちを奪還して欲しいと懇願されます。
守護神と未来への希望を同時に失い、失意のどん底にいる村人たちを見捨てられないインディは、「やめた方がいい」というウィリーとショートラウンドの忠告をスルーし、邪教集団の巣窟と化したパンコット宮殿へと向かうのでした。
表向きは平和で煌びやかな宮殿で、インディたちはマハラジャの歓待を受けるんだけど、ここで最も批判の的となった“悪趣味”シーンが登場!
おもてなしのご馳走がヘビや昆虫、挙げ句にデザートが猿の脳みそという悪ノリぶりで、当時は笑ったけど今観ると「東洋人差別」と受け取れなくもない。
それでゲンナリしちゃったウィリーの部屋に、インディが果物を差し入れに来てチョメチョメムードになるも、互いのプライドが邪魔した結果ノー・チョメチョメ。
『スター・ウォーズ』のハン・ソロ&レイア姫を彷彿させる、ちょっと子供じみたロマンスが似合うのも俳優ハリソン・フォードの強みで、イーストウッドやスタローンだとたぶん成立しない。インディアナ・ジョーンズ役がハリソン以外には考えられない、最大のポイントもここにある気がします。
さて、ひと息ついたのも本当に束の間。自分の部屋に戻ったインディはさっそく刺客に襲われ、この宮殿に何かが隠されてることを確信。
そいつをぶっ殺し、慌ててウィリーの部屋に駆けつけたら……
「Oh~, Indy…♡」
やっぱり私が欲しいのね♡と呑気かつヤル気まんまんなウィリーに、日本の映画館じゃ珍しく爆笑が起きたのをはっきり憶えてます。
1作目で大刀を振り回す敵と対峙したインディが、面倒臭くなって即射殺しちゃうシーンとか、ヌンチャクかと思いきや実は組み立て式ハンガーだった!ってなシーンも場内バカウケ(死語?)でした。
そういう“ベタな笑い”も本シリーズの特長で、監督が交代しちゃった第5作『運命のダイヤル』にはそれが無くて寂しかったです。ルーカスが身を引いた『スター・ウォーズ』の新シリーズも然りで、スピルバーグ&ルーカス最大の共通点が笑いのセンスなんですよね、きっと。
さあ、ここから先は休憩なし。ラストまで本当にノンストップです。
1作目の“蛇の大群”に続いて今回登場したのが“虫の大群”。もちろんCGが無い時代ゆえ全部ホンモノ。昆虫嫌いの人には耐えられない映像で、残酷大将は批評家たちに喧嘩売ってますよねw
3作目はネズミ、4作目はCGの軍隊アリ、そして5作目は……何だったか忘れちゃう程度のもんで、グロ描写のインパクトでも『魔宮の伝説』はずば抜けてます。
さらにお約束のデストラップ! 串刺し寸前で何とか食い止めるも、間髪入れずにウィリーが再起動させちゃう畳みかけで場内また爆笑!
単にベタなだけじゃなく、緊張と緩和の落差で笑わせるのがスピルバーグ監督は抜群に上手い。この人に演出を委ねたルーカス御大も、あえてベタな笑いを控えた5作目のマンゴールド監督も、直感的に「真似できない」と悟ったんでしょう。
トラップ満載の隠し通路をくぐり抜け、地下の採掘場に辿り着いたインディ、ウィリー、ショートラウンドは、そこで邪神“カーリー”に生贄を捧げるクレイジーな儀式を目撃しちゃう。
拉致された村の子供たちは、全部で5個あるサンカラストーンの残り2個を発掘する過酷な労働を強いられ、逆らえば生贄としてマグマに沈められていた!
この辺りのダークさ、残酷さも批判の的にされたらしいけど、これは絶対に必要でしょう! さっき書いたとおり“緊張”があればこそ笑いもアクションも活きてくるワケで。
儀式が終わったあと、村から奪われた3つのサンカラストーンをこっそり回収するインディ。だけど、洞窟の奥から聞こえてきた子供たちの悲鳴で足が止まっちゃう。
そして捕まったインディは、邪神カーリーの血を呑まされ、洗脳されて敵の手先となり、なんと乳首を見せびらかしながらウィリーを生贄に捧げようとする!
最近のインタビューでハリソンは、俳優の仕事とは「カメラの前でアホを晒すことさ」と自虐的な発言をしてたけど、それはこの場面を指してるのかも知れませんw
↑
ハリソン・フォード史上、最もアホな顔してますw この展開は「ショッカー」の「世界征服」を彷彿させて、私もさすがに気恥ずかしかった。
けれど相棒ショートラウンドの大活躍により、なんとか正気を取り戻したインディは、バーベキュー寸前のウィリーも取り戻します。
もう許さん!💢
ハリー・キャラハンの次に逆光がよく似合う、我らがヒーロー=インディアナ・ジョーンズ!
奴隷にされてた子供たちを解放し、シリーズ中で最も激しい立ち回りを見せるインディ! (ハリソン・フォード史上においても一番でしょう)
そしていよいよ、『魔宮の伝説』と聞けば誰もが真っ先に思い出す、あのチェイスシーンに突入!
パソコンやスマホの小さい画面、それも静止画像じゃ100分の1も迫力が伝わらないけど、あらゆる乗り物がチェイスに使われた本シリーズの中でも一番小さくてコントロールが利かない「トロッコ」によるノンストップバトル!
まさに文字通りのジェットコースター! そりゃ観終わったあとクタクタになっちゃうワケです。それを全部アナログ特撮で創り上げた’80年代ルーカスフィルムの底力!
さらに水攻めから逃れてのクリフハンガー!(“崖からぶら下がる”の意)
CGで何でもリアルに表現できる現在の眼で見れば稚拙な合成かも知れないけど、こっちの方が断然いいと私は思う。この手作り感こそ真の“ムービー”ですよ!
同じスピルバーグ監督が『ジュラシック・パーク』(’93) で切り拓いたCGの時代も私はそれなりに楽しんで来たけれど、何でも映像に出来ることが当たり前となり、サプライズがすっかり消え失せた現在の映画に、私の興味もまた消え失せつつあります。
映画はやっぱり’80年代が最高!
さて、クライマックス。人食いワニの大群がウヨウヨ待ち構える通称“水曜スペシャル川”を見下ろす吊り橋で、挟み打ちにされたインディは仕方なく、敵から奪った大刀でロープを真っ二つに分断!
再びクリフハンガー状態となり、ラスボスの司祭=モラ・ラム(アムリーシュ・プリー)とサンカラストーンを奪い合うインディ。
と、その時!
村人たちを救いにきたインディに手を貸すかのようにサンカラストーンが炎を発し、それを掴もうとしたモラ・ラムは「あーちっち、あっち!!」と叫びながら数百メートルの断崖を落下、自らワニの生贄となるのでした。
「やっぱり戻って来よったわい」と、村の長老がインディたちを出迎えます。もちろん、戻って来たのは神秘の石だけじゃなく、村の希望そのものである子供たちも!
ホンモノの親子たちに演じさせたであろう再会シーンには、その家族の背景がまったく描かれてないにも関わらずグッと来ます。こればっかりは説明不要なんですね。
いや〜、面白い。何度観ても面白い! 実際、数え切れないほどの回数観てるけど全然飽きません。
やっぱり’80年代アクション最高! ハリソンもスピルバーグもルーカスも、音楽のジョン・ウィリアムズもみんな最高! お陰でまた元気が出て来ました。さて、次はどの作品をレビューしましょうか?
「レイダース/失われたアーク<聖櫃>」
「インディー・ジョーンズ/魔宮の伝説」
「インディー・ジョーンズ/最後の聖戦」
「インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」
までを、NHKBSが8月から放送しておりました。私はそれを全部録画したのです。もう映像ライブラリーに持っているのに!不思議なことに何度も録画したくなるんですよね、このシリーズは。
そんなわけで、「インディー・ジョーンズと運命のダイアル」の放送日を楽しみに待っている今日この頃です。
改めてもう一度。本当におつかれさまでした!大変なのは重々承知しておりますが、次のレビューを楽しみにしております。ええ、いつになってもかまいませんとも、読ませていただけるなら。ハリソン君のレビューを読んでから映画を観ると、より面白く観ることが出来るので。
明日の休日、「魔宮の伝説」、観ようと思います。
いや、本来はサラッとやるつもりだったのに、この映画は全編が見せ場(載せた画像70枚!)である上、なにせハリソン・フォード信者ゆえ作品を愛し過ぎて、ついつい色々語って長くなっちゃいました。
本文には書きませんでしたが、このシリーズにはアメリカの「時代劇」としての面白さもあり、そこにgonbeさんを惹きつけるポイントがあるような気がします。『運命のダイヤル』の時代には我々も生まれてるし!