私が先か、母が先か不明だけど、先週から風邪の症状が。鼻水と軽い咳だけで発熱は無く、普通の風邪だと思うけど母のショートステイは中止となり、今週はずっと自宅介護。
そしたら昨日、強烈な頭痛と吐き気に見舞われ、飲み薬は吐いちゃうから座薬で痛みを誤魔化しながら、母の世話以外はひたすら寝てました。
痛みはある程度誤魔化せるけど、吐き気だけは止めようがないから熟睡出来るはずもなく、ただじっとしてるのもなかなかの地獄。
2年前にもほぼ同じ症状が出て、病院に駆け込んだけど原因は不明のまま。その時は半日で治まったけど、今回は丸1日飲まず食わずで苦しむ羽目になりました。
今朝、やっと吐き気が治まったので軽い食事をし、風呂に入ったらそのあと微熱が出てしまい、色々予定が入ってたのを全てキャンセルし、念の為PCR検査を受けることに。
あれは発熱から24時間経たないと検査しても精確な結果が出ないらしく、明日それを受けて月曜に出るらしい結果を待つしかありません。
しかし、頭痛に関してはちゃんと治療を受けなきゃいかんと思いました。元より頭痛持ちだったけど昨年あたりから頻度がグンと上がり、市販の頭痛薬が効きにくくなってる。
実にタイムリーなことに昨夜、NHKの番組で頭痛を取り上げてて、治療に行くべき条件を私は完全に満たしてるようなので、腎臓結石と平行してこの機会に改善しようと決めました。
しんどいけど、このタイミングで本当に良かったです。もし、三重県、奈良県、大阪府にお住まいの方で、オススメの頭痛専門医を御存知の方がおられたら、情報お願いします。近鉄沿線ならベストです。
昨日はスマホの画面を見るのも苦痛だったけど、今日はこうして記事を書けてるし、とりあえず回復してるみたいです。
売出しに失敗したロッキー(木之元 亮)とスニーカー(山下真司)の反省を踏まえて、大々的にプッシュされたラガー(渡辺 徹)はみごとブレイクに成功!……なんてことを再三、これまで書いて来ました。
確かに、今回も2週続けての主演作ですから、優遇されてたのは間違いない。
けど、渡辺徹さんが当時アイドルとして一気にブレイクされたのは、その売出し戦略のお陰だけじゃないってことが、この第478話をあらためて観るとよく解ります。
今後、何度となく制作されていく「ラガーの失恋ストーリー」の第1弾なワケだけど、なぜ、そうしてシリーズ化されることになったのか?
それは渡辺徹さんが、抜群にそういう演技がお上手だから!なんですよね、きっと。
ロッキーとスニーカーは、致命的にロマンス芝居が出来てなかったというか、そういうガラじゃなかった。ゆえに失恋ストーリーも創られにくかった。
ここで女性人気が爆発するかしないかの運命が、ハッキリ岐かれたんじゃないでしょうか?
ボン(宮内 淳)も上手かったけど、ラガーはその上をいってる。さすがに別格のマカロニ(萩原健一)を除けば、歴代ピカイチだったんじゃないかと私は思います。
☆第487話『ケガの功名』(1981.12.11.OA/脚本=鴨井達比古&小川 英/監督=鈴木一平)
学生時代に世話になった先輩が仕事で海外へ移住し、悪い虫がつかないようにと監視役を頼まれたラガーが「自分の妹のように可愛がってる」という、先輩の妹=恵子に扮したのがなんと、ボインぼよよ〜ん!な早乙女愛さん。
先輩の妹だから歳上の可能性も無くはないけど、それにしたってラガーが「妹のように可愛がる」には、ちょっと色っぽすぎる。
早乙女さんは当時22歳だけど実年齢より大人びてますからね。たぶん、意識して色気を抑えながら演じられたと思うけど、それでも滲み出るフェロモンが余計にラガーを子供っぽく見せちゃいます。
そういうアンバランスさは『太陽〜』あるあると言うか、昭和ドラマじゃ日常茶飯事だから眼を瞑るとして、その恵子から「彼氏にプロポーズされた」と聞かされ、ルビーの婚約指環まで見せられたラガーは、早くも撃沈。
そんな折り、サラ金会社が三人組の強盗に襲撃され、多額の現金が奪われる事件が発生。その手口から見て、最近頻発するビル荒らしグループによる犯行じゃないかと刑事たちは推理します。
その捜査でラガーとコンビを組んだドック先輩(神田正輝)は、休憩中に恵子と「ルビーの指環」の話を聞いて、イヤな予感を覚えます。
「それ、ひょっとしてクサイねえ」
「何がクサイんですか?」
ビル荒らしの一味は以前、宝石店を襲うにあたり前もって女性店員と親しくなり、巧みに店の情報を聞き出していた。
そして恵子が看護婦として務めてる内科医は、今回襲われたサラ金会社と同じビルにある。そう言えば宝石店から盗まれた品にはルビーの指環も含まれていた!
「いやまさか、そんな……」
とは言いつつラガー自身、恵子がその婚約者と知り合って僅か1ヶ月で、高価なルビーを贈られた事実には引っ掛かってたのでした。
調べてみると婚約者の坂井(本郷直樹)には怪しい点が多々あり、特に右手首に巻いてる包帯が、強盗被害に遭ったサラ金会社のガードマン=大島(市川好朗)の「右手首に傷痕があった」という証言を裏付けるようで、疑惑は深まる一方。
「キライよ! 竹本さんったら、刑事になってから何でも疑うんだから!」
幸せの絶頂に水を差された恵子は当然、ハイパー激怒。
だけど、ラガーの方が正しかった。警察にマークされてると知った途端、坂井は深夜にこっそり婚約者のアパートに忍び込み、自分がプレゼントしたルビーの指環を盗み出すのでした。
翌日、ラガーと一緒に恵子のアパートを訪れたドックは、部屋に残ったクロロホルムの微かな匂いに気づきます。どうやら坂井は就寝してた恵子をクロロホルムで更に眠らせ、部屋を物色してルビーを盗み出したらしい。
さすがに恵子も、夢から醒めるしかありません。急いで坂井のマンションを訪ねてみたら、ヤツは海外逃亡準備の真っ最中なのでした。
「私にプロポーズしたのは、嘘なの? 私に近づいたのは、お金が目的だったの?」
もう誤魔化せないと悟るや本性を表した坂井は、再びクロロホルムで恵子を眠らせようとします。
もちろん、これは刑事たちが仕掛けた罠で、隠れてたラガーが怒りのハートブレイクパンチ百万発を坂井にお見舞いし、大いに恵子を引かせます。
一件落着? いや、だけど、ドラマはまだ中盤だし、これじゃサブタイトル『ケガの功名』の意味が解りません。
「結婚詐欺? じゃあ、あのルビーの指環もニセモノ!?」
そう、坂井は確かに卑劣な悪党だけど、ビル荒らしの一味とは無関係だった! 右手首の包帯も、たまたまそこを火傷してただけ。
「じゃあ彼女、傷つくなあ……」
「まあまあ、お前のお陰で悪党一匹捕まえたじゃないか。恵子ちゃんだって感謝してるさ」
「はあ……」
それがケガの功名だったワケだけど、強盗事件の捜査は何も進んでないことになっちゃう。ここは山さん(露口 茂)のカンに頼るしかありません。
「こうなると、その坂井を犯人だと証言した大島が引っ掛かるな」
目撃者であるガードマンの大島は、逮捕された坂井を見て「多分、あの男だと思います」と証言した。けれども、事件より前に犯人と面識があったらしいのに、どこで会ったかは「思い出せない」の一点張り。なにせ演じてるのが市川好朗さんで、何か裏があるに決まってます。
長さん(下川辰平)が粘りの捜査で、大島が傷害致死罪の前科を隠してガードマンの仕事に就いた事実を突き止めます。右手首に傷のある男と知り合ったのは刑務所であり、だから曖昧な証言しか出来なかったのでした。
「いつかバレると思ってました……誰の責任でもない、自分の責任ですよ」
「結論を急ぐ必要は無い。我々が欲しいのはビル荒らしの犯人の手掛かりなんだ。マジメに勤務してるキミの過去を暴くつもりは無いよ」
急転直下、大島の新証言により強盗一味の正体が判明! 主犯格をドックとラガーが見事な連携プレーで逮捕します。ただ猪突猛進するラガーをドックが射撃の腕前でカバーするだけだけどw
いかにも女性ファンが喜びそうな、この「仲良し兄弟」っぽい感じがまた、ロッキーやスニーカーじゃ出せなかったんですよね。渡辺徹さんの若さ&明るさがあればこそで、『太陽にほえろ!』の新たな黄金期は間違いなく、ラガーが築いたと言って良いでしょう。
何よりラガーが女性視聴者をキュンとさせたのが、冒頭に書いた通り失恋シチュエーションにおける「ハートブレイク」演技だと私は思うワケです。
セリフで言わなくてもラガーが恵子を好きなのは伝わって来るし、特に、別れの切なさを笑顔で表現するアクトが絶品!
「そっか……僕もその方がいいと思うよ」
今回も、ラガーに頼るんじゃなくて故郷の北海道へ帰る決意をした、恵子からの電話に彼は笑顔でエールを送りました。
「心にも無いこと言っちゃって。アニキ代わりもツラいな」
「はい、ツラいです」
そうして言葉にしなくても、いかにも哀しそうな顔をしなくても、ラガーの切なさがちゃんと伝わって来る。きっとこの瞬間に、渡辺徹さんは’80年代を象徴するアイドルの1人になられたんだと思います。
たとえ、実際は早乙女愛さんのオッパイで頭がイッパイだったとしてもw
登場してから10週目にして早くも5本目となる、新人ラガー刑事(渡辺 徹)の主演作。実に2本に1本は主役を任され、他の回でもだいたい助演のポジションで大活躍のラガー。
前任のスニーカー(山下真司)が最初の10週で3回しか主演してないのとえらい違いで、ラガー売出しへの並々ならぬ力の入れようが伺えます。
スニーカーやロッキー(木之元 亮)の売出しに失敗した反省もあるだろうし、ボス(石原裕次郎)とスコッチ(沖 雅也)が不在という危機的状況が、かえってラガーの追い風になったかも知れません。
なお、この第486話は『太陽にほえろ!』の数少ない女性脚本家のお一人である、亜槍文代さんのデビュー作だったりもします。
誰も死んだりしない「ネコババ」という地味な題材を扱いながら、ちっとも退屈しない面白さ。
その上、学歴や職業だけで人を判断しがちな日本人をチクリと皮肉る鋭さもあり、投稿シナリオがいきなり採用されてデビュー作になったという、非常にレアないきさつにも納得できるクオリティーです。
☆第486話『赤い財布』(1981.12.4.OA/脚本=亜槍文代&小川 英/監督=竹林 進)
ラガーが非番の日、公園で男女の言い争いを見かけ、行きがかり上、仲裁することに。
男は一流大学「東都大」の学生=星野 稔(氏家 修)で、アパートの隣室に住むシングルマザー=中川恭子(鈴鹿景子)に「泥棒」呼ばわりされてるのでした。
口の悪い恭子が去った後で星野の話を聞くと、彼は半年前に道端で「赤い財布」を拾い、交番に届けたけど持ち主不明のまま期限が過ぎ、財布とその中身=8万5千円の現金を受け取ることになった。
ところが今になって恭子が自分の財布だと言い出し、泥棒だと騒いで困ってるという。
恭子が財布を落としたと主張する場所と、星野が拾った場所が食い違っており、中身の金額も微妙に違う。拾った方が千五百円ほど多いのでした。
別に頼まれたワケじゃないけど、恭子が財布の横取りを狙ってると睨んだラガーは、星野を助けるべく吉野巡査(横谷雄二)と一緒に捜査を始めます。
すると警察の記録に残ったデータは全て星野の証言を裏付けており、疑う余地がない。けれど先輩のロッキーとドック(神田正輝)は口を挟みます。
「それじゃお前、片手落ちなんじゃないか?」
「片手落ち?」
「捜査ってのはな、ああだこうだ、ああだこうだ、ああだこうだってやるものなんだよ。お前のは、ああだああだああだで、こうだが無いんだよ」
つまりラガーは、星野側の話だけを聞き、恭子に悪い印象を持ったまま捜査して、結論を出そうとしてる。
「つまり女の方も調べろって事ですね?」
「そう、首を突っ込んだ以上はね」
それでラガーはアパートを訪ねるんだけど、恭子は相変わらず無愛想で「話があるなら店に来て」と相手にしてくれない。
店というのはキャバレーで、彼女はホステス。有名大学の学生である星野と比べると、やっぱり分が悪い。
「そりゃねえ、あっちは東都大のエリートで、こっちはご覧の通りの酔っ払いよ。でもねえ、からかい半分でこんなとこ来るんなら帰ってよ!」
自分が店に来いと言っておきながらこの対応。
同僚のホステスたちに聞くと、どうやら彼女には強いエリートコンプレックスがあるらしい。得られた情報はそれだけで、飲み代3万6千円を割り勘させられた先輩2人が気の毒すぎますw
ますます印象が悪くなっちゃった恭子だけど、アパートに戻れば実に慎ましい生活ぶりで、幼い娘に無償の愛を注ぐ彼女の姿を見るにつけ、ラガーの見方が変わっていきます。
よくよく聞いてみると、恭子がシングルなのは夫が在り金全部を持って失踪したせいであり、女手1つで生計を立てる彼女には同情すべき点が多々ある。
そして逆に、星野の方が実は遊び人で周囲の評判が悪く、よその家に配達されたマンガ本を盗み読みするという、セコい犯罪を繰り返してる疑惑も浮上!
おまけに、例の赤い財布は「ケチがついたから」と焼却炉で燃やしてしまったらしい。これはもしかして、いや、どう考えても証拠隠滅!?
「やっぱりアイツだったんです! アイツは8万3千5百円を堂々と盗むために、手の込んだ偽装工作をしたんです!」
「どういうことだ?」
つまり星野は、拾った財布が恭子の物であることを知った上で、わざわざ千五百円を足し、拾った場所も偽って交番に届けたんだと、ラガーは推理します。
しかし金が欲しいなら、そのまま黙ってネコババすれば済んだ話では?と先輩たちはツッコみますが……
「それはアイツの性格です!」
「性格?」
「アイツは人をイジメたり、鼻を明かしたりするのが好きなんです。そういう人間だから中川恭子さんをあざ笑ってやりたくて、拾った財布をわざわざ届けたんです!」
「お願いです、窃盗でアイツを逮捕させて下さい!」
「無理だ、証拠が無い」
「山さん、無いのは当然なんです! みんな燃やされちゃったんです!」
「証拠が無いはずは無い」
「?」
「犯罪である限り証拠はある。無いと思うのはお前の焦りだ」
「……分かりました、探します!」
いぶし銀の山さん(露口 茂)に叱咤され、徹底的に証拠を探したラガーはついに、星野が財布を拾ったと言う場所でその日時、交通課の婦警たちが駐車違反の取締りをしていた事実を掴むのでした。
つまり、そこに財布が落ちてたなら先に婦警が見つけたはず!……っていうのは証拠として弱い気もするけど、ラッキーなことに星野は逃走してくれました。
河原に星野を追い詰めたラガーは、東都大学というブランドに惑わされた自分への怒りも込めて、フルボッコにしますw
そこにかけつけ、止めに入ったドックとロッキーが、もう1つの真実をラガーに伝えます。
「確かにコイツは中川恭子さんの財布を盗んだ。だがな、それは彼女がワケも無くこの男を毛嫌いしたからなんだよ!」
「でもコイツはね、平気で本を盗み読むような男なんですよ!」
「その犯人はこの男じゃない、同じアパートの高校生だ!」
「えっ?」
「マンガ本を買う金が無くてやったんだ」
「…………」
恭子は恭子で、東都大出だというだけで星野を毛嫌いし、悪い噂を周りに吹き込んでいた。実は失踪した夫も東都大の出身で、彼女はそれだけで星野を憎んでたワケです。
ネコババも立派な犯罪だけど、恭子がそんな偏見さえ持たなければ、星野は素直に財布を返したかも知れない。
結局「ああだああだ」だけで突っ走った青くさい自分を、大いに反省するラガー刑事なのでした。
殺人事件が起きなくたって、身内に裏切り者がいなくたって、いくらでも刑事ドラマは面白く出来るんだっていう、近頃のテレビ屋さんたちに是非とも観て頂きたい絶好のテキストです。
まあ、どんな事件でも扱っちゃう「なんでも屋」の七曲署捜査一係だからこそ成立した話ではあるけど、新米刑事の成長ドラマとしてもよく出来てるし、地味ながら私の好きなエピソードの1本です。
亜槍文代さんはこの後も主婦ならではの着眼点から、ユニークなストーリーを度々提供されて『太陽にほえろ!』の強力な戦力となられます。
いや〜、実にアホなドラマですw 昭和の伝説的ハレンチドラマ『毎度お騒がせします』を超えそうです。
前回のラストシーンで、セトリ(性行為取締官)を目指すチェリーボーイの主人公=犬田光(小宮璃央)は、美術室で転校生のウチュラ(新條由芽)にチンコを撫で撫でされてる現場を、担任の壇田先生(森咲智美)に見つかっちゃいました。
で、こんなお仕置きを受ける羽目になります。
チュバチュッチュされ、発射寸前で放置されるという生き地獄。壇田先生も以前から光にロックオンしてたみたいです。
で、光に手を出した罰として、ウチュラにはこんなお仕置きを。
なんて酷いことをーっ!!💨
ところがなぜかアッサリ形勢が逆転し、この有様w
一方、再び闇のSEXクラブに潜入した光に「セックスしよう」と迫って来た美少女=カンナ(大久保桜子)の正体は……
なんとセトリの潜入捜査官だった!w
そして光の幼なじみ=優(川津明日香)は、ウチュラに対抗意識を燃やし……
とりあえずファーストキスに成功したものの、光はそれだけで果ててしまい、筆下ろしには至りませんでした。
次回以降はウチュラVS優のバトルが激化し、こんな素晴らしい展開も待ってます。
さらに、光は親友のカノジョである奈々(織田奈那)ともこんなことに!
主人公は何ひとつ努力してないのに、次から次と美少女が寄って来てくれる少年マンガ展開。こんなのばっか読んでたら、そりゃ「草食系男子」とやらが増えてく一方でしょう。
けしからん!💢 実にけしからん!!💢💢💨 絶対に許すワケにはいかんので、このドラマだけは最終回まで欠かさず録画し、眼を皿のようにして監視せねばなりません。
というワケでセクシーショットは織田奈那さん、大久保桜子さん、森咲智美さんです。許さんぞマジでっ!!💨💨💨
2023年2月4日(土)にNHK総合テレビで放映された、日本のテレビ放送70周年&大河ドラマ60周年を記念するスペシャルドラマ。
NHK芸能局長の「映画に負けない新しい連続大型時代劇を作れ」という鶴の一声から大河ドラマ第1作目『花の生涯』が生まれるまでの、若きテレビマンたちの奮闘がユーモラスに描かれてます。
その放映日の翌日には、A.I.を駆使した最新技術でオールカラー化された『花の生涯』第1話も放映されました。
『花の生涯』は幕末の大老・井伊直弼の生涯を描く作品で、副主人公の長野主膳を演じた戦後の二枚目映画スター=佐田啓二の二世である、中井貴一がコワモテのNHK芸能局長に扮してます。
主人公となるアシスタントディレクターを演じるのは生田斗真、プロデューサーに阿部サダヲ。
斗真くんの後輩ADに矢本悠馬。
斗真くんの下宿先の娘=明恵に、松本穂香。
そして貴一パパ=佐田啓二に中村七之助、宝塚歌劇団出身の映画スター=淡島千景にともさかりえ。
ほか、松尾諭、林泰文、伊東四朗、三宅弘城、イッセー尾形、永島敏行、倉科カナ、仁村紗和etc…といった実力派の豪華キャスト陣。
とても良い作品で、とても楽しく観させて頂きました。単に『花の生涯』制作の舞台裏を再現するだけじゃなく、これを2023年現在に放送する意味、今のテレビ業界に対する熱いメッセージを、私は感じました。
例えば、中井貴一局長の「今のテレビ番組は夢がなくて面白くない!」っていう台詞。まだこれからっていうテレビの黎明期に、そんなこと言うとは思えませんよね。
そして、映画界の「五社協定」により佐田啓二氏みたいな映画スターは絶対使えない、って決めてかかってる斗真くんに、貴一局長が言うワケです。
「そんなの知ったこっちゃねえんだよ! 誰かが勝手に決めたルールをこっちが守らなきゃいけない道理がどこにあるんだよ! 壁に立ち小便禁止の貼り紙があったって、どうしても漏れそうになりゃするんじゃねえのか小便!?」
「私はしません!」
「俺だってしねえよ!!」
「…………」
これもまた、規制とクレームのがんじがらめになってる現在のテレビ業界に対する、愛をこめた叱咤激励でしょう。
で、実際に斗真くんが足しげく佐田邸に通い、出演OKを取り付けるワケです。その裏に佐田氏の奥さんによる後押しがあったいきさつには、もしかすると石原裕次郎さんが『太陽にほえろ!』出演を決められた時のエピソードが反映されてるのかも?
他にも、グッとくる台詞がいっぱいありました。例えば、ただコワモテ局長の言いなりに動いてるだけ、のように見える阿部サダヲPの、奥さん(倉科カナ)の実家が彦根であることを斗真くんが知るシーン。
井伊直弼は近江「彦根」藩の第16代藩主ですから当然、舞台となる彦根出身の人は喜びます。そしてこの原作をチョイスしたのは阿部Pなのでした。
「偶然ですかね?」
「どうかしら? 実はあの人、局長の背中に隠れて、好き放題やってるんじゃないかと思うのよ」
で、その阿部Pが斗真くんを連れてよく行く屋台のおでんが美味しくて、その秘訣を尋ねられた店主(イッセー尾形)が「孫がおいしいと言って喜んだものを出してるだけですよ」って答えるんだけど、これが後のシーンで活きてくる。
斗真くんの後輩ADが新しい台本を送り忘れたせいで、佐田氏が大恥をかかされる羽目になり、斗真くんが陳謝するんだけど、さすがは貴一パパ。怒るどころか斗真くんに「出演を決めたことは微塵も後悔してない」「むしろ感謝してる」とまで言っちゃう神対応。
その理由が、仁村紗和さん扮する佐田氏の奥さん、つまり貴一ママが『花の生涯』を毎週とても楽しみに観てくれてるから、なんですよね。
「こうやってモノを創ってると、お客さんのことばかり考えてしまいがちだけど、一番身近な人を喜ばせるのも、素直に嬉しいことなんだなって、あらためて気づかせてもらったよ」
そうなんです! 大衆の嗜好とか、スポンサーやタレント事務所の顔色とか、そんなのばっか気にして創ってるから、今のテレビ番組はどんどんつまらなくなってる。
八方美人が一番ダメだってことを、現場の人たちはちゃんと分かってる。なのに組織の上に居座ってる、自分の保身しか頭に無い連中がリスクを恐れ、無難なものしか作らせない。
貴一局長や阿部Pみたいな人も、決していなくはないんだろうけど、今の世の中には彼らのワガママを許す余裕が無い。破滅です。
あと、連日翌朝にまで及ぶ過酷な撮影に主演スターの家族からクレームが入り、あわや降板!っていう危機を、必死にアイデアを絞って乗り越えていく場面。
一番時間を食う「セットの建て替え」に、演劇における舞台転換のノウハウを取り入れたり、同一セットの撮影を5話分ぐらいまとめ撮りしたり等の、現在では当たり前になってる時短テクニックが生まれていく過程にワクワクしちゃうのは、私自身もかつて映像作品を創ってたせいかも知れません。
そしてクライマックスとなる「桜田門外の変」を映画に負けないスケールで描くため、京都の太秦「映画城」を借りるべく交渉を重ねる、テレビマン斗真くんの情熱。
最初は「たかが電気紙芝居」と見下し、相手にしてなかった映画畑の人たちが、知らず知らず巻き込まれて一緒になって汗を流し、1つの場面を築き上げてく少年みたいに無邪気な姿。
そういう手作りの楽しさと温かみが、パソコンのキーボードで何でも作れちゃう現在の映像作品からは、当たり前だけど伝わって来ない。だから刑事ドラマにしろ特撮ヒーローにしろ、昭和作品しかレビューする気になれないワケです。
今回は単なる懐古趣味じゃなく、あの頃の情熱を忘れないでおこうぜ!っていう、テレビ制作者たちの真摯な想いが感じられたから、レビューすることにしました。
斗真くんと松本穂香さんの、たかが映画を一緒に観に行くだけの事がなかなか実現に至らない、昭和ならではのもどかしいロマンスも良かった!
松本穂香さんは実に現代的なルックスだと思うのに、なぜか昭和娘の役がぴたりとハマる。不思議な女優さんですよね。